横尾忠則:朝日新聞に「語る」

朝日新聞が文化面で掲載している「語る」欄で、昨日まで横尾忠則が連載を続けていて、興味深く読んだ。今年6月で88歳になる横尾はいまでも毎日、絵を描き続けており、そのモチベーションの源泉をかいま見た思いがした。

私はまだ66歳で、彼より20歳以上も若いが、正直に言えば、すでにやりたい仕事はおおかたやって、あとは好きなモノだけを書いていこうと思っていたので、88歳になったいまも150号の大作を制作している横尾のバイタリティーには舌を巻くしかない。

朝日の記者が「今後の目標は?」と訊くと、「全然、ゼロ。その日にくるものが僕の未来を創造します」と飄々と述べる。そしてこう言うのだ。

「計画や目的を持つと束縛されて不自由です。毎日、努力して描いていると思われるかもしれませんが、これは日常だから努力と言わないんです」

そしてなるほどと思えることを呟く。

「実は、もう絵を描くことに飽きてしまっています。でも飽きた気分で描いた絵を見てみたい。飽きた方が、意欲という存在から解放されて自由になると思う。だから絵はずっとずっと描き続けるでしょうね」

ここまでの境地に達するには、私にはもう少し時間が必要かもしれない。(敬称略)