「65歳を過ぎたら、ラクなことだけをする」

ネットサーフィンをしている時に、精神科医の和田秀樹さんのエッセイが目にとまった。現在63歳の和田さんは、歳をとったら好きなことだけをして生きなさいとアドバイスする。多くの人が若いときから築いてきた「かくあるべし思考」から完全に解放されることが大切だと力説する。

「心を伸びやかにして、残された人生を楽しむためにも、どういうものであれ自分を縛るようなことはしないほうがいい」

多くの方は定年まで会社務めをするなかで、嫌なことや辛いことがあっても我慢して働いてきたはずだ。そうした責任感や義務感から自分を解放させることが、残りの人生を楽しく過ごす秘訣になるという。

高齢になればなるほど、いろいろなものから自由になり、解放されるといった気持ちを大切にした方がいいと述べる。心を伸びやかにして、残された人生を楽しむためにも、どういうものであれ自分を縛るようなことはしないほうがいいとの考えだ。

実は私も65歳を過ぎて、無理にガツガツ仕事をすることは控えるようにしている。先日も横尾忠則氏の書いた文章について思いを述べたとおり(横尾忠則:朝日新聞に「語る」)、納得のいく好きな仕事だけを楽しみながらして行こうと思っている。

米大統領選:勝負になるのは6州

米国の大統領選が総得票数ではなく、選挙人の数で争う選挙であることは多くの方がご存じかと思う。18歳以上の国民であれば投票の資格があり、実際に投票する時には、今年であればバイデンかトランプといった名前を選ぶが、そのあとが日本とでは違う。

全米50州に割り当てられた選挙人は人口比によって数が違う。人口のもっとも多いカリフォルニア州には55人が、テキサス州には38人が、人口の少ないバーモント州やモンタナ州にはそれぞれ3人が割り当てられており、50州を合わせると538人になる。

選挙では勝った州の選挙人を積み重ねることで、538人の過半数である270を奪った時点で次期大統領の誕生という流れになる。選挙であるので、結果はフタを開けるまでわからないのだが、歴史的に多くの州がリベラル州(民主党寄り)か保守州(共和党寄り)にわかれているため、カリフォルニア州がトランプに流れることはまずありえないし、テキサス州がバイデンにいくことも考えにくい。

ただ年によっては支持率の高い候補が圧勝することもある。たとえば1964年選挙ではケネディ亡き後、リンドン・ジョンソンが44州を奪ってゴールドウォーターを制したこともあった。同年の選挙人数はジョンソンが486人、ゴールドウォーターが52人という大差だった。

だが今年はバイデン・トランプの支持率は肉薄しており、いくつかの激戦州が勝敗のカギを握ることになりそうだ。現時点では6州がキャスティングボードを握るといわれている。6州というのは、アリゾナ、ウィスコンシン、ジョージア、ネバダ、ペンシルベニア、ミシガン。ノースカロライナも入れて7州としているところもある。今年の総有権者数は約2億4400万人だが、実際に影響力をもつのは限られた州の有権者ということになる。さあ、あと半年である。(敬称略)

凄烈:井上尚弥のパンチ

6日夜、東京ドームで行われた4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチをネット上で観た。久しぶりにボクシングの試合を観ながら手を握りしめ、熱くなっている自分がいるのがわかった。こうした気持ちになったのは何年ぶりのことだろう。

地上波では放映していなかったが、ネット上で視聴できたので興奮しながら観た。普通のボクシングの試合であれば観ることはなかったと思うが、井上尚弥が4団体統一王者であることと、素人であっても彼のパンチの鋭さと激烈さがよくわかったので、パソコンの前に座った。

昨日の相手は元世界2階級制覇王者のWBC世界同級1位ルイス・ネリという手強い相手であることは知っていたが、井上の方が優っているだろとの希望的観測から、いつ倒すのか楽しみにその瞬間を待った。ただ1回、これまで一度もダウンを喫したことがなかった井上がネリの左フックを受けて倒れる。

「これはヤバイ」。今日は勝てないかもしれないと思ったが、2回2分過ぎに今度は井上がネリにパンチを浴びせてダウンを奪った。そして6回、井上が連打を繰り出してネリをTKOにしとめた。

観ていて思ったのは、井上のパンチの速さと嬌激さである。いくらプロのボクサーとはいえ、あのパンチが顔面にヒットしたらマットに沈むしかない。どれほどの衝撃があるのかは考えたくもないほどで、ボクシングの熾烈さをあらためて思い知らされた試合だった。

「常に不満足でいることが前に進むための原動力になる」

皆さんは以前にどこかで聴いたことのある諺や格言を耳にして、ハッとさせられたことはないだろうか。

今日の午後、東京FMを聴きながら仕事をしていると、番組のパーソナリティーである山下達郎氏が、「常に不満足でいることが前に進むための原動力になる」と述べ、ハッとした。

これは山下氏が普段から心がけていることで、仕事をする上で完成した作品に満足しないことが次につながる力になると話していた。いま71歳の山下氏は1970年代から自分のアルバムをリリースしてきたが、締め切りまで粘って作品を良くしていく努力はするが、時間的にこれ以上は延長できないところまで力を尽くしても本当に満足できたことはほとんどなかったと述懐していた。特に若い頃はそうだったという。

不満足でいるということはいたたまれない心情ではあるが、その思いこそが「次こそもっといい作品を」という思いになり、前進していけると話した。

こうした気持ちはある意味で真理かもしれない。もちろん不満足といっても、山下氏のレベルであればすでにかなりの作品に仕上がっているはずで、もっと先に進むために自分自身にダメ出しをする同氏の一途さには感心させられた。