台風シャンシャン

いま西日本に上陸している台風10号は、国際名では「シャンシャン(Shanshan)」という名前がつけられている。以前から台風には英語らしい人名がつけられていたが、2000年からはアジア名がつけられるようになり、今回は昨年中国に返還されたパンダと同じ名前のシャンシャン。可愛い名前がつけられているわりには猛威をふるっているので、毎回名前と実像とでは落差があると感じている。

台風もハリケーンも同じ熱帯低気圧で、発生する地域によって呼び方がちがう。ただ台風は最大風速が秒速17メートル以上、ハリケーンは秒速33メートル以上になったものをいう。

個人的にもっとも印象に残っているのは、ジャーナリストとして初めて取材した1992年のハリケーン「アンドリュー」。それまで米国カテゴリー5(最大)に分類されたハリケーンは3つしかなく、そのうちの一つだった。フロリダ半島を横断して大きな被害を残し、現地に足を踏み入れて唖然とした(写真下)

筆者撮影

カンバンが飛ぶとか木が倒れるといったレベルではなく、被害の最も大きかったホームステッド市ではほとんどの家屋が倒壊していたのだ。台風でここまでメチャクチャになった日本の都市を知らない。

「自然の猛威」とよく言われるが、そんな簡単な言葉では言い表せない凄まじさを目の当たりにして、人間の小ささを感じた。台風でここまでメチャクチャになった日本の都市はあるだろうか。

江本孟紀:人生の贈りもの

昨日(8月26日)から、朝日新聞朝刊の文化欄「人生の贈りもの」でプロ野球解説者で元参議院議員の江本孟紀氏(77)がエッセイの連載を始めている。

江本氏といえば阪神タイガースの投手だった1981年、「ベンチがアホやから野球がでけへん」と発言して野球を辞めたことが真っ先に思い出される。だが、その発言はメディアによって作られたもので、実際には「くそっ。バカッ。何を考えとんねん。このくそベンチ」と言ったと自著で述べている。まあ、ベンチ批判という点では大きな違いはないが、そうしたことも含めて、これからの連載ではいろいろなことが語られそうだ。

私が覚えている江本選手は制球力がよく、球も速く、阪神タイガースのエースだったということで、11年間の現役時代の勝利数は113勝。今日の記事に、「野球は、スーパースターだった長嶋茂雄さんに憧れて始めた」と書かれているが、問題発言で野球を辞めたように、自分自身では何ごとも「全うしないのは子どものころから変わらない」と述べる。

小学校の転校は4校で、中学は2校。「プロもシーズン途中で引退したし、参議院議員も2期目の途中で辞めました」とあり、どんどん次に移っていくのが信条であるかのような人生だ。ただ子どもの頃から運動能力は高かったようで、運動会では一番足が速く、小学校6年時には走り幅跳びで県内記録を更新(高知県)。高校では2年からエースになり、選抜高校野球の出場を決めたが、メンバーが暴力事件を起こして出場停止になってしまう。甲子園の開会式はスタンドで眺め、「自分が行進するはずやったのに」と涙を流しており、「いまだに人生の中でも最大級の挫折」と語る。

まだ連載には記されていないが、野球を辞めたあとに出版した「プロ野球を10倍楽しく見る方法」が100万部以上のベストセラーになり、浮き沈みのある人生を送ることになる。今後の連載が楽しみだ。

至福の時

久しぶりに銀座一丁目にある「ささ花」にお邪魔し、松花堂弁当を頂いてきました。笑顔になります、、、すみません。

国のトップを決める選挙:改めて選挙資金を考える

日本では自民党の小泉進次郎氏(43)が総裁選に立候補する意向を固め、総理を目指すという。誰しもが思っていることだと思うが、小泉氏は石破元幹事長(67)や林官房長官(63)といった他の候補者よりも年齢が若く、外見も爽やかで、日本の将来に明るい光を射せるような印象がある。もちろん、それだからといって実質的に満足のいく政治力を行使できるかは別問題で、お手並み拝見というところである。

米国でも国のトップを決める選挙の真っただ中で、11月5日までトランプ対ハリスの戦いがつづく。今朝のニュースで、メロン銀行の相続人であるティモシー・メロン氏(82)が7月、5000万ドル(約72億7000万円)という巨費をトランプ氏のスーパーPAC(特別政治活動委員会)に寄付していたことがわかった。

米国では企業による政治家への直接献金が禁止されているため、スーパーPACという受け皿をつくり、無制限の献金を可能にしている。メロン氏は今年6月にもトランプ氏に同額の5000万ドルの献金をしており、何としてもトランプ氏に大統領になってほしいようだ。

私はこれまで30年以上にわたって米大統領選を取材しているが、長い間、米国では「より多くの選挙資金を集めた候補が勝つ」と言われてきた。それほどカネとホワイトハウスには密着なつながりがあった。それは集金額や使途する額に上限がないため、より多くの金をテレビやラジオ、さらには政治広告費等に使うことで影響力を高めることができたからだ。それで実際にカネのある候補が勝ってきた。

だが2016年で流れが変わる。それまではテレビの政治広告に莫大な資金が必要だったが、インターネットがテレビの影響力を凌駕する。それを成し遂げたのがトランプ氏だった。2016年は「ヒラリー対トランプ」の戦いで、ヒラリー・クリントン氏はトランプ氏の選挙資金より90億円ほど多く集めたが、負けるのだ。

今年はここまで、ハリス氏の方がトランプ陣営よりもより多くの資金を集めていると伝えられているが、ハリス氏がヒラリー氏の二の舞にならないことを祈りたい。

大谷翔平が目指すもの

連日、海の向こうで大谷翔平が大活躍している。今日(日本時間8月19日午前)、伝えられた記事の見出しは「2試合連発、2年連続40本塁打に王手」というもので、どこまで記録をのばすのかが楽しみだが、ここまでくると、彼が本当に目指しているものが何なのかが気になる。

私は世界一の記録を見据えているのだろうと思っている。それは本塁打が50本というレベではなく、バリー・ボンズが打ち立てたシーズン73本塁打という数字である。さらに今シーズンは盗塁も積極的に行っているので、ボンズが達成した史上唯一の500本塁打、500盗塁を究極的には意識しているかもしれない。

いずれにしても、野球界史上、最高の選手になり得る人なので、今後が楽しみである。(敬称略)