トランプは負けるべき

こういったレベルの発言をしている限り、大統領でいる資格はない。トランプは一刻も早く去るべき男である。

どんな発言なのか、少しお話したい。 

先週、米保守派のラジオ・パーソナリティーとして知られるラッシュ・リンボーが、民主党候補ピート・ブダジェッジに対して差別発言を吐いた。

「アメリカはまだゲイが大統領になる国ではない」

ゲイを否定する考え方は21世紀のものではない。誇張になるが、50年くらい前の社会通念という印象である。そのリンボーにトランプは今月、大統領自由勲章を授与したのだ。同勲章は文民に与えられる勲章としては最高位のもので、過去にはヘレン・ケラーやマザー・テレサ、ウォルト・ディズニー、モハメド・アリなどが授賞している。そこにリンボーが名前を連ねたのだ。

そのこと自体、同勲章の名誉を傷つけるものだが、その席でトランプはリンボーに「(ゲイ発言については)謝る必要はない」と諭したのだ。これは同性愛者に対する侮辱であり、愚弄であり、排撃にあたる。こんな男がアメリカの大統領をやっていていいのかと真剣に憂慮する。民主党代表候補が誰になるにせよ、この男をホワイトハウスから駆逐しないといけない。

侮辱されたブダジェッジは数日間沈黙していたが、昨日トランプへの反撃にでた。

「(私のパートナーとの婚姻ですが)ポルノ女優と浮気をしたあとに口止め料を払ったことがないのは確かです」

うまい切り返しだが、トランプにはまったく響いていなさそうだ。11月3日に負かすしかない。

米大統領選現地リポ:激変した戦法

米東部ニューハンプシャー州で大統領選を取材した。

大統領選取材は今年で8回目になるが、最も先が見ない選挙と言って差し支えない。それほど混迷している。理由が3つある。

1つは米有権者がいま右派と左派でほぼ同率に分断していること。

2つ目は、過去の大統領選では選挙資金額と得票数に強い相関関係があったが、この見方が通用しなくなってきたこと。

3つ目が「サイコグラフィック(心理学的属性)マーケティング」などの新しい手法が選挙活動に応用され始め、有権者の投票行動が読みづらくなっていることだ。

以上の3点を詳述する前に、現地での様子を少し記したい(続きは・・・米大統領選現地リポ:激変した戦法)。

グッときました

17日午前、文化放送でご一緒しました。

私はアメリカ取材から帰ったばかりなので、大統領選の話をすることになっていました。こういう日はゲストの方はどちらかといえば「聞き役」になるのですが、山田さんはエネルギッシュに会話に入ってきます。

専門外の話であっても、リハなどなくともドンドンきます。誰もができる芸当ではないです。グッときました!

逮捕します!

映画やテレビドラマ以外ではなかなか聴けないセリフである。

大統領選の取材でニューハンプシャー州に飛び、連日100キロ以上も走り回っていた。同州を地図で眺めるとアメリカ北東部の小さな州にすぎないが、車で走るとかなり広いことに気づく。

サンダーズ候補の集会を取材するためにホテルから北西に70キロほど走り、次にブダジェッジ候補の演説を聴くために北東に60キロほど走る。そのあとホテルに戻るために数十キロを移動するといった具合である。それだけ走っても同じ州なのである。

現地に入って2日目。ハイウェイを走っていると、背後からヘッドライトをピカッと点滅された。ルームミラーを見ると真後ろにパトカーがきている。制限時速よりはスピードがでていたが、車の流れの中で運転していると思っていた。だが停まれという指示がきた。

路肩に寄せると、すぐに警察官が助手席側の窓にやってきた。窓を開けて、「イエス、サー」と話しかける。

「免許証を見せてください」。どういう理由で私を停めたのか、理由を言わなかった。国際免許証を見せると、「この免許証はこの州では使えません。逮捕します」。冗談を言っているわけではない。警察官は真剣な眼差しだった。

私の脳裏に2つのことが去来した。一つは「生まれて初めて手錠をかけられるかもしれない。やっかいなことになる」であり、もう一つは「これは面白い経験ができそうだ。記事に書ける」だった。

ただ私も言うべきことは言わないといけないと思い、「この車はレンタカーで、空港でちゃんと手続きをして借りている。国際免許証が使えないとは言われなかったし、そうであれば車を貸しだしたレンタカー会社に責任があるはずだ。私に非はない」と一気に言った。そして「私はジャーナリストで、いま予備選の取材をしているところだ」とつけ加えた。

すると警察官は「このままではまた車を停められた時に逮捕されるかもしれないので、空港まで戻ってください」とだけ言って、引き下がっていった。心の中で「エッ、逮捕しないの。もう行っちゃうの?」という思いと同時に「ヨッシ!」との叫びもあった。

そのあとも私は同じ国際免許証を使って同じ車を運転しつづけた。現地を出発する日に空港で返却したとき、警察官に停められた話をすると、「それはおかしい」とだけ言われ、あれはいったい何だったのかとの思いがある。

本当に何だったのだろうか?