トランプ:有罪

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米ニューヨーク州地裁は30日、ドナルド・トランプ前大統領(以下トランプ)を34の罪状すべてで重罪と判断した。12人の陪審員が全員一致で有罪判決を下した。

トランプはこの判決を予期していたはずで、本人はたぶん「やはり」くらいの反応だったかと思うが、自分がいかに大統領という職に相応しくない人物であるかをあらためて知る必要がある。

共和党保守派の多くは、有罪判決がでたあとも依然としてトランプ支持を変えていないが、こうした横暴で独善的で、平気で虚言を吐ける人物を再び大統領にしようという考えは否定されるべきである。

トランプという男は政治家の前に、人物として失格の烙印が押されてしかるべきである。

米大統領選:より多くの資金を集めるのはどっち

米大統領選挙はこれまで、「より多くの選挙資金を集めた候補が勝つ」と言われてきた。それほどカネとホワイトハウスには密接なつながりがあった。カネで大統領職が買えるわけではないが、1988年の大統領選から2016年までの30年間、ライバル候補よりも多くの資金を集めた候補が勝ってきた。例外はない。

ただ2016年、ある人物がそのジンクスを破る。それがドナルド・トランプだった。同年の大統領選はトランプ対ヒラリーの戦いで、トランプの選挙資金総額はヒラリーが集めた額のほぼ半分だったが、トランプが勝つのである。それまでの選挙であれば、トランプが勝つ可能性は極めて低かったはずだが、、、。

米大統領選は日本よりもはるかに自由闊達に選挙活動を行える。それはテレビやラジオ等を使った政治広告費に制限がないことから、集めた選挙資金を無尽蔵に使うことができるためだ。テレビの政治CM本数にも制限がなく、より多くのCMを放映することで、その候補の名前や政策などを視聴者に伝えられる。獲得できる票数は使途した選挙資金にほぼ比例する形で伸びるため、より多くの資金を集めた候補が勝つという、ある意味で単純な流れがあった。

ところが、インターネットがそれを変えた。多額の資金を割かなくとも、ネット上で有権者に候補のよさを伝えられれば、テレビの影響力を凌駕できる。それを成し遂げたのがトランプだった。

今年の選挙ではそのトランプがまた復活する可能性がある。現職バイデンの4月までの選挙資金は約1億8200万ドル(約285億円)であるのに対し、トランプ陣営の方は約1億2400万ドル(約195億円)でしかない。11月の本選挙までトランプは巻き返しを図って集金に力を入れてくるだろうが、仮にトランプが資金面で遅れをとっても、2016年を再現できれば・・・。(敬称略)

あらためて村上春樹

自宅の本棚を眺めていると、まだ読んでいない本が目にとまった。

本はまとめて数冊買うこともあるし、1冊だけ買いたいものを手にとることもある。その本は昨年出版された村上春樹氏の文庫本で、どうしたわけか本棚の奥にひそんでいて読んでいなかった。

村上氏は私の大学の先輩で、あまりにも人気がある書き手なので、長い間敬遠していた。だがある時から読み始め、「やはり面白い。読者をストーリーの中に引き摺り込む術を心得ている」と思ってからはよく読むようになった。

その本は昨年、文藝春秋社から出た『一人称単数』という文庫本で、8本の短編がまとめられている。さっそく今朝(25日)、『石のまくらに』という最初の小説を読んだ。主人公は大学2年の青年で、バイト先でであった歳上の女性と一晩を共にする話なのだが、相変わらず読みやすい筆致でどんどん進む。

いまさら私が村上氏の作品の良さを説明することほど野暮なことはないだろうが、今朝、あらためて思ったことをいくつか記したいと思う。ひとつ目は誰にでも起こりうることを題材にしていながら、その題材を正面や裏面だけでなく、多角的に眺めながらさりげなく書いている点である。さらに読者が疑問を抱くことをよく理解しているので、その答えを自然に物語の中に配置して読者の満足感を高めている。

さらに心に残るセリフはずっと後まで残るほどで、やはりモノ書きとしてのセンスの良さを感じざるを得ない。たとえば、文中で「人を好きになるというのはね、医療保険のきかない精神の病にかかったみないなものなの」というセリフを主人公に言わせる。これは村上氏らしい表現で、ウウウと唸ってしまった。

またしばらく村上熱が蘇りそうだ。