NYのツリー

ロックフェラーセンターのクリスマスツリー写真が友人から送られてきました。今年はコネチカット州から切り出されてきた樹齢60年の木だそうです。 

             NYtress

by Ryoichi Miura

ウィキペディア

このブログを読んでおられる方ならウィキペディアはご存じだろう。

サンフランシスコに本部を置く同社は2001年、無料の「ネット百科辞典」としてたちあげられた。同社の広報部長が東京に来ていたので19日、お会いした。

たとえば、グーグルで「鳩山由紀夫」と入力すると380万件もの検索結果がでる。そして画面の最初に登場するのがウィキペディアのサイトである。それほどネット百科事典であるウィキペディアは読まれるようになった。

利用者は世界中に何億人もいるが、給与を受け取っているスタッフは34人しかいないことを知った。書き手はすべてボランティアなので原稿料は発生しないからだ。

それでは会社が「ぼろ儲け」しているかと思いきや、そんなことはない。グーグルやヤフーとちがって創業以来、いっさい広告をとらない。

「創業者であるジム・ウェールズ氏の考えなので、今後も広告はとらないでしょう」

しかし会社を運営するためには経費が発生する。彼らはほとんどを献金でまかなっており、ほとんどのユーザーはこの事実を知らない。これは応援しないといけないないと思うことしきりである。というのもひんぱんにネット百科辞典を利用するからで、いままではIT企業らしく莫大な利益がでているものと勝手に思い込んでいた。

今後は他社との提携を視野にいれながら、相変わらず無料でネット百科辞典を提供しつづけるという。

カネに目が眩まない人たちが運営している点でウィキペディアは貴重である。

         

連載:オバマ東京演説「薄い内容」の理由

オバマの密約

デイビッド・プロウフという男がいる。

昨年、オバマを大統領に「仕立て上げた男」と形容してもいい人物である。選挙対策本部委員長を務めたプロウフは選挙後、ホワイトハウスに入らずに政治コンサルタントにもどった。その彼が『The Audacity to Win(仮訳:勝つための希望を抱いて)』という本を出版した。

        

      

プロウフが08年大統領選についての本を執筆中という話は聞いていたので、楽しみにしていた。まだ本は手にとっていないが、彼が昨年何にもっとも気をつかい、選対をどう動かしたのかなど、私には興味のつきないことがつづられているはずだ。

その中で、いまアメリカのメディアを騒がせているのがヒラリーの処遇である。昨年6月にヒラリーとオバマの予備選での決着がついたあと、オバマは真剣にヒラリーを副大統領にするつもりだったとプロウフは書いている。けれども彼をはじめ、選挙スタッフが反対したため国務長官にしたという。

スタッフが反対したのは、ヒラリーを副大統領にすればビル・クリントンも一緒にホワイトハウスについてくることが厄介だったからというのが理由だ。

私はヒラリーが敗北宣言をしたあと、副大統領になる可能性が大きいと考えていた(参照:ヒラリーの敗北宣言 )。それは長年大統領選を取材してきたジャーナリストとしての勘なのだが、二人が互いの携帯電話の番号をスピードダイヤルにして連絡をとっていただけでなく、二人の一挙手一投足が選挙中盤から「タッグ」といえるほど緊密で、どちらが大統領になっても副大統領か重要閣僚としてのポジションを与える「密約」を交わしていたように思えたからだ。

真実は二人が公職を退いたあとに明かされるかもしれず、それまではじっと待つしかない。(敬称略)

金融ブームふたたび

ダウ平均株価が1万ドルを超えた。今年3月9日に底値を打ってから急速な回復をみせている。

しかし、過去20年以上エコノミストによる株価の予想を見聞きしていても、見事なまでに外れることが多いので今後の動きはわからない。本来わからないことをわかったように言うために誤算が生じるのだ。

株価は経済成長と密接な相関関係があるため、上昇をつづければ投資家が資金を市場に投入する動きが活発化することは確かだ。ただ今年の動きをみるかぎり、今後、乱高下のサイクルが早まるようにも思える。

        

               

上げ潮に乗った株式市場は急速に加熱されれば再びポーンと弾けて冷却される時がくる。急速な株価上昇は新たなバブルを生み、それがまた炸裂するというサイクルである。

それだけ社会の金融への依存度が高まっていると同時に、投資家だけでなく一般市民の間にも「楽をして儲ける」という心理が増幅している。いやすでに、アメリカの金融界にまん延するその意識は、金融危機以前に戻ったとみていい(参照:変わらぬ米金融界)。

一昔前であれば、「カブ屋と高利がし」という言葉でさげすまれた職種であり業界である。本質的には人のカネを使ってその利ザヤで儲ける商売だが、いまや政府でさえコントロールできなくなるほど肥大化したところに社会的ひずみが潜む。

オバマ政権は規制をかけるつもりだが、自由化と規制の狭間にゆれざるを得ないのが現実の世界だ。今後の展開を確実に読める人はだれもいない。

ノーベル賞受賞のコツ

オバマがノーベル平和賞を受賞したことで、世界中に賛否両論が渦巻いている。

私は「平和賞にあたいするだけの功績はなにも残していない」という考えなので、個人的にオバマへの愛着はあっても、受賞そのものには反対である。今年1月のブログに、オバマはノーベル平和賞を取るかもしれないとは書いたが( 参照:So long, Bush!)、中東和平を実現させてからという注文をつけた。

オバマはいまだにその分野で大きな1歩さえ踏み出せていない。プラハでの核兵器廃絶への大胆な演説が評価対象ともいわれるが、それとて成果という段階にさえ至っていない。前向きな政治姿勢に対してということだけであれば、評価が甘い。「期待賞」ということであれば極めて異例である。

なぜノーベル賞を受賞できたかという点で、私は一つ思いあたることがある。

90年代半ば、ジョージア州アトランタでノーベル文学賞受賞者の集いがあり、取材したことがある。生存する受賞者がほとんど顔をそろえていた。大江健三郎も出席し、彼に話を聞いた。またナイジェリアの詩人、ウォーレ・ショインカとも話をした。

そこでわかったことがある。それはノーベル賞を取るコツとでもいえるものだ。

文学賞の場合、まず英語で多くの作品が出版されていなくてはいけない。さらに重要なのは歴代の受賞者が「次は誰にするか」という時、推薦する権利があり、影響力を持つということだ。大江はショインカだけでなく、他の受賞者を受賞前から知っていた。もちろんこれだけが理由ではないが、ひとつの力にはなる。

今年の平和賞には205人がノミネートされていた。200倍強の倍率でオバマが選出されたのは、オバマに好意的と伝えられる05年受賞者のムハンマド・エルバラダイや、07年に受賞したアル・ゴアの推薦があったからかもしれない。しかしオバマが「自分を推して」とは言わなかっただろう。

いずれにしても、彼には前を向いて走ってほしいだけである。(敬称略)

        

       By the White House