中国への直接投資にはもう関心がない?

from 国家外貨管理局

外国企業による中国への直接投資が減少している。中国の国家外為管理局(SAFE)が今月18日に発表したデータによると、国外からの直接投資は前年比で82%も減少し、1993年以来の低水準に落ち込んだ。まるで「もう中国には関心がありません」と言わんばかりのレベルである。

中国への直接投資は1978年に当時の最高指導者だった鄧小平氏が、改革解放政策として国外からの直接投資(FDI)に門戸を開いたのが始まりだ。以来、外国企業は莫大な市場と安価な労働力を手に入れるため、中国での事業買収や工場建設を進めてきた。

しかし昨年なかば頃から、外国企業は中国経済の成長の鈍化や政治リスクを警戒して対中投資を控えだした。新規投資に慎重になるだけでなく、事業の縮小や撤退を進める企業すらでてきた。米国と中国の対立や昨年7月に施行された反スパイ法を警戒して、さらに足が遠のいてさえいる。

また、中国政府が特定の外国企業への規制や取り締まりを強化したり、米コンサルティング会社への家宅捜索を行ったりしたことで、今後は「中国市場に投資したいという企業はいなくなる」とまで言わるまでになっている。こうした動きが加速すれば、世界貿易の柱になるといわれてきた対中直接投資は地殻変動を起こし、世界経済に大きな影響を与えることになる。