有料の救急車

救急車の有料化が話題になっている。

三重県松阪市では今年6月から、救急車を呼び、患者が入院にいたらなかった時、 保険適用外の「選定療養費」として1人あたり7,700円(税込)を徴収しはじめた。そして今月2日から、茨城県でも救急車を呼んで患者に緊急性がないと判断された場合、1100円から1万3200円が請求されるようになった。

これまで救急車は税金で賄われるため、「無料」という認識があったかと思う。だが、救急車の要請件数が増え、地域によっては無料ではたちゆかないレベルにきたということなのだろう。ちなみに、茨城県の場合、昨年の救急搬送件数は14万件を超えたという。この傾向は全国レベルで広がると思われるので、これからはどの地域でも「救急車を呼んだら搬送料をチャージされる」と思っていた方がいいかもしれない。

ただ、私は米国で25年間生活した経験があるので、救急車を呼ぶと「おカネがかかる」というのは当たり前という認識である。首都ワシントンで生活していた時、幸いにも救急車にお世話になったことはなかったが、米国では日本よりもはるかに高額な搬送料がチャージされる。

いま調べると、1回の搬送料は500ドル(約7万5000円)から3500ドル(52万5000円)で、保険で賄われることもあるが、自己負担であればかなりの額になる。かつては米国でも無料だったが、1985年にシカゴで有料化がはじまり全米に広がった。米国は広いので、地域差だけでなく、どれほどの距離を搬送されたのか、さらに受けた医療レベルによっても値段が違ってくる。

救急車は社会生活においてはなくてはならない医療サービスなので、できるだけ低額に抑えていただきたいものである。

Black Friday

日本でもBlack Friday(ブラック・フライデー)という言葉が一般的になってきた。この言葉は米国の感謝祭(Thanksgiving)の翌日の金曜日のことで、今年であれば11月29日にあたる。米市民にとって、感謝祭はクリスマスに次ぐ祝日といえる日で、家族が集まって七面鳥を食べるのが慣わしだ。

その金曜からクリスマスショッピングが始まり、小売業界では1年でもっとも売り上げが見込める日であるため(黒字)、この言葉が使われている。私が渡米した年(1982年)の感謝祭、アメリカ人の友人がオハイオ州の実家に招いてくれて、生まれて初めて七面鳥の丸焼きを目の当たりにし、舌鼓をうった。その時にブラック・フライデーという言葉を耳にし、意味を教えられた。日本では知らなかった米文化に触れた思いだった。

米国でBlack Fridayという言葉が使われはじめたのは1950年代からだという。そしていま、Cyber Monday(サイバー・マンデー)という言葉が登場している。感謝祭の翌週の月曜日からはじまるオンラインによる一大商戦のことで、週が明けてからゆっくりとオンラインで買い物をするところが特徴だ。いずれにしても、年末商戦にネーミングをすることで売り手側にとっては大きな利点となっている。

『ゼロで死ね』(2)

昨日の当欄で、『ゼロで死ね』というタイトルのブログを書いた。今日はその続編である。というのも、『ゼロで死ね』という書籍(ビル・バーキンス著・ダイヤモンド社)を紹介しておきながら、読まずに書いたので歯がゆくてしょうがなく、本屋に行って買い求めてきた。

読み始めると、興味深い記述が次から次へとでてくる。ノートに記しておきたいほどの指摘が多く、ベストセラーになっている理由が理解できた。ここでは記述のいくつかをご紹介しようと思う。

「蓄えるだけの人生よ、さようなら!いま味わえるはずの喜びを極端に先送りすることに意味はない」

「人生は経験の合計。あたなが誰であるかは毎日の経験の合計によってきまる」

「老後で何より価値が高まるのは思い出だ。(中略)とにかく早い段階で経験に投資すべきだ。そうすれば、年齢を重ねるほどに驚くほど多くのリターンが得られる」

「必要以上に貯め込むことや、金を使うタイミングが遅すぎるのが問題」

「慎重派の人は150歳まで生きるかのような過度な貯金をしてしまう」

「富の最大化ではなく、人生の喜びを最大化するための方法を探すこと」

まだまだ多くの良質の指摘があるが、ここではこれくらいにしておきたい。もっと知りたい方は同著を手にとって頂ければと思う(私は同著のセールスマンではないが、、、)。

『ゼロで死ね』

昨日(11月23日)の朝日新聞朝刊に、『ゼロで死ね(Die With Zero)』という書籍が紹介されていた。日本人の高齢者の約3分の1は生きているあいだに財産を使い切りたいと考えているが、実際は1割から2割しか使わずに死んでいくというのだ。

著者はビル・パーキンス氏という米国のヘッジファンド・マネジャーで、日本人に財産を使いきることに対して罪悪感を抱かないようになってほしいとの思いから同書を記したという。以前、老後2000万円問題という話題が世間を騒がせた。多額の退職金を手にしても、多くの日本人は貯めるだけで使い切って死ぬという考えをなかなか持てない。

パーキンス氏はゼロになるまで使いきらなくとも、「人生をより充実させるために」使うべきであるとする。1985年にノーベル経済学賞を受賞したフランコ・モディリアーニ氏が提唱した「死ぬときに残高がちょうどゼロになるように消費行動をすべきだ」との考えにもとづいている。

この分野はすでに多角的に考察されていて、退職後の手持ちの資産はそうそうは減らないことがわかっている。それは日本でも米国でも同じで、65歳で退職した米国人の資産の減少率は85歳になった時でも1割に過ぎないというのだ。歳をとると意外にお金を使わなくなる点も、多くの高齢者の共通するところ。

私もすでに前期高齢者というカテゴリーに入り、以前のようにガンガン使うということが少なくなった。将来、病気になってお金が必要になるかもしれないとの思いは誰しも抱くが、「ゼロで死ぬ」という消費行動は経済を活性化させることにもなり、少しばかり実践してみようかと思っている。

好奇心は人生の原動力

昨晩(11月9日)、テレビを観ていたら、出演者の一人が「好奇心は人生の原動力」というフレーズを口にして、妙にその言葉が脳裏に残ってしまった。好奇心を抱くことが大事であることはよくわかっているが、敢えて言葉にすることで、意識していろいろなコトに興味をもって動けるようになるかと思う。

ただ、このフレーズは以前にもどこかで耳にしたような記憶があり、少し調べると、2021年にノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎氏が口にしていた。ただ、同氏が述べた言葉は「私の研究の原動力のすべては好奇心だった」というもの。真鍋氏はまた、「(研究を)心から楽しんでいた」とも発言している。

人から「これをやれ。あれをやれ」と言われて動くのではなく、自らが好奇心を抱いて行動することが重要であることを改めて意識することで、また新たな仕事が立ち上がるかもしれないし、もう一歩先に進めるかもしれない。

さあ、この1週間も張り切っていきましょう!