もう閉幕・・:東京五輪(3)

今日で東京五輪が終わってしまう。あっという間に最終日がきたという感じで、世界のトップアスリートたちの戦いをあと2週間は観ていたかったというのが本音だ。

開催前はコロナ蔓延を憂慮して開催中止の声も大きかったが、いつの間にか五輪の熱気にかき消されていた。それは開催中止というネガティブな動きより、アスリートたちの命をかけたポジティブな躍動の方がはるかに人の心を動かすエネルギーが大きかったからだと思う。

試合を観ていて、鳥肌がたったシーンがいくつもあった。競泳女子の大橋悠依選手が400m個人メドレーで金メダルを獲った瞬間、橋本大輝選手が種目別鉄棒で着地をピタリと決めて金を確実にした瞬間、そして柔道の阿部兄妹が共に勝った瞬間、、、。

戦っている間は長く感じられるが、最後の勝ち負けが決まるのは一瞬である。テレビを観ている側はその瞬間を待ち焦がれて、喜び、泣き、安堵する。子どもたちはそうした感動を大人よりも何倍も強く受けとめるのかもしれない。そこから次世代の選手が生まれでるのであれば、五輪は開催して大正解だったと思う。

限界を超えて:東京五輪(2)

世界中から東京に集まったトップアスリートたちの熱戦が連日、繰り広げられている。すでにいくつもの世界記録が樹立されている。

東京五輪について書いたブログ(期待している選手:東京五輪(1))で、「人間が人間である以上、スポーツで争う距離や時間といった記録はいつか限界がきてしまうかもしれない」と書いたが、この言葉が人間の可能性を矮小化させているとの思いもある。限界がくることは一般的に考えれば当然かと思うが、今回の東京五輪で打ち立てられた世界記録を目の当たりにすると、「人間は限界をこえるもの」と言えるほど、可能性を追求しつづけられるかに思える。

水泳では男子100mバタフライのケーレブ・ドレッセル選手(米国)や女子200m平泳ぎのタチアナ・スクンマーカー選手(南ア)をはじめ、リレーでも世界記録がでている。陸上では男子400mハードルでカールステン・ウォーホーム選手(ノルウェー)や女子三段跳びユリマル・ロハス選手(ベネズエラ)が世界新記録を樹立した。

前回の五輪ブログで、個人的には男子走り幅跳びのキューバ代表、ファン・ミゲル・エチェバリア選手に世界記録更新を期待していると書いたが、8メートル41センチに終わり、記録更新にはいたらなかった。それでも将来、誰かが9メートルの大ジャンプをする日がくると期待している。

五輪が終わるまで、もうしばらくテレビの前で熱戦を観たいと思う。

期待している選手:東京五輪(1)

東京五輪が始まり、テレビの前にいる時間が増えた。4年に1度しかこないスポーツの国際イベントであり、観ておくべき選手や競技が目白押しである。

私には子どもの頃から気にしている競技がある。走り幅跳びだ。小学生の時、メキシコ五輪でボブ・ビーモン選手が8メートル90センチを飛んで当時の世界記録を打ち立て、その時の勇躍がいまでも鮮明に脳裏に焼きついている。とにかく強烈なインパクトがあった。

当ブログ(オリンピックと限界 )でも書いたが、1968年当時、日本の実況アナウンサーは「この記録は今後1世紀は破られないかもしれません」と叫んだ。人間が人間である以上、スポーツで争う距離や時間といった記録はいつか限界がきてしまうかもしれないとの思いがある。ビーモン氏の記録は当時としては、誰も破れない記録に思われた。

しかし23年後、その記録はあっけなく破られる。アメリカ人のマイク・パウエル氏は、「記録というのは塗り替えられるもの」と言わんばかりに、8メートル95センチを飛ぶのだ。少し大袈裟だが、それこそが人間の可能性であることを証明したかのような偉業だった。いまは誰がその記録を更新するのか楽しみである。

人間には限界があるが、9メートルはまったくの夢という距離ではないはずだ。今年の東京五輪ではアメリカのジュヴォーン・ハリソンという選手もいるが、キューバ代表のファン・ミゲル・エチェバリア選手が追い風ながら8メートル83センチを過去に飛んでいて、9メートルの壁に迫れるのではないかと期待している。