TV討論会: バイデンvsトランプ

二人は握手もせず、最初からずっと敵愾心をむき出しにしていた。心の中を覗いたら、信じられないような過激な言葉が隠されていたかもしれない。

米時間27日午後9時からジョージア州アトランタ市で始まったジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ氏のテレビ討論会。米国の大統領選には選挙期間が設けられていないため、長期間に渡って選挙活動を続けられるが、現段階ではすでに米有権者の8割がどちらに投票するか決めているといわれる。

討論会では経済問題から移民問題にいたるまで多くの議題で論戦が繰り広げられたが、相互に言いたいことを言い合う場面がほとんどで、議論が噛みあわない。バイデン氏は今回、1週間前から特訓を重ねていたが、声はかすれ、沈黙があったりと精彩を欠いた印象は否めない。

けなし合う場面も多く、トランプ氏が「あなたがやってきたこと、過去のことも含めて、もはや完全に犯罪だ」と糾弾すると、今度はバイデン氏が「あなたの言ってことのすべてがウソだ」と捲したてる。

私は1984年のレーガン・モンデール両氏の大統領選を現地でみて以来、ずっと追っているが、これほど明け透けに両者がけなしあった討論会はなかったかもしれない。それほどお互いの感情がむき出しになり、「両者ともに大統領という公職には相応しくないのではないか」と思ったほどである。しかも80歳前後のご高齢で、「若く、バイタリティーに溢れた候補はどこにいったのか」というシンプルな疑問が湧き上がってきて、今年の選挙にはいくつものクエスチョンマークがついている。

“America”

先日、ある人に「堀田さんの一番好きな歌手って誰ですか」と訊かれた。私は迷うことなく「サイモン&ガーファンクル(Simon&Garfunkel) 」と答えていた。

もうおじいちゃんの領域に入っているので、どうしても若い時に聴いた歌手が出てきてしまう。中学に入った頃から何十年となく聴きつづけているアーティストだが、サウンドは半世紀以上たった今でも新鮮である。少なくとも私はそう思っている。

今日はどうしても彼らの「America」を聴きたくて、仕事場でヘッドフォンを使って聴き入った。皆さまも聴いてみてくださいませ。

America (youtube.com)

ナベサダです

仕事場である日本外国特派員協会にはさまざまな著名人がやってくる。今日(6月25日)のランチョンに現れたのはナベサダこと渡辺貞夫氏。

サックスの演奏はなかったが、1時間の講演ではほとんどの時間を英語でこなした。しかも書かれた原稿を読むわけでもなく、その場でモノを考え、自分の言葉(英語)で話をつづけた。渡辺氏は見た目も話しぶりも若々しく、どこから眺めても91歳には見えない。

話は戦後の混乱期からはじまり、進駐軍にハーシーズのチョコレートをもらったことや、高校時代にクラリネットを手にし、そこからジャズに傾倒してアルトサックスに転向した経緯などを述べた。

質疑応答では私が真っ先に手をあげて、「今年は年末まで多くのコンサートが予定されています。91歳になっても精力的に音楽活動をこなせるエネルギーはどこからくるのでしょうか。秘訣をお教えください」と訊いた。

すると渡辺氏は「Nothing!(何もない)」と即答。

「70歳代も80歳代も休みなく毎日練習してきた。いまでも毎日1時間は吹いているが、当時は2、3時間はやった。吹かなければいけないという気持ちで、楽しんでやっている」

「好きこそものの上手なれ」ではないが、好きであるがゆえに演奏は自然になされるものとの印象を受けた。このまま100歳まで走り続けていきそうである。脱帽!

バースデー

僭越ですが、私の誕生日に合わせ(6月22日)、湾岸のホテル(東京ベイ鶴見プリンスホテル)に宿泊。ここはアメリカのホテルのような空間の広がりがあるばかりか、大浴場が屋内でありながら25メートルプールほどの大きさがあり、驚いてしまった。

これまでさまざまな浴場に行っているが、これほどの規模の湯船が屋内にあったのは初めてだった。誕生日ということで、少しばかりの贅沢だった。

藤井聡太はこれからの人

すでにニュースで伝えられている通り、藤井聡太氏が20日、叡王戦で伊藤匠七段に敗れた。メディアはしきりに「8冠から7冠に後退した」という伝え方をし、藤井氏でも負けることがあるんだというニュアンスを漂わせている。

確かに8冠を獲得してから約8ヵ月、トップの座を守り続けて無敵の強さを誇っていたので、私などは「この人はもう誰にも負けないのではないか」と思っていたほどだ。今回負けたことで「彼も人間だった」との思いが去来した。

私は将棋は素人なので、深く考察できないが、今回、藤井氏は前半に優勢をたもっていながら時間を使いすぎてしまい、後半は1手を60秒未満で指さなくてはいけなくなり、熟考できずに敗れたと解釈している。本人はタイトルを一つ失っただけでも相当のショックを受けていると思うし、映像を見るかぎりでも青ざめているように見えたが、まだ21歳である。

人生の勝負はこれからであり、私はできるだけ長期間に渡って将棋界をリードしていってほしいので、ぜひ8冠に返り咲いてほしいと思う。いや彼ならできるはずで、こうしたタイトルを失う経験を積むことで、今以上に強い棋士になっていくことを願っている。