米・イスラエル VS イラン(7):イランは第二のベトナム?

イラン紛争が長期化しそうな情勢である。

まだ開始から1カ月ほどしか経っていないが、すでに「第二のベトナムになる」との見方もでており、すぐに収束するようには見えない。その中で、イラン政府は自らが勝利を手にするとの自信をのぞかせていると同時に、今後何年にもわたって中東のエネルギー資源を支配できるといった自信さえみせている。

ただ、トランプ大統領(以下敬称略)とイスラエルのネタニヤフ首相は、紛争の終結時期については相反するシグナルを発している。ネタニヤフは19日、「紛争は人々が考えているよりずっと早く終わる」と述べているが、トランプは逆に数千人規模の海兵隊員を中東に追加派遣したばかりで、長期戦の構えである。冷静に状況をみても「紛争の深度」は浅くなるというより、深まっているのが実情だ。

イランは中東全域で毎日数十発の弾道ミサイルと多数のドローンを発射できる能力を維持しているし、発射頻度は10日前と比較しても増加している。先週、イランはサウジアラビア、カタール、クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦にミサイルを撃ち込み、壊滅的な被害を与えた。アッバス・アラグチ外相は米国にとってのイランを「第二のベトナム」と形容しさえした。

イランは米国と湾岸諸国が大きな代償を払う場合にかぎって停戦に同意すると表明している。さらにイランはホルムズ海峡を通過するすべての船舶に通行料を設けて、支払いを義務付ける計画であるという。米国や湾岸諸国がそうした通行料を受け入れるとは考えにくいし、トランプは必要であれば武力行使も辞さないという姿勢で、ホルムズ海峡の再開のためにすでに数千人の海兵隊員派遣を命じている。

ホルムズ海峡の奪還は決して容易ではないが、不可能ではないと軍事専門家は述べている。ミッチェル航空宇宙研究所のデビッド・デプトゥラ所長は米メディアに、「一夜にして実現するものではないが、時間をかければホルムズ海峡は、この紛争勃発以前の航行レベルまで回復するだろう。数週間以内には実現するだろう」と語っている。

いずれにしても、一刻も早く紛争が終結してくれることを祈りたい。

米・イスラエル VS イラン(6)

米・イスラエルとイランの戦闘は当初、短期間で終わるかに思えたが、攻撃・報復の繰り返しが続き、すぐに収束するようにはみえない。トランプとイラン政府は政治的な突っ張り合いを続けており、このままいけば大規模な戦争へと発展する可能性もある。

その一因のひとつが、トランプが戦争終結のシナリオを描けていない点にある。戦争に入った(開始した)時点で、明確な撤退計画が策定できていないと、ズルズルと戦争は長引いてしまう。何の目的で戦いを始め、何を達成したら止めるということが念頭にないと終わりが見えない。

トランプはイランへの最後通牒として(日本時間22日午前8時45分頃)、48時間以内にホルムズ海峡封鎖の解除を求めたが、そうした流れにはなりそうもない。トランプはイランの発電所を「壊滅させる」と述べ、それに対するイランはトランプが脅迫を実行に移した場合、海峡を完全に閉鎖し、破壊された発電所が再建されるまで再開しないと反論している。

今回の対立は1970年代以来最悪のエネルギー危機に発展しつつあり、世界的な原油高、さらには経済危機につながりかねない。ここは首脳たちの叡智に期待したい。

トランプの心根

「奇襲については、日本より詳しく知っている人がいるというのか?なぜ私に真珠湾(攻撃)について事前に言ってくれなかったのか」

ホワイトハウスで高市早苗首相(以下高市)と会談したトランプ大統領は20日、米国のイラン攻撃が奇襲だった点に触れて、こうおどけてみせた。ともすれば他国の元首には厳しい態度で接することもあるトランプ。しかし、日本の首相に対してはいつも親日的な態度で接している。

私は1990年にワシントンでジャーナリストとして独立して以来、ずっと日米会談を見てきているが、米大統領の態度には篤志(とくし)と呼べる共通する思いやりを感じる。トランプは他国の元首には攻撃的な言動を見せもするが、日本の首相にはいつも米国的な優しさを表すのだ。

外交は人間対人間の関わり合いが基礎になる。いくら外野席で専門家があれこれ捲し立てたとしても、日本への接し方には温かさが滲む。これは日本の歴代首相が米大統領には決して逆らわなかったということに尽きるかと思う。それをホワイトハウス側はよくわかっているのだ。

主義主張を前面に出すよりも、良好な二国間関係を重視して柔軟に接していく方が得策であるということを日本人は知っているのだろうと思う。