「日本発」のニュースはいずこに?

昨日のブログで新しい単語(rizz)について記したが、その単語を口にしたアメリカ人ジャーナリストとその後もしばらく話を続けていた。彼が大変興味深い指摘をしたので、今日はそのことを少し記したい。

彼が最近感じているのは「日本発のニュースが売れない」ということだった。

「世界を驚かせるようなことが起きないばかりか、政治的に世界に影響を与えるようなこともしていない。経済的にもかつてのような勢いがなくなっているので、日本発のニュースを発信しずらい」

「日本発」のニュースが「売り」にならなくなっているということのようだ。新しい商品が開発されたといったニュースはあるが、これから世界を巻き込む規模で新しい政治・経済の潮流を生みだすまでにはいたっていない。

今年4月に米CBSニュースが東京支局を閉鎖したということを書いた(米CBSニュースが東京支局を閉鎖)が、実はタイム誌やニューズウィーク誌、ロサンゼルス・タイムズ紙などは10年以上も前に東京支局を閉めている。

私は前出の彼に、「以前にくらべると、日本人がより内向きになっている気がする。いまでも世界を相手に仕事をしている人はいるが、世界的な大局観をもって影響力を与えていきたいという人は少なくなっているかもしれない」と言うと、「私もそう思う」と同意してくれた。

なんとかしてこのネガティブな動きを反転させたいものだが、、、。

台風シャンシャン

いま西日本に上陸している台風10号は、国際名では「シャンシャン(Shanshan)」という名前がつけられている。以前から台風には英語らしい人名がつけられていたが、2000年からはアジア名がつけられるようになり、今回は昨年中国に返還されたパンダと同じ名前のシャンシャン。可愛い名前がつけられているわりには猛威をふるっているので、毎回名前と実像とでは落差があると感じている。

台風もハリケーンも同じ熱帯低気圧で、発生する地域によって呼び方がちがう。ただ台風は最大風速が秒速17メートル以上、ハリケーンは秒速33メートル以上になったものをいう。

個人的にもっとも印象に残っているのは、ジャーナリストとして初めて取材した1992年のハリケーン「アンドリュー」。それまで米国カテゴリー5(最大)に分類されたハリケーンは3つしかなく、そのうちの一つだった。フロリダ半島を横断して大きな被害を残し、現地に足を踏み入れて唖然とした(写真下)

筆者撮影

カンバンが飛ぶとか木が倒れるといったレベルではなく、被害の最も大きかったホームステッド市ではほとんどの家屋が倒壊していたのだ。台風でここまでメチャクチャになった日本の都市を知らない。

「自然の猛威」とよく言われるが、そんな簡単な言葉では言い表せない凄まじさを目の当たりにして、人間の小ささを感じた。台風でここまでメチャクチャになった日本の都市はあるだろうか。

大谷翔平が目指すもの

連日、海の向こうで大谷翔平が大活躍している。今日(日本時間8月19日午前)、伝えられた記事の見出しは「2試合連発、2年連続40本塁打に王手」というもので、どこまで記録をのばすのかが楽しみだが、ここまでくると、彼が本当に目指しているものが何なのかが気になる。

私は世界一の記録を見据えているのだろうと思っている。それは本塁打が50本というレベではなく、バリー・ボンズが打ち立てたシーズン73本塁打という数字である。さらに今シーズンは盗塁も積極的に行っているので、ボンズが達成した史上唯一の500本塁打、500盗塁を究極的には意識しているかもしれない。

いずれにしても、野球界史上、最高の選手になり得る人なので、今後が楽しみである。(敬称略)

『91歳5か月』

誰が91歳5か月なのかーー。

女優の岸恵子さんである。「エッ、もうそんな歳」と思われたかもしれないが、実際は今月92歳になっている。

新連載】 「マイ・ゼロ・ストーリー」 第1回 岸惠子 | インタビュー | 花椿 HANATSUBAKI | 資生堂
Photo courtesy of Hanatsubaki

『91歳5か月』というのは岸さんの最新エッセイのタイトルで、副題に『 いま想うあの人 あのこと 』という言葉がついている。出版されたのは今春なので、すでに本屋に並んで数カ月がたつが、私は今日はじめてこの本の存在を知ったので当欄に書かせていただく。

まずタイトルの斬新さに驚かされた。岸さんの写真が表紙に使われていたので、岸さんが91歳5か月なのだとは思ったが、歳そのものをタイトルにすることの意外性と、実年齢と写真とのギャップにハッとさせられた。出版社をみると幻冬舎とある。やってくれるものである。

「 月日は容赦なく流れ、私は九十歳になってしまった・・・」という書き出しは、岸さんがこれまで出会ってきた多くの著名人について 、そして自身の人生について素直に書き記すであろうことを示唆していて興味がわいた(まだ読んでいない)。

出版社は「 豊饒な孤独を生きる女の人生賛歌、全18話 」と紹介し、 鶴田浩二や石原慎太郎、小田実、瀬戸内寂聴、三國連太郎、美空ひばり、さらに力道山や川端康成といったそうそうたる面々との逸話を紹介している。読み応えがありそうだ。

早く実現させるべき:同性婚

前回の当ブログで、夫婦別姓について記した(早く実現させるべき:夫婦別姓)。今回は「同性婚」である。

夫婦別姓よりも同性婚を制度化する方がハードルが高いし、時間もかかるかもしれないが、同性カップルを夫婦として認めている国は今年3月時点で37カ国にのぼる。主要7カ国(G7)で同性婚を認めていないのは日本だけだ。

結婚という制度が異性であっても同性であっても、どちらにも平等に存在するという考え方に立脚すれば、同性婚は認められてしかるべきだろう。日本のように認めないという国は言ってみれば、制度設計をしていない、つまり「何もしていない」と思われてもしかたがない。

2001年にオランダが世界で最初に同性婚を合法化してからすでに23年。オランダでは3万組以上の同性カップルが誕生している。結婚しなくとも一緒に暮らすことができればいいはず、という考え方もあるが、結婚という手続きを踏むことによって配偶者と子ども(実子・養子)の共同親権を持てたり、配偶者が死亡した場合の相続や年金を受給できたり、所得税・相続税の控除や医療費控除といったさまざまなメリットを享受できるようになる。

アジアでは台湾が2019年に同性間での婚姻を認めた。多くの市民が長年活動をつづけてようやく手にした成果だった。それまでは性的なマイノリティとの意識が強かったが、法的に認知されたことでカミングアウトしやすくなったという。それは同性愛の人たちであっても「結婚」が当たり前になってきたということを意味する。

日本では東京都をはじめ、多くの自治体が同性間の「パートナーシップ制度」を導入しているが完全な制度ではない。同性カップルでもG7諸国のように結婚という、より強い関係を持つことができるようになってほしいと思う。