食中毒の日米差

数日前、スマホでニュースを読んでいる時、「エッ、ウソ」という声が出てしまった。

どうしたのかというと、米国では毎年、約4800万人もの食中毒患者が出ているというのだ。数字の出所は米疾病予防管理センター(CDC)というジョージア州にある米政府機関だったので、不正確な数字とは思えない。

4800万という数値はたいへんな数である。米国の人口がいま約3億3500万人だから、毎年7人に1人は食中毒になっているという計算である。あまりにも多くないか。いくら米国の衛生状況が日本よりよろしくないからといって、それだけの人が本当に食中毒になっているのだろうか。私は米国に25年間住んだ経験があるが、食中毒になったことは1度だけである。

食中毒というレベルではなく、「食当たり」ということで腹痛を起こすことはたまにある。そうした時も食中毒として捉えられているのではないか。ただ、普通の食当たりであれば薬を服用して回復を待ち、医療機関に行くことは少ない。政府が数字としてカウントするからには、患者が医療機関を訪れたということを意味するので、それだけの数の人が食中毒になってると考えるべきなのかもしれない。

それでは日本ではどれほどの人が食中毒になっているのか。人口が米国の約3分の1なので、1000万人くらいかと思って調べると、厚生労働省が発表した統計があった。米国と比較すると驚くほどの少なさだった。

年間の発生件数は変動があるものの、700~1200件の幅で推移していて、2023年の食中毒は1,021件(患者:11,803人)と報告されている。米国と比較するとあまりにも少ないので驚かされる。

米国の食中毒患者数
31 known pathogens(31種の病原体)9.4 million(940万人)
Unspecified agents(不特定の病原体)38.4 million(3840万人)
Total 47.8 million(4780万人)

みぽりんの死

女優で歌手の 中山美穂さんが入浴中に不慮の死をとげた。私は彼女が活躍していた時期はちょうどアメリカにいたので、その活動をよく知らないのだが、風呂場での予期せぬ死というものに、あらためて命の儚さを思い知らされている。

その人が著名人であろうが無名な人であろうが、死というものの前では皆平等である。死は悲しいものだが、考えようによっては「美」と解釈できなくもない。ドイツ出身の小説家、トーマス・マンが次のようなことを言っている。

命というものは、儚いからこそ、尊く、厳かに美しい

ご冥福をお祈りしたい。

有料の救急車

救急車の有料化が話題になっている。

三重県松阪市では今年6月から、救急車を呼び、患者が入院にいたらなかった時、 保険適用外の「選定療養費」として1人あたり7,700円(税込)を徴収しはじめた。そして今月2日から、茨城県でも救急車を呼んで患者に緊急性がないと判断された場合、1100円から1万3200円が請求されるようになった。

これまで救急車は税金で賄われるため、「無料」という認識があったかと思う。だが、救急車の要請件数が増え、地域によっては無料ではたちゆかないレベルにきたということなのだろう。ちなみに、茨城県の場合、昨年の救急搬送件数は14万件を超えたという。この傾向は全国レベルで広がると思われるので、これからはどの地域でも「救急車を呼んだら搬送料をチャージされる」と思っていた方がいいかもしれない。

ただ、私は米国で25年間生活した経験があるので、救急車を呼ぶと「おカネがかかる」というのは当たり前という認識である。首都ワシントンで生活していた時、幸いにも救急車にお世話になったことはなかったが、米国では日本よりもはるかに高額な搬送料がチャージされる。

いま調べると、1回の搬送料は500ドル(約7万5000円)から3500ドル(52万5000円)で、保険で賄われることもあるが、自己負担であればかなりの額になる。かつては米国でも無料だったが、1985年にシカゴで有料化がはじまり全米に広がった。米国は広いので、地域差だけでなく、どれほどの距離を搬送されたのか、さらに受けた医療レベルによっても値段が違ってくる。

救急車は社会生活においてはなくてはならない医療サービスなので、できるだけ低額に抑えていただきたいものである。

Black Friday

日本でもBlack Friday(ブラック・フライデー)という言葉が一般的になってきた。この言葉は米国の感謝祭(Thanksgiving)の翌日の金曜日のことで、今年であれば11月29日にあたる。米市民にとって、感謝祭はクリスマスに次ぐ祝日といえる日で、家族が集まって七面鳥を食べるのが慣わしだ。

その金曜からクリスマスショッピングが始まり、小売業界では1年でもっとも売り上げが見込める日であるため(黒字)、この言葉が使われている。私が渡米した年(1982年)の感謝祭、アメリカ人の友人がオハイオ州の実家に招いてくれて、生まれて初めて七面鳥の丸焼きを目の当たりにし、舌鼓をうった。その時にブラック・フライデーという言葉を耳にし、意味を教えられた。日本では知らなかった米文化に触れた思いだった。

米国でBlack Fridayという言葉が使われはじめたのは1950年代からだという。そしていま、Cyber Monday(サイバー・マンデー)という言葉が登場している。感謝祭の翌週の月曜日からはじまるオンラインによる一大商戦のことで、週が明けてからゆっくりとオンラインで買い物をするところが特徴だ。いずれにしても、年末商戦にネーミングをすることで売り手側にとっては大きな利点となっている。

『ゼロで死ね』(2)

昨日の当欄で、『ゼロで死ね』というタイトルのブログを書いた。今日はその続編である。というのも、『ゼロで死ね』という書籍(ビル・バーキンス著・ダイヤモンド社)を紹介しておきながら、読まずに書いたので歯がゆくてしょうがなく、本屋に行って買い求めてきた。

読み始めると、興味深い記述が次から次へとでてくる。ノートに記しておきたいほどの指摘が多く、ベストセラーになっている理由が理解できた。ここでは記述のいくつかをご紹介しようと思う。

「蓄えるだけの人生よ、さようなら!いま味わえるはずの喜びを極端に先送りすることに意味はない」

「人生は経験の合計。あたなが誰であるかは毎日の経験の合計によってきまる」

「老後で何より価値が高まるのは思い出だ。(中略)とにかく早い段階で経験に投資すべきだ。そうすれば、年齢を重ねるほどに驚くほど多くのリターンが得られる」

「必要以上に貯め込むことや、金を使うタイミングが遅すぎるのが問題」

「慎重派の人は150歳まで生きるかのような過度な貯金をしてしまう」

「富の最大化ではなく、人生の喜びを最大化するための方法を探すこと」

まだまだ多くの良質の指摘があるが、ここではこれくらいにしておきたい。もっと知りたい方は同著を手にとって頂ければと思う(私は同著のセールスマンではないが、、、)。