殺人と考える方が自然:ナワリヌイ氏の死亡

このニュースに接した方の多くは「ロシア政府が手をくだしたに違いない」と思われたことだろう。それほど不自然な死だった。

ロシアでは最も名のとおった野党指導者だったアレクセイ・ナワリヌイ氏(47)。ロシア政府当局は16日、同氏が収監されていた北極圏の刑務所で死亡したと発表した。その日、ナワリヌイ氏は散歩から戻った後「気分が悪い」と言い、そのまま意識を失ったという。救急医療チームが蘇生を試みたが、意識は戻らず亡くなった。まだ47歳だった。

同氏の側近レオニード・ヴォルコフ氏はSNSで、「ロシア当局が刑務所でナワリヌイ氏を殺害した」との告発文を公表した。ナワリヌイ氏は死亡前日の15日、刑務所内から動画を発信しており、その映像には元気な姿が写っていた。

米バイデン大統領は同氏の死去を受けて、「彼はプーチン政権によるあらゆる腐敗や暴力、悪行に立ち向かった。それに対し、プーチン氏は彼を逮捕し、でっちあげの犯罪で起訴し、実刑判決をくだした。そして独房に入れさえした。それでも彼は真実を口にすることを止めなかった」と述べた。

ナワリヌイ氏には複数の罪状が課せられていたが、それは当局が彼を拘束するための口実であると言われている。同氏は「未来の美しいロシアへの希望と信念」を決して失わなかったという。彼を支える信奉者たちはプーチン体制の終わりとロシアの政治変革を期待していたが、しばらくは実現が遠のくことになった。