チャーリー・マンガーの軌跡

チャーリー・マンガーという人物をご存じだろうか。

11月28日に99歳で亡くなった弁護士であり投資家で、著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの副会長を務めていた人だ。過去1週間ほど、マンガー氏についての記事がいくつものメディアに登場している。

Munger 'in love with the Xerox machine' | CNN Business
Charlie Hunger from CNN

マンガー氏がいなければ、バフェット氏の成功はなかったと言われている。というのも、バフェット氏はマンガー氏の頭脳明晰さを何十年も前から賞賛し、ほとんどの経営局面で相談を持ちかけていたからだ。バフェット氏はこう述べている。

「私はウォール街の誰とも、チャーリーと話す100分の1の時間も話をしていない」

さらにマンガー氏のことをこうも評している。

「彼は30秒の頭脳の持ち主で、世界最高レベルといっていい。というのもチャーリーはAからZまでのことを一挙にこなすことができるばかりか、あなたが文章を書き終わる前にすべての本質を見抜くことができるからだ」

ただマンガー氏の人生が最初から順風満帆だったわけではない。離婚や経済的破綻を経験したばかりか、息子が白血病にかかって9歳で他界するという憂き目にもあっている。さらに自身も白血病にかかって左目を摘出した。それでもハーバード大学ロースクールを卒業後、弁護士として不動産開発等を手がけ、45歳からは投資家として資産を築いた。

米フォーブス誌によると、総資産は 27億ドル(約3980億円 )といわれている。またひとつ、巨星が消えた。

南極の氷が融解している:ペンギンが危機に

地球の温暖化が叫ばれて久しい。気温の上昇だけでなく、深刻なのは南極の海氷が融解していることだ。南極の氷の厚さは最も厚い所で4500メートル、平均で2450メートルといわれている。

仮に南極の氷がすべて融けだすと、世界の海面が現在より40〜70メートルも上昇すると言われている。そうしたことがすぐに起こる可能性はほとんどないが、それでも南極の氷床の融解ペースは1990年代と比較すると格段に速くなっている。

Emperor Penguins on Thin Ice | The Scientist Magazine®
Photo from Twitter

米コロラド州ボルダー市にある国立雪氷データセンター(NSIDC)は先日、南極海の海氷面積は1979年に衛星記録を始めて以来、過去最小を更新したと発表した。今年のピーク時にはテキサス州とアリゾナ州を合わせた面積の海氷が融解したという。

米科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」によると、海氷が減ることで、昨年、皇帝ペンギンのヒナが約1万匹も死んだという。今年も同じことが起こる可能性が高いといわれている。

皇帝ペンギンは毎年、5月から6月にかけて産卵し、2カ月後、冬の暗闇の中で孵化する。ヒナは柔らかい羽毛におおわれている間は氷上ですごす。 12月頃になると防水性のある羽毛が生えて海に入るのだが、その前に海氷が溶けてしまうと、ヒナたちは水に溺れ、餓死するか凍死する可能性が高くなる。

英国南極地域観測所の地理学者であるピーター・フレットウェル氏は、英雑誌「コミュニケーションズ・アース&エンバイロメント」に 次のように述べている。

「長い目で見れば、皇帝ペンギンの運命は、私たちがどれだけ大気中に炭素を排出し、どれだけ地球を暖め、気候を変化させているにかかっている。私たちの今後の行動次第なのである」

こうしたことを考えると、日々の生活の中で人間は電気やガスなどのエネルギーをいかに効率よく使い、また節約しなくてはいけないかがよく分かる。

なんとしてもアメリカへ

日本ではあまり大きな報道になっていないが、アメリカとメキシコの国境付近にいま、1日1万人ほどの移民が集まってきている。多くは不法移民で、メキシコだけでなく、コロンビアやパナマ、グアテマラなどからアメリカに入国するためにやってきている。

私が25年住んだ首都ワシントン周辺にも多くの中南米人が住んでいて、小さな町ができているところもある。何度となく彼らと接触し、取材もしたことで、彼らが何故アメリカを目指してやってくるのかはわかっているつもりだ。

