祝!世界一

WBCの決勝で日本は米国を3対2で破り、3大会ぶりに優勝を果たした。大谷が最後に米トラウトを三振に打ちとったときには、本当に涙が出てきた。こうした試合をテレビで観ていて、涙をこぼした記憶がほとんどないので、初めてと言っていいかもしれない。

それほど日本人選手は躍動していたし、自信を持ってプレーしているのがわかった。素晴らしい試合だった。ただ昨日(21日)の準決勝の試合の方が盛り上がりという点では上だったし、感動レベルではまさっていた。それほど今回のWBCは楽しませてくれた。

個人的には原稿の締め切りがあり、仕事をしなくてはいけなかったが手がつかず、これからねじり鉢巻で頑張るしかない。(敬称略)

ヌートバーに功労賞を

WBCでの日本チームの快進撃が止まらない。特にラーズ・ヌートバーのプレーには舌を巻く。彼のプレーからは、観ている人たちを楽しませ、日本全体に活力を与えてくれるような前向きさが伝わってくる。さらに日本チームの一員としてプレーできていることに喜びを感じているようでさえある。

グラウンドに飛び込むようにしてフライを捕球する姿は、ある意味で感動的だ。周囲の人たちに敬意を払う様子も好感がもて、WBCが始まってからファンになった。今はもう日本チームに欠かせない選手になったと言っていい。

MLBのツイッターを読むと、ヌートバーのファンは日本だけでなく、アメリカにも増えていた。米国ファンのコメントをいくつか紹介する。

「野球が簡単に世界を1つにする様子がわかる」
「ヌートがワールドワイドに」
「彼は国際的なセンセーション。信じられない」
「彼をもう米国に連れ戻すことはできない」
「ああ、彼は私たちのところには戻ってこないのか」

今後の結果がどうであれ、彼には功労賞を進呈したい!

花粉症に白旗

このところ花粉の飛散量が凄まじい。私は米ワシントンに住んでいたときからの「つき合い」だから、20年以上も苦しめられている。年によって、日によって、症状に差があるが、基本的にこの時期は花粉症で鼻はズルズルになる。

いまは何種類も花粉症の薬が市販されており、私は「A」というアレルギー専用の鼻炎薬を服用している。だが、ピシャっと鋼鉄のドアを降ろして花粉をシャットアウトするようなことはできない。飲んだ方が症状が改善することが多いので服用しているが、スギ花粉がピークを迎えようとしている時に、今度はヒノキ花粉が飛び始めるというニュースも伝わり、もうウンザリである。

花粉が体内に入るとIgE抗体がつくられ、蓄積量があるレベルに達すると次に花粉が入ってきたときに症状を起こすのだが、「なんとかしてください」というのが正直な気持ちである。

ジェンダーを考える

朝日新聞が長い間シリーズで掲載している「ジェンダーを考える」は、日本社会がかかえる性別問題を浮き彫りにしている。

男女格差が先進国の中では最下位といわれる日本。多くの女性が不平等さを感じ、また実体験として虐げられた経験をもつ。それは男性にはなかなか分からない部分で、女性側が言い続けても男性側が問題の本質をきちんと理解し、改めていかない限り変わっていかない。

表面的なことだけでなく、賃金や昇給での男女格差はいまだに大きい。今日(9日)の朝日新聞朝刊でも、一面トップで大手電機メーカーでの話がでていた。国立大学理学部を卒業したある女性は、なかなか昇進できないでいた。ある日、上司にこう言われる。

「残念だけど、女性は男性の3倍くらい働かないと評価されないと思った方がいい」。さらに「君を部長にする気はない。だってMBAもってないじゃない」とも言われた。

女性は周囲の部長を見渡したが、MBAをもつ人は見当たらなかった。そして苦情を述べると、部長はこう言い放つ。

「彼らは僕の薫陶をうけているからね。君にはそういう教育をしていない」

これは差別以外のなにものでもなく、こうしたことを口にし、実行していることで、日本社会が確実に衰退していくことを理解しなくてはいけない。

ああ、情けない。

大谷翔平の本当の夢

久しぶりに帰国した大谷翔平が強化試合で大活躍している。彼の動きをテレビ画面で観ながら、「彼が本当に目指しているものは何なのか」という疑問が心中にわきあがり、ずっと考えていた。

すでに世界のトップ選手になった大谷だが、ただ漠然とプレーをしているわけではないはずだ。かなり高い目標を定めていて、それに向けて日々努力をしているのではないかと思う。少しネットで彼のことを調べると、高校1年時に「目標達成シート」というものを作っていた(下図)。

大谷翔平の目標達成表
高校1年時の「目標達成シート」

ちょうどシートの中央に「ドラ1 8球団」と書かれた枠が確認できる。これはもちろん「8球団にドラフト1位指名される」ということで、高校1年ですでに高い目標を掲げていた。そこにはまだ大リーグに行くということは書かれていないが、たぶん後年に別バージョンの目標達成シートをつくり、大リーグでの活躍を記しているのだろうと思う。

いま思うのは、野球人としての究極的なゴールをどこに据えているかである。大谷のことだから、ボンズが2001年に作った73本塁打を超える数字と、同じ年に投手として30勝をあげるくらいのことは想定しているかもしれない。

たぶん本人は言わないだろうが、私はそれくらいのことは考えていると思っている。