今日のお宝(10)

「死ぬ前に何か一つだけ食べることを許す」と悪魔に言われたら・・・。

私は何年も前から南国酒家原宿本店の「かにの卵入りフカヒレスープ」と決めている。食べた直後、「アアア明日死んでもいい」と思う。

でも翌日になると「死にたくない」と小さく呟いて、何事もなかったかのようにその日を過ごすのである。

いつの間にか・・・

いつの間にか、人生の折り返し点を過ぎてからずいぶん時間が経った。歳をとることに恐怖も羞恥もないが、どうしても若い人たちとの間に考え方やライフスタイルに違いができる。

これは当たり前のことだが、違いがあることに腹を立てないようにしている。たとえば電車に乗ると、ざっと見渡すかぎりで8割くらいの人がスマホをいじっている。ラインやゲームをしたり、ネットニュースを読んだり、音楽を聴いたりと自由自在だ。

私もスマホを見ているので不満があるわけではない。ただ本を読む人をほとんど見かけないので、「本をもっと読もうよ」と心のなかで叫ぶことがある。もちろんネット書籍をダウンロードして読んでいる人もいるので、「読んでますよ」と反論されるかもしれないが、それでも以前よりは減っている。

最近、わたしはまた小林秀雄の文庫本を読んでいる。2年前の当欄で「小林秀雄の言葉」というブログを書いた、あの小林である。

浅薄な事象があふれている世の中で、時代を越えて閃光をはなつ思索や表現が次から次へと表出する。私も長い間モノを書いているが、いつも小林の文章を読むと脱帽してしまう。

本の中で次のような指摘があって、おもわず線を引いてしまった。

「弱い作家というのはみな生活の方が進んでいるのです・・・もっと平凡な言葉でいうと、だいたい作家に会ってみると、その作品よりも人間の方が面白い。これは普通のことですけれども、作品を読んだら本人にはもう会いたくないところまでくると、これは大作家です。(会ったことはないけれども)ドストエフスキーはもう会ったって何にもなりません。「カラマゾフの兄弟」のような大表現を日常生活ではしていないはずです」

これほど納得させられた私見を最近、お目にかかっていない。これは作家以外の芸術家や表現者にもいえることで、作品が秀逸すぎて世の中から圧倒的なまでに突き出していたら、作者はその下に位置することになる。

いまの時代ではいったい誰になるだろうかー。

オールブラックス:動くカーテン

ブレた写真ですみません!

友人のオランダ人ジャーナリストから、「ニュージーランド戦のチケットがあるから一緒に行かないか」との誘いを受けた。「もちろん行くよ」と答えて6日正午過ぎ、調布の東京スタジアムに向かった。

4万8000人が入ったスタジアムには外国人も多かったが、やはり7割くらいは日本人。オールブラックスのファンも多かったが、ニュージーランドがあまりにも強いので、必然的に判官びいきになって多くの人がナミビアに声援を送っていた。

ナミビアの選手がボールを持って走り、黒いジャージの中を少しでも抜けると「フォーーー」という声とともに大きな拍手が起こる。だがオールブラックスのディフェンスは固く、まるで動くカーテンのようで、ナミビアは1つのトライもあげられずに試合は終わった。結果は11個のトライを奪ったニュージーランドが71対9で勝った。

スタジアムで観ていると、80分はあまりにも短く、あと2、3時間は試合を観ていたい衝動にかられた。アメリカン・フットボールと違い、ラグビーはスクラムやラインアウトになって試合が続行されていない時間も時計は止まらない。それだけに本当にアッという間に試合終了になってしまった。

それでもボールを少しでも前に運ぼうとする選手たちの魂魄がつたわってきて、胸の奥がなんども熱くなった。今月20日の準々決勝も観る機会を得ている。ア・リ・ガ・ト・ウ!

男はつらいよ 50作目

いよいよ「男はつらいよ」が帰ってくる。

10月3日午後、50作目の「寅さん」を完成させた山田洋次監督(88)が日本外国特派員協会の記者会見に姿をみせた。一般公開は今年12月だが、今月28日から始まる東京国際映画祭に出品されたことで、この日の会見になった。

「渥美さんが亡くなって20年以上が経ちます。この映画を観たら、『オレ、びっくりしたよ』と言うでしょう」

というのも、50作目は過去のシーンを4Kデジタルで蘇らせたと同時に、柴又「とらや」の住人だった倍賞千恵子や前田吟、吉岡秀隆が新たなドラマを展開させることで完成した作品だからだ。

会見で私が「シリーズものの難しさと過去の作品で一番苦労したものは?」と訊くと、監督は「観客の期待を裏切ってはいけないし、同じものを出すわけにもいかない。同じ中でも違うものを提示するところに難しさがあった。過去の作品では48作目が一番苦労した。というのも(C型肝炎だった渥美氏が)持つかどうかというところだったから」とすぐに返答した。

最後に冗談交じりで、100歳までいけるかという話を笑いながら述べていた。

アメリカの分断

トランプ大統領(以下トランプ)が追い詰められつつある。

トランプはウクライナ疑惑もやり過ごせると思っていたかもしれないが、日に日に弾劾の現実性は高まりつつある。(弾劾については・・トランプ大統領弾劾へ ペロシ下院議長も …

だが弾劾を推し進めているペロシは今春まで、「弾劾は国家を分断させます。やむにやまれぬ証拠があったり、圧倒的と言えるような超党派の力で弾劾を推し進められない限り、すべきではないと考えます」と言っていた。しかし態度を変える。

実は春に述べていたことは、状況を的確につかんだコメントでもあった。というのもキニピアック大学の最新世論調査によると、米国民の弾劾への賛否は「47%対47%」で、いまのアメリカはトランプ弾劾で真っ二つに割れている。

トランプは「弾劾されるべき」と考える人と、トランプは「民主党によって不当に扱われている」と考える人がいるが、それは民主党支持者と共和党支持者の拮抗でもある。2016年選挙の結果同様、2020年選挙でもトランプと民主党候補の得票数はほぼ互角になるはずで、これがいまのアメリカの姿である。

けれども政権発足以降のトランプの言動をみる限り、資質や人格といった観点だけでなく、政治家として、また一人の良識ある人間として、トランプはホワイトハウスにいてはいけないというのが個人的な見解である。(敬称略)