トランプ:銃規制撤廃を表明

私に言わせれば、まさに「言語道断」でしかない。時代に逆行する発言が米時間9日、ドナルド・トランプ前大統領から飛び出した。

本来であれば銃規制を強化していくべきなのだが、再び大統領になろうとしているトランプ氏は全米ライフル協会のイベントで、「銃の所有者やメーカーに対するバイデン氏の攻撃を、(大統領に就任した場合)就任最初の1週間、おそらく初日に全て終わらせる」と発言。バイデン政権下で進められてきた銃規制を撤廃する意向であることを明言した。

米国にはいま、民間人によって所有されている銃が約3億9300万丁(from Security.org)あると言われており、減るどころか以前よりも増える傾向にある。民主党と共和党は銃規制についてはほぼ真逆の立ち位置で、銃を減らすことで社会を安全にしていくと考える民主党と自分の身を守るために銃は必要であるとする共和党が意見を対立させており、過去10年以上は共和党の力が優っている。

これまでも銃規制についてはさまざまな媒体で書いてきているが、前向きな動きがが始めたかと思ってもそのあとに逆行することが多く、本質的に米市民は銃の恩恵をうけながら銃所有を肯定している人が多いことが窺える。

ちなみに2007年時点で米国内に出回っていた銃は2億4000万丁。1993年にブレイディ法という銃規制法が施行されたが、時限立法だったために2004年に失効し、再び増加の曲線が描かれている。仮に11月にトランプ氏が再選を果たせば、いま以上に銃による犠牲者は増えると予想される。

息子の罪で母親も有罪判決

犯罪の多発する米国でも今回のケースは史上初だという。何しろ15歳の息子が犯した銃撃事件で、母親に有罪判決がくだされたのだ。

事件が起きたのは2021年11月。米ミシガン州の高校でイーサン・グランブリー被告(当時15歳)は生徒4人を殺害し、さらに生徒6人と教師1人を負傷させた。すでに同被告は第一級殺人やテロ行為などの罪で仮釈放なしの終身刑が言い渡されているが、同州陪審は2月7日、母親であるジェニファー・クランブリー氏にも過失致死罪で有罪判決をくだしたのだ。

いくら息子が未成年であるとはいえ、自分が犯した犯罪ではない。すでに高校生であり、犯行の責任は息子にあると考えられるが、同事件を担当した陪審員たちは母親を起訴するかどうかを11時間も審議し、最終的に母親の責任は大きいとの結論に達した。実際の判決が下されるのは4月9日で、母親の量刑は最長で禁錮15年になるという。

少し調べると、両親は15歳の息子に銃を購入していただけでなく、精神的に不安定な状態であった息子に何の対処もしなかったことがわかっている。さらに学校側はそうした息子にメンタルヘルスの医療的措置をとるべきであると提言し、施設を紹介しもしたが、両親は動かなかった。さらにそうした状況の中、母親は他の男性と不倫関係にあったことがわかっていて、息子のケアが疎かになっていたことがわかっている。

久しぶりに「アメリカらしい」事件で唖然とさせられている。

存続の危機:Sports Illustrated

数日前、とんでもないニュースが飛び込んできて、久しぶりに目を大きく見開いてしまった。

米国では「スポーツ・ジャーナリズムのバイブル」とまで言われたスポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド(Sport Illustrated)」が、全従業員の解雇を予定しているというのだ。報道によると、同誌の発行元が親会社に支払うライセンス料を支払うことができなくなったため、社員を解雇する意向だという。

Sports Illustrated Layoffs: Possibly Entire Editorial Staff Let Go

かつては300万の購読者をかかえ、スポーツファン必読の週刊誌だったスポーツ・イラストレイテッド。 日本だけでなく近年は米国でも紙媒体の売り上げは伸び悩んでおり、2018年までは週刊誌だったが、20年からは月刊誌になっていた。私が米ワシントンに住んでいた時(1982年から2007年)、同誌を購読していたのを覚えている。他の媒体では見られない斬新な写真が多く、記事もしっかりした取材をしたうえで書かれていた。

ただネットの興隆はあまりにもすさまじく、紙の雑誌は次第に消え去る運命にあるのかもしれない。実は、同誌はデジタル版( Sports Illustrated )も出しており、こちらの読者は着実に増えていて、昨年12月のネット上での訪問者数は5000万人を超えていた。この数字は4年前の2倍だが、多くの記事は無料であるため、それが売り上げの上昇には直結しなかった。

1954年創刊なので今年で70年目を迎えており、なんとか存続してほしいと思うが、時代の流れはその願いに逆行しているようだ。

アメリカンドリームは過去のものか?

アメリカンドリームというものはまだあるのだろうか。

米ウォールストリート・ジャーナル紙とシカゴ大学の全国世論調査センター(NORC)が共同で行った世論調査によると、2012年には回答者の53%が「まだある」と答えていたが、最新の調査では36%だけがアメリカンドリームを信じていることがわかった。

一生懸命働けば、人種や年齢などに関係なく、どんな人でもアメリカンドリームをつかむことができるとの思いが以前はあったが、そうした思いを抱く人は年を追うごとに減ってきている。

同調査では、政治的な側面だけでなく、米国の経済的脆さが際立ってきていることもわかった。しかも若い世代にアメリカンドリームへの猜疑心が強いという結果が出た。65歳以上の人は48%が今でもアメリカンドリームを信じているが、50歳未満では28%という数字である。

また「自分たちの子どもの世代は今よりも生活が豊かになっているか」との質問では、たった19%だけが良くなっていると回答した。この数字は同調査が1990年に始まって以来、最低である。

今でも世界中から夢を抱いてアメリカにやってくる人たちは多いが、アメリカンドリームが失われている現実をどう受けとめるのだろうか。

日米の平均的な借金額

インターネットで調べものをしている時、アメリカ人の借金額という文字が目に入った。こうした数字はときどき目にするが、正確に覚えているわけではない。

Investopediaというサイトが出していたアメリカ人の平均借金額は$11,548(約179万円)。これは個人的な用途による借金額であり、住宅ローンは入らない。179万円を多いと判断するか少ないと判断するかは微妙なところだ。

それでは日本ではどれくらいなのか。指定信用情報機関のCICとJICCによると、1人あたりの平均借入額は約65万円だった。また借金をしている人の割合は個人であれば15.3%、2人以上の世帯では20.4%だった。ここでも住宅ローンは入っておらず、クレジットカードによる借り入れや大きな買い物などによる借金である。

当サイトで2カ月前、60代の平均貯蓄額について記した(60代の平均貯蓄額)が、今回は借金額を記した。