副大統領候補:バンス氏が選ばれた理由

「やはりこの男は計算高い」

ドナルド・トランプ氏が米時間15日、副大統領候補にJ.D.バンス上院議員(オハイオ州)を選んだ時、脳裏にかすめた思いである。日本ではバンス氏の名前はほとんど知られていなかったし、米政界でも上院議員になって2年しかたっていない人物なので、大物とは言いがたい。それなのにトランプ氏が同氏を副大統領候補に指名したのには理由がある。

今年の選挙はここまで、支持率を眺めると、トランプ氏が数パーセントのリードを保っている調査が多いが、依然としてトランプ・バイデン両氏は接戦といって差し支えない。トランプ氏としては本選挙で、なんとかして現職大統領を突き放したいはずである。

しかも、トランプ氏は今回の選挙が中西部の一握りの激戦州で勝敗を決することがわかっており、重要州であるオハイオは落とせないとの判断から同州出身のバンス氏を選んだ可能性が高い。副大統領というのは大統領に不測の事態が生じた時には大統領に格上げされるが、それ以外は忠実な併走者という位置づけた。

あくまで「副」であり、自分よりも飛びぬけた才能がある人物である必要はないし、むしろイエスマンの方が大統領としては扱いやすい。そこで選ばれたのがバンス氏ということになる。