トランプの支持率

2期目のトランプ政権がスタートして1年3ヵ月ほどがたった。その間、支持率はジリジリと下降しつづけ、ロイターの最新調査によると、過去最低の34%にまで落ち込んだ。昨年1月の就任時は47%だったので、13ポイント下がったことになる。

Nasdaq総合指数とS&P 500種株価指数はともに過去最高値を更新しているが、2月に始まった対イラン攻撃を支持すると回答した人は37%にとどまり、不支持が62%に達した(ABCNews/ワシントンポスト共同調査)。また76%の回答者は物価高対策に不満を持ってもおり、過半数の有権者がトランプ大統領(以下トランプ)に対して満足していないことがわかる。

有権者はトランプに対してそれぞれ独自の言い分や不満があるだろうが、支持率に現れる大きな要因は歴史的に経済なのである。しかも、日常生活に影響がでる日用品やガソリン価格の値上げがあると、現職へ厳しい声がとぶ。いま米国のガソリン価格(1ガロン=3.785リットル)は平均4ドル40セント(690円)。1年前はこの数字が3ドル16セント(496円)だった。

車社会の米国ではガソリン価格が高いか低いかで大統領への評価が分かれる。1年間でこれだけの値上げがあると、多くの国民は「トランプがいけない」と短絡的に大統領のせいにする傾向がある。それだからといってトランプがすぐに大統領職を奪われるわけではないが、トランプは踏ん張らないと支持率が今後さらに下がり続ける可能性がある。

大統領と凶弾

米国で大統領になるということは、暗殺の対象になるということに等しく、ほとんどの大統領は立候補した時点で狙われる立場になることを理解しているだろうと思う。

トランプ大統領(以下トランプ)は米時間25日、首都ワシントンのヒルトンホテルで行われた記者夕食会で、複数の発泡音を聴いた。銃声は会場外の保安検査場付近からだったが、自分が狙われていたことは当然察知しただろう。幸い、犯人のコール・トーマス・アレン容疑者(31)はすぐに逮捕された。

暗殺は誰も望まない一方で、トランプは「ビッグネーム」で「影響力の大きい」人間だからこそ狙われると述べ、その意味では「残念ながら光栄である」とも発言している。

これまで暗殺された米大統領は4人。最初は第16代エイブラハム・リンカーン(1865年)、2人目が20代ジェームズ・ガーフィールド(1881年)、3人目が25代ウィリアム・マッキンリー(1901年)、そして35代のジョン・F・ケネディ(1963年)である。トランプへの好き嫌いはあるだろうが、銃弾によって人の命を奪うという方策はあってはならない。

トランプ版、軍事大国へ

239兆円という金額を聞いて、皆さまは何を思われるだろうか。

実は日本の2026年度の国家予算は約122兆円なので、239兆円という数字はほぼ倍にあたる。米トランプ政権は3日、2027会計年度(2026年10月~2027年9月)の政府予算の要望「予算教書」をまとめ、国防費が前年度比4割増の1.5兆ドル(約239兆円)になっていることがわかった。これはもちろん世界最大の軍事支出である。ちなみに、米国の国家予算は総額2兆2000億ドル(約350兆円)という巨費である。

トランプ政権が要求する国防費には、政権が提案するミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」の予算や、新しい「トランプ級」戦艦を含む海軍艦艇の国内生産拡大の予算が含まれる。これは国防総省がイランとの戦争のために求めている2000億ドルの追加予算とは別枠であり、紛れもなく「力による平和」を実現しようというトランプの思惑の現れである。

政権はまた、国防費拡大と引き換えに、住宅や教育関連の一部プログラムを廃止するなど、国内各省庁の支出削減を求める方針であるという。今月1日にホワイトハウスで開かれた非公開の昼食会で、トランプは軍事支出を国家の最優先課題にしていくという趣旨の発言をしており、着実に軍事大国への道を歩み始めていることがわかる。

トランプのテレビ演説

日本時間4月2日午前10時から、ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)がホワイトハウスで対イラン軍事作戦についてのテレビ演説を行った。CNNで観たが、最初から自画自賛のトーンで、米軍がいかに強大であるかを説き、イランというテロ国家を許さず、核兵器の保有は断じて許容してはいけないという強い思いを口にした。

イランを「世界最大のテロ支援国家」と述べ、1カ月ほど前から開始したエピック・フューリー作戦によって「米軍は戦場で迅速かつ圧倒的な勝利を収めました。かつて誰も見たことのないような勝利」でイランは壊滅状態であると説明。そして「テロ政権を率いていた指導者たち、そのほとんどが既に死亡している」と語った。

さらに自画自賛は止まらず、「戦争の歴史において、敵がわずか数週間でこれほど明白かつ壊滅的な大規模な損失を被った例はかつてありません」と述べた。ただ容認できる発言もある。「(イラン政府が)核兵器を保有することは、到底容認できない脅威です」という下りはその通りで、イランに核兵器を持たせてはいけないというのは多く方の共通する認識。

そして演説の後半ではまた自身を褒め称える言説を披露した。

「私たちは史上最強の経済を築き上げてきました。そして今、史上最強の経済を享受しているのです。たった1年で、私たちは衰退し、疲弊しきっていた国、、、そう言うのは気が引けますが、前政権下ではまさに衰退し、疲弊しきっていたのです。それをインフレゼロで世界最高水準の経済成長を遂げた国へと変貌させました」

ただこの言説からもわかるように、トランプは何があっても自信を失わず、前を向いているということである。今日の演説ではそのポジティブな姿勢があらためて浮き彫りになった。

全米レベルの反トランプデモ

トランプ大統領(以下トランプ)に対する抗議行動が米時間28日、全米3300カ所以上で800万人以上が参加して行われた。ロイター通信とイソプス通信社の共同調査では、トランプの支持率は第2期政権誕生以来最低の36%で、市民の不満が反トランプデモという形で表面化した。

「3300カ所、、、800万人」という数字は一般市民の多くがトランプに対して強い不満を抱いているということで、いくら抗議行動に慣れている米国人であっても、「No Kings(王様はいらない)」「Arrest Them(奴らを逮捕しろ)」などと書かれたプラカードを作って町に出る行動は、忿懣が一定レベルを超えたことを意味する。

特にイランへの攻撃や移民の取り締まり、さらに物価上昇に対する不満が目立つ。生活費問題の対応への支持は25%、経済政策への支持は29%にとどまっており、支持率が低迷している。さらに、王様気取りのトランプに「No Kings」と書かれたプラカードを示し、反トランプの機運がさななる高まりを見せいてる。

ただ、大統領を辞めさせるハードルは高い。辞めさせるには連邦議会が動く必要があり、下院の過半数(218人)の議員が弾劾訴追に賛成し、さらに上院で行われる弾劾裁判で3分の2以上(67人)の議員が有罪と認めないと大統領職を奪えない。歴史上、米大統領が下院で弾劾訴追されたことは3度あるが(アンドリュー・ジョンソン(1868年)、ビル・クリントン(1998年)、ドナルド・トランプ(2019年と2021年))、いずれも上院の裁判で無罪となり、罷免(解任)は免れている。