何ごとにも限度というものがあるが、禁固2430年という数字をきくと、この国はいったいどういった意図でこの数字を出してきたのかと考えてしまう。
いくら重罪を犯した容疑者であっても、服役してから100年以上は生きられないだろうから、それ以上の刑期を言い渡しても事実上、無意味である。日本であれば無期懲役ということで「死ぬまで服役しなさい」という裁断がくだされるが、そうはならない。
トルコの検察当局は今月11日、イスタンブールのイマモール市長を起訴し、禁錮2430年を求刑した。しかも容疑件数は143という数字で、汚職や犯罪組織を率いた等の罪で、「犯罪組織の創設者かつ指導者」とする4000頁におよぶ起訴状を提出。検察側にしてみると、「これほど悪い奴はいない」と言わんばかりの仕打ちに思える。
ただ状況を精査すると、同市長が逮捕されたのは今年3月で、以来、同国では市長を支援するために数十万人単位のデモが行われてきた。というのも、同国の現職大統領であるエルドアン氏の最大の政治ライバルがイマモール氏で、大統領選出馬を阻止するために逮捕したのではないかとの憶測が飛び交っているのだ。
イマモール氏は、これまで申し立てられたすべの容疑を否定しており、逮捕・収監は政治的動機によるものだと主張している。同氏の所属する共和人民党(CHP)も「ナンセンス」として否定しており、現職大統領とイマモール氏との戦いはこれからも続きそうである。
本当にエルドアン大統領が政治的理由でライバルを投獄したとしたら、世界はトルコに対して政治的・経済的を仕打ちをしてしかるべきである。
