Plan 75

映画『Plan 75』が問う高齢者の尊厳死がいま注目されている。

カンヌ国際映画祭でカメラドール特別表彰を受けたという理由もあるが、それよりも日本政府が75歳以上の高齢者にみずから死を選ぶ権利を保障・支援するという制度が斬新で、仮定ではあるが、この新しい視点がこの映画の価値である。

倍賞千恵子が主人公(角谷ミチ)を演じていて、映画では78歳になった角谷が夫と死別し、ホテルの清掃員をしながら一人暮らしをしている。だが、高齢を理由に退職を余儀なくされてしまい、Plan75を考えるようになる。尊厳死を前向きに捉えていくようにも思えるが、高齢者を排除するという風潮への強い疑問も発せられている。

同時に、高齢者が自ら「安らかな死」を選ぶという選択肢が現実的に採用できるかどうかも問われている。実際に多くの方はこうした制度があってもいいと答えており興味深い。

これからの日本、いや世界中でこの問題は明らかに広く議論されていくはずだ。私はまだ観ていないが、ぜひ劇場に足を運んで、人間の死というものをさまざまな角度から考えてみたいと思っている。

羨望の的:堀江謙一

またやってくれました。

堀江さんが世界最高齢(83)でヨットによる単独無寄港の太平洋横断を成し遂げたことで、世界中のメディアが大きく取り上げた。米国ではワシントン・ポスト紙やサンフランシスコ・クロニクル紙、さらにCNNやABCニュース、また英ガーディアン紙やイタリアのラ・レプッブリカ紙、またブラジルやマレーシアの新聞にまで堀江氏の偉業のニュースが躍った。

これはもちろん世界最高齢という記録だったこともあるが、世界中の人が「自分がこの歳になった時にできるだろうか」と自問したときに、「堀江さんには敵わない」と思い至ったからで、素直に羨望の眼差しを向けたからなのだろうと思う。その中で、歳をとっても自分も少しでも前向きに生きるべきとの思いが交錯したはずだ。

兵庫県西宮市のヨットハーバーに上陸したあと、「精神と肉体を完全燃焼させた。僕はいま青春まっただ中です」とのコメントはさらに多くの人を唸らせた。83歳にして「青春まっただ中です」とはなかなか言えるものではないが、結果を残した堀江氏ならうなづいてしまう。

久しぶりにスカッとするニュースで嬉しくなった。

日本経済の元凶:供給過剰

今日(6月3日)の日本経済新聞のオピニオン欄に、在英経営者のデービッド・アトキンソン氏のコラムが載っていた。同氏はいま小西美術工藝社の社長だが、菅内閣時代はブレーンの一人として首相に助言していた経済通の人物だ。

日経のコラムではまず、日本の生産年齢人口(15から64歳)が減り続けているために経済成長率が下がらざるを得ないことを指摘。ピークの1995年から2020年までに1271万人も人口が減っているので、日本経済に力がないのは当然であるとの論理を展開する。しかも生産年齢人口が減って困るのは労働力が減るからではなく、消費が活発な層の人口が減ることで経済力が落ちることにあるという。

モノを買う人口が減れば自然に供給過剰の状況に陥ることになる。

日本経済が最近成長しないのは需要が不足しているからだとの言い分もあるが、お金がないからモノを買わないのではなく、社会全体から見ると人口が減ったから需要が伸びていないのだ。

アトキンソン氏の処方箋は「イノベーションに尽きる」と断言する。新しい商品を開発し、新しい需要を掘り起こす。それを積極財政で支えるていくべきだと記す。それができないので「新しい資本主義」といった絵空事が議論されると説く。

このままでは「日本国民は窮乏し、希望が見えないままになる」と警告する。