戦争は人を幸せにしない(2)

2日前に当ブログで記したように、イスラエルとイランは戦いの拳をあげたまま、まるで「戦うことこそが正義」と言わんばかりに戦火を拡大させている。先に手をあげたのはイスラエルで、13日にイランの軍事施設を中心に数十か所を空爆。イランも黙ってはおらず、すぐに報復攻撃を行った。

すでに両国では多数の死傷者がでており、今後すぐに休戦に 入るとは思えない。 いま最も懸念されるのは、核兵器の使用である。1945年に米国が日本に対して2発の原子爆弾を投下して以来、80年間核兵器は戦時下で使われてこなかった。

この「核のタブー」がいま破られそうな情勢なのだ。イスラエルは核保有国であるが、イランはいま現在、核兵器を手にしていない。だが、今後数カ月あれば開発できるといわれている。イスラエルは長年、イランには核兵器を保有させないようにしてきたが、逆にイランは「機会があればイスラエルに、、、」との思いがあるときく。

戦争が悲劇しか生まないことはすでに歴史が証明している。特に核兵器という因業で無慈悲なシロモノを再び人類に使用することは、単なる過ちの範疇を超えている。両国の指導者は冷静になって、休戦を探らなくてはいけない。

戦争は人を幸せにしない

あたり前のことだが、改めて記してみた。

というのも、21世紀になってすでに四半世紀が過ぎようとしているのに、世界ではいまだに戦争が勃発しており、懲りない人たちが後を絶たない。イスラエルは今月13日に、イラン各地にある核関連施設や軍事施設などに大規模攻撃をしかけた。「またイスラエルか・・・」というのが正直な気持ちだが、イランも黙ってはおらず、翌14日には弾道ミサイルや無人機でイスラエルの軍事拠点や空軍基地などを攻撃した。

イランの国営テレビは、革命防衛隊の幹部がイスラエルへの報復として、これまでに150の標的を攻撃したとしたうえで「作戦は必要なだけ続く」と発表し、両国は全面戦争に突入したかにみえる。「やられたらやり返す」という負の連鎖が世界ではいまだにいきており、どちらかが冷静になって話し合いをするという方向には向かない。

戦争のおぞましい一面は「ひとたび戦いが始まれば勝つまでは止めない」という意識があることで、いくら人類が叡知を積み上げてすばらしい文明を築きあげても、殺し合いによってすべてがマイナスに転化されてしまう。

人間は戦うという悪の根源を体内に隠し持っているかのようで、情けなくなる。少なくとも日本人は戦後80年、他国と戦火を交えていないので、他国との軋轢が生じてもこのまま武力を使わずにいてほしいと思う。

ミャンマーのいま

今月28日、ミャンマーで 過去100年で最大といわれるM7.7の大地震が起きた。亡くなった方はすでに1700人超で、今後さらに増えていくと思われる。日本で伝えられる被災状況は、死傷者数が何人かとか 日本人1人と連絡がとれていないといったことが中心になり、あの国の現状をもう少し丁寧に伝えるメディアがあればと思う。

というのも、ミャンマーは2011年に軍事クーデターがおきた国で、国内の避難民はいまでも約350万人にのぼるのだ。国軍と武装勢力との抗争は続いたままで、多くの国民は飢餓に瀕している。そこにきて、今回の大地震である。

人口約5130万人のうち約2000万近くが支援を必要としている状況をもう少しきちんと報道すべきだろう。日本人が行方不明というニュースも大事だが、それよりも数千万人の人たちが直面する危機を正確につたえ、寄付金や物資の供給を募ったり、支援団を送るべきだろう。

地震前は激しい戦闘が行われていた地域もあったが、地震後は停戦が表明されたので、人命救助に力を注いでほしい。日本からもぜひとも多くの支援の手が差し伸べられることを祈っている。

トランプへ:すべての願望が叶うと思うことなかれ

トランプ大統領(以下トランプ)がまたグリーンランドを「ものにしたい」との願望を口にし始めた。当ブログでは2019年にすでにトランプのこの思いを記したが(グリーンランド not for sale)、何としても領有したいとの思いを以前よりも強くしているようだ。

各方面からさまざまな批判を受けたとしても、自分の願望を押し通すことに何のためらいもない人物なので、任期中になんとか実現させるために画策してくるはずだ。トランプは1月7日の記者会見で、「国家安全保障上の理由から、米国はこの広大で資源に富んだ島が必要である」と述べて、米国大統領という立場の人間が求めるのであればほとんどのことが叶うはずだといわんばかりに実現にむけて動きだした。

グリーンランドは言うまでもなくデンマークの自治領で、同国のメッテ・フレデリクセン首相は今年1月にトランプに対して「グリーンランドは売り物ではない。グリーランド人のものだ」と明言したが、トランプ本人はそんな発言はなかったかのように行動している。

実は、トランプのこの願望は2014年にプーチン大統領がクリミア半島を併合した時の思いに似ているとの見方がある。大国であれば自分たちの願望を押し通しても、結果的に自分たちの求める形に収まるという「大国の論理」である。本来であれば、デンマークもグリーンランドも反対の立場であるため、米国がグリーンランドを領有することは叶わないはずだが、トランプが強引にひねり技を使ってものにする可能性もないことはない。ここは世界中の市民が反対を表明してもいいのではないか。

「アメリカ湾」は受け入れられるか?

Executive Residence - Wikipedia
photo courtesy of the White House

ここまで横暴な米大統領がいただろうか。大統領が行政権を握っていることは誰もが知る。ただ、それは常識範囲内のことであって、独断でメキシコ湾をアメリカ湾に改名するという大胆な行為はそう簡単に許されるものではない。

Gulf of America' arrives on Google Maps | CNN Business
Image from CNN

アメリカ湾への改名は昨年からトランプ氏が言い続けてきたことだが、 2月9日を「アメリカ湾の日」に制定すると布告。この日、トランプ氏は現場海域の上空を飛行し、「メキシコ湾として知られていた海域は消し去ることのできない米国の一部だ」と発言して ご満悦の表情をみせた。グーグルマップはすでにトランプ流にならってアメリカ湾に改名した。

メキシコ湾という名称(スペイン語:golfo de México)は1550年の世界地図に初めて登場している。17世紀と18世紀には「メキシコの入り江」という表現も使われているが、アメリカ湾という表記はもちろん使われたことがない。500年近くも使われてきた名称を一人の大統領によって簡単に変えられていいものだろうか。

ロイター通信が行った世論調査では回答者の70%が改名に「反対」。25%だけが「賛成」だった。