国のトップを決める選挙:改めて選挙資金を考える

日本では自民党の小泉進次郎氏(43)が総裁選に立候補する意向を固め、総理を目指すという。誰しもが思っていることだと思うが、小泉氏は石破元幹事長(67)や林官房長官(63)といった他の候補者よりも年齢が若く、外見も爽やかで、日本の将来に明るい光を射せるような印象がある。もちろん、それだからといって実質的に満足のいく政治力を行使できるかは別問題で、お手並み拝見というところである。

米国でも国のトップを決める選挙の真っただ中で、11月5日までトランプ対ハリスの戦いがつづく。今朝のニュースで、メロン銀行の相続人であるティモシー・メロン氏(82)が7月、5000万ドル(約72億7000万円)という巨費をトランプ氏のスーパーPAC(特別政治活動委員会)に寄付していたことがわかった。

米国では企業による政治家への直接献金が禁止されているため、スーパーPACという受け皿をつくり、無制限の献金を可能にしている。メロン氏は今年6月にもトランプ氏に同額の5000万ドルの献金をしており、何としてもトランプ氏に大統領になってほしいようだ。

私はこれまで30年以上にわたって米大統領選を取材しているが、長い間、米国では「より多くの選挙資金を集めた候補が勝つ」と言われてきた。それほどカネとホワイトハウスには密着なつながりがあった。それは集金額や使途する額に上限がないため、より多くの金をテレビやラジオ、さらには政治広告費等に使うことで影響力を高めることができたからだ。それで実際にカネのある候補が勝ってきた。

だが2016年で流れが変わる。それまではテレビの政治広告に莫大な資金が必要だったが、インターネットがテレビの影響力を凌駕する。それを成し遂げたのがトランプ氏だった。2016年は「ヒラリー対トランプ」の戦いで、ヒラリー・クリントン氏はトランプ氏の選挙資金より90億円ほど多く集めたが、負けるのだ。

今年はここまで、ハリス氏の方がトランプ陣営よりもより多くの資金を集めていると伝えられているが、ハリス氏がヒラリー氏の二の舞にならないことを祈りたい。