ミャンマーのいま

今月28日、ミャンマーで 過去100年で最大といわれるM7.7の大地震が起きた。亡くなった方はすでに1700人超で、今後さらに増えていくと思われる。日本で伝えられる被災状況は、死傷者数が何人かとか 日本人1人と連絡がとれていないといったことが中心になり、あの国の現状をもう少し丁寧に伝えるメディアがあればと思う。

というのも、ミャンマーは2011年に軍事クーデターがおきた国で、国内の避難民はいまでも約350万人にのぼるのだ。国軍と武装勢力との抗争は続いたままで、多くの国民は飢餓に瀕している。そこにきて、今回の大地震である。

人口約5130万人のうち約2000万近くが支援を必要としている状況をもう少しきちんと報道すべきだろう。日本人が行方不明というニュースも大事だが、それよりも数千万人の人たちが直面する危機を正確につたえ、寄付金や物資の供給を募ったり、支援団を送るべきだろう。

地震前は激しい戦闘が行われていた地域もあったが、地震後は停戦が表明されたので、人命救助に力を注いでほしい。日本からもぜひとも多くの支援の手が差し伸べられることを祈っている。

トランプへ:すべての願望が叶うと思うことなかれ

トランプ大統領(以下トランプ)がまたグリーンランドを「ものにしたい」との願望を口にし始めた。当ブログでは2019年にすでにトランプのこの思いを記したが(グリーンランド not for sale)、何としても領有したいとの思いを以前よりも強くしているようだ。

各方面からさまざまな批判を受けたとしても、自分の願望を押し通すことに何のためらいもない人物なので、任期中になんとか実現させるために画策してくるはずだ。トランプは1月7日の記者会見で、「国家安全保障上の理由から、米国はこの広大で資源に富んだ島が必要である」と述べて、米国大統領という立場の人間が求めるのであればほとんどのことが叶うはずだといわんばかりに実現にむけて動きだした。

グリーンランドは言うまでもなくデンマークの自治領で、同国のメッテ・フレデリクセン首相は今年1月にトