二人は握手もせず、最初からずっと敵愾心をむき出しにしていた。心の中を覗いたら、信じられないような過激な言葉が隠されていたかもしれない。
米時間27日午後9時からジョージア州アトランタ市で始まったジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ氏のテレビ討論会。米国の大統領選には選挙期間が設けられていないため、長期間に渡って選挙活動を続けられるが、現段階ではすでに米有権者の8割がどちらに投票するか決めているといわれる。
討論会では経済問題から移民問題にいたるまで多くの議題で論戦が繰り広げられたが、相互に言いたいことを言い合う場面がほとんどで、議論が噛みあわない。バイデン氏は今回、1週間前から特訓を重ねていたが、声はかすれ、沈黙があったりと精彩を欠いた印象は否めない。
けなし合う場面も多く、トランプ氏が「あなたがやってきたこと、過去のことも含めて、もはや完全に犯罪だ」と糾弾すると、今度はバイデン氏が「あなたの言ってことのすべてがウソだ」と捲したてる。
私は1984年のレーガン・モンデール両氏の大統領選を現地でみて以来、ずっと追っているが、これほど明け透けに両者がけなしあった討論会はなかったかもしれない。それほどお互いの感情がむき出しになり、「両者ともに大統領という公職には相応しくないのではないか」と思ったほどである。しかも80歳前後のご高齢で、「若く、バイタリティーに溢れた候補はどこにいったのか」というシンプルな疑問が湧き上がってきて、今年の選挙にはいくつものクエスチョンマークがついている。