米大統領選:勝負になるのは6州

米国の大統領選が総得票数ではなく、選挙人の数で争う選挙であることは多くの方がご存じかと思う。18歳以上の国民であれば投票の資格があり、実際に投票する時には、今年であればバイデンかトランプといった名前を選ぶが、そのあとが日本とでは違う。

全米50州に割り当てられた選挙人は人口比によって数が違う。人口のもっとも多いカリフォルニア州には55人が、テキサス州には38人が、人口の少ないバーモント州やモンタナ州にはそれぞれ3人が割り当てられており、50州を合わせると538人になる。

選挙では勝った州の選挙人を積み重ねることで、538人の過半数である270を奪った時点で次期大統領の誕生という流れになる。選挙であるので、結果はフタを開けるまでわからないのだが、歴史的に多くの州がリベラル州(民主党寄り)か保守州(共和党寄り)にわかれているため、カリフォルニア州がトランプに流れることはまずありえないし、テキサス州がバイデンにいくことも考えにくい。

ただ年によっては支持率の高い候補が圧勝することもある。たとえば1964年選挙ではケネディ亡き後、リンドン・ジョンソンが44州を奪ってゴールドウォーターを制したこともあった。同年の選挙人数はジョンソンが486人、ゴールドウォーターが52人という大差だった。

だが今年はバイデン・トランプの支持率は肉薄しており、いくつかの激戦州が勝敗のカギを握ることになりそうだ。現時点では6州がキャスティングボードを握るといわれている。6州というのは、アリゾナ、ウィスコンシン、ジョージア、ネバダ、ペンシルベニア、ミシガン。ノースカロライナも入れて7州としているところもある。今年の総有権者数は約2億4400万人だが、実際に影響力をもつのは限られた州の有権者ということになる。さあ、あと半年である。(敬称略)