彼らにしてみるとアメリカはある意味で夢の国で、稼げると同時に、自分次第で社会的な成功をつかめる場所と捉えている。それは祖国よりも生活状況が確実に上向くということでもある。逆にいえば、祖国では経済的にかなりの貧窮を経験してきているということで、「現状からの脱出」の最終到達点がアメリカなのだ。

国境には場所にもよるが、高さ数メートルの鉄製の柵がある。それでも彼らはさまざまな方法でそこを越えてくる。何百キロも歩いてきて、柵ひとつで自分の目的を諦めたりしない。不法であるため、米国側で待ち構える警察官に拘束されることも少なくないが、それでも諦めたりはせず再び越えてくる。

もちろん不法入国は声を大にして勧められるものではないが、彼らの気持ちに思いをはせると「いいよ。越えてきて」と声をかけたくもなる。日本ではこうした状況に直面する人がいないだけに、少しだけでもご理解いただけると嬉しくなる。

プリゴジンの死が語るもの

ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表を務めていたエフゲニー・プリゴジン氏が死亡したというニュースが23日に伝わった。プリゴジン氏の搭乗していた自家用ジェットが墜落したのだが、日本時間24日午前の段階では原因は不明。

しかし、同氏の政治的な立ち位置を考えると、プーチン側に殺害されたと考えるのが最も妥当な見方だろう。西側メディアの中にも「詳細は乏しいが暗殺された」との報道がある。プリゴジン氏は6月にプーチン氏に対する反乱を起こしたが失敗し、ベラルーシに追放されていた。

まだ墜落原因は明らかになっていないが、機内にあったワインケースに爆弾が仕掛けられていて、それが爆発したとの報道もある。もしプーチン氏が背後にいて、殺害を命じたのであれば、私は独裁者が犯す典型的な誤りをおかしたと考えている。

自分を裏切ったプリゴジン氏を、追放した後でも許せないプーチン氏は独裁者の罠にはまったのではないだろうか。ロシアで絶対的な権力を誇るプーチン氏は、自分の強さを誇示したいがために今回の爆破を命じたのであろうが、殺害という行為にはトレードオフがつきもので、結果的には権力を弱体化させることになると思われる。

というのも、プーチン氏の部下たちは、「次は自分の番ではないか」と考えるようになり、次第に権力者から離れていくようになるからだ。政権内部の人間が身の危険を感じるようになればクーデターが起こる可能性が高まる。

もちろんこれは私の「読み」でしかないが、あながち間違っていないのではないかと思っている。

半世紀ぶりの月面探査機

ロシアの無人宇宙船「ルナ25」が今月21日に月面に着陸する予定だ。

月面探査機が月に着陸するのは1976年の「ルナ24」以来で、ほぼ半世紀ぶりということになる。しかも今回は、月の南極といわれる地域に降りる予定で、到着後は水や他の資源にアクセスできるかどうかを探るという。

ロシアの宇宙開発公社「ロスコスモス」のボリソフ事務局長は今回の打ち上げを宇宙開発の新たな1ページと捉えており、次のように語った。

「我々は水の存在に興味があるばかりか、月の土壌や土地の研究に役立てるつもりだ。さらに2027年から30年にかけて、さらに3回の月面への打ち上げを計画している」

ボリソフ氏はさらに、月への有人飛行と月面基地建設の可能性を探るとしている。ロシアだけでなくNASAも月への興味を示しており、人間が長期間住める技術を開発する予定だという。

月面探査については、米ロだけでなくインドや中国も興味を示しており、インドは7月に「チャンドラヤーン3号」を打ち上げており、今月下旬に月面着陸を試みる予定だ。さらに中国も2030年までに人間を月面に運ぶ計画を発表している。

日本も月探査機「SLIM」を今年6月に鹿児島県の種子島宇宙センターで報道陣に公開したが、まだ日本初の月面着陸には至っていない。