中ロが練る台湾侵攻

以前から極東の政治問題の一つとして取り上げられてきたテーマではあるが、ここにきて現実味を帯びてきた。何のことかというと、中国とロシアが手をとりあって台湾を侵攻するという話だ。

というのも、米時間5月2日にバイデン政権のアブリル・ヘインズ国家情報長官が、連邦議会の上院軍事委員会で次のように発言したのだ。

「われわれ(米国)は中国とロシアが台湾(侵攻)について初めて行動を共にする可能性があることを認めている。台湾は中国がロシアに協力してほしい場所であり、そうしない理由はない」

国家情報長官という役職は、CIAを含めた米政府に16ある情報機関を統括する立場で、その人物が中ロが台湾侵攻で協調しているとの見方を示しただけに事態は深刻である。ただ、同長官は台湾侵攻の可能性も含め、中ロが連携するシナリオに対抗するため、米政府内で新たな計画を準備していることも明らかにした。

ただその計画が発動されるということは大規模な戦争を意味するので、ただ事ではない。同長官はさらに、ロシアと中国が「政治、経済、軍事、技術など、社会のあらゆる分野において『制限のない』協力関係を強めている」という情報分析結果を明らかにもした。

そうなると、日本にも大きな影響が及ぶはずで、いまから政府だけでなく市民レベルでも台湾有事を想定した研究や議論を活発化させておくべきだろう。