次の駐日米大使の素顔

バイデン大統領は次の駐日アメリカ大使として、前シカゴ市長だったラーム・エマニュエル氏(61)を指名することとなった。

実は、私はエマニュエル氏のことを30年ほど前から知っており、何度も取材したことがある(ある男の勝利)。最初は1992年、彼がビル・クリントン氏の選挙事務所で選挙資金を集めていた時にであった。その時は政治家志望であるとはまったく知らず、単なるボランティアだと考えていた。

クリントン政権誕生後、ホワイトハウスで補佐官を務めている時にも顔を合わせたが「大物感」はなかった。だがその後、連邦下院議員に当選して6年間議員を務め、オバマ政権が誕生すると初代の首席補佐官に就任するのだ。そして次のステップとしてシカゴ市長になった。極めて上昇志向が強い人物である。

筆者撮影

そしてこれから駐日米大使になり、少なくとも数年は日本に滞在することになりそうだ。エマニュエル氏と以前、話をしているときに感じたのは、最終的にトップ(大統領)にまで上り詰めたいとの宿望を抱いているということである。それが難しい挑戦であっても、チャンスをうかがっているのだろうと思う。

お手並み拝見である。

ワクチンは薬局で:新型コロナ(39)

コロナワクチンの接種は日本でも2月中旬から医療関係者に対して行なわれているし、4月12日からは65歳以上の高齢者にも一部地域で行なわれている。だが、皆さんもご承知の通り、諸外国と比較するとワクチン接種のペースは上がっていない。

5月9日時点で、ワクチンを2回済ませた人の割合は0.9%。1回だけの人も2.6%という低率で「この先、大丈夫だろうか」という思いがある。65歳以上のお年寄りが接種を受けるために近所の病院に電話をすると、お話中が続いて予約が入らないという話も耳にする。

厚生労働省はいま全国の地方自治体を通して、接種のためのクーポン券(接種券)を送付している。そして接種できる時期がきてはじめて電話やインターネットで接種の予約を入れるという流れだが、このままでは医療関係者と高齢者以外の接種が回ってくるのはずいぶん先になりそうだ。

つい先日、ニューヨークにいる友人に連絡を入れると、すでに「ファイザーのワクチンを2回接種した」ということだった。ご存知の方もいるだろうが、アメリカでは医療機関だけでなく薬局やスーパー内の医療コーナー等ですでにコロナワクチンの接種が行なわれている。

友人もマンハッタンの薬局に飛び込みで入り、翌日に接種をする予約が取れたと言っていた。アメリカはいまでも感染者数と死亡者数は世界一で、決して誇れたものではないが、このあたりの柔軟性と臨機応変さは日本も見習うべきである。

菅首相がやるべきこと:新型コロナ(38)

菅氏は先週、緊急事態宣言の効果について「人流については間違いなく減少している。効果は出始めてきているのではないか」と発言したが、その発言が感覚的で、しかも的外れであったことは、いま首相がもっとも痛感しているのではないか。

首相発言をうけて、ヤフーは「緊急事態宣言の効果は出始めていると思いますか」とネット上で問うと、日本時間5月9日午後3時40分現在、約36万6000人が回答を寄せ、94.1%が「効果が出ているとは思わない」とした。心情的には「菅さん、いったいどこを見てるんだよ!」という思いである。

菅政権のコロナ対策はあまりにも漠然としており、いまになって「1人1人が意識を持って行動し、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な予防策を徹底するよう、改めてお願い申し上げます」(7日)と発言したことに、違和感さえ持ってしまう。

いま必要なのは、たとえば東京では「新規感染者数を何月何日までに100人以下にします」とか、「ワクチン接種を6月15日までに37%の国民に接種します」といった明確な数値目標であり、それに向けての努力である。菅氏の発言はあまりにも漠然としすぎており、真剣さの不足を感じると同時に、周到に練りこまれたコロナ対策ができていないと考えざるをえない。

すでに1年以上もコロナが蔓延しており、首相が強い意志と行動抑制、ワクチン接種の具体的な数値をださない限り、国民はなかなか感染予防に真剣になれないのではないか-。

状況は悪化している:新型コロナ(37)

ニュースを見聞きしている限り、昨日と今日(5日、6日)の東京都の新型コロナウイルスの新規感染者がそれぞれ621人と591人だったことから、少しばかりの安堵が広がっているかにみえる。5月1日には陽性者数が1000人を超えていたので、落ち着いてきたとの見方があるが、私はむしろ状況は悪化していると思っている。

理由は2点ある。一つはこれまでも当ブログで述べてきたとおり、昨日と今日は単に検査数が少なかっただけで、その中での陽性者数にすぎないからである。テレビも新聞も感染者数は報じるが、検査数はほとんど報じない。たとえば4日のPCR検査人数は6585人、5日は5513人である。ところが、陽性者数が1000人を超えた5月1日の前日である4月30日の検査数は8230人である。

当たり前だが、いまの社会状況ではより多くの人を検査すればより多くの感染者がでる。仮に東京都が1日20万のPCR検査をする体制を整えたとしたら、いったいどうなるのか。

もう一つの理由が陽性率の悪化である。これは東京都が開設している「新型コロナウイルス感染症対策サイト」を眺めれば一目瞭然で、ゴールデンウィーク中は検査数が減って感染者数も減ったが、実は陽性率は上がっているのである。

これは危機的状況といってもいいかもしれない。5月5日の陽性率は8.8%である。ところが1週間前の4月28日の陽性率は6.5%。この1週間で急に悪化している。たとえば4月1日の陽性率は4.2%であり、3月1日の陽性率は3.3%だったので、上昇しつづけている。単純計算では、2カ月ほど前は100人のうち感染者は3人だったが、今は9人になったということである。全国ではなく東京都の数字だが、状況は確実に悪化していると言えるだろう。

菅首相はこの状況を正確に国民に伝えるべきである。