最後まで支持を失わなかった蔡英文総統

今日(20日)、台湾に新しい総裁が就任した。1月に行われた総統選で勝った民進党の頼清徳氏(64)が蔡英文氏を引き継ぐかたちで新総統に就いた。

私にとって、台湾は中国からの統一圧力をどうかわし続けるかが最も関心のおよぶところで、台湾史上初めて女性でトップに就いていた蔡氏は過去8年間、よく健闘したと思っている。中国の習近平国家主席は「祖国統一は歴史の必然だ」と繰り返しのべ、台湾を併合したい考えを隠さないが、台湾は独立国家であり、主権を守り続けなくてはいけない。

軍事的な圧力を強める中国に対して、蔡氏は「平和には善意を要するが、それ以上に実力を要する。自衛の決意を示すことこそが、国際社会が共同で台湾と台湾海峡の平和と安定を守る上での最も重要な支えだ」と述べて、最後まで強気の姿勢を崩さなかった。

ただ同時に、「できるだけ早く健全で秩序ある交流を回復したい」と述べてもおり、対等に対話ができる2国間関係を築いて、長期的・安定的な平和共存の道を探ってもいた。この点で、蔡氏の政治力は十分に評価されてしかるべきだろう。

退任前に台湾のTV局が行った世論調査では、蔡氏に「満足」と答えた人が42%であった一方、「不満」は46%で意見はほぼ半々にわれていた。しかし、前任の馬英九氏への「満足」は23%、その前の陳水扁氏は13%でしかなかったので、健闘を讃えるべきだろう。今後は頼氏が台湾をどうリードしていくかが見ものである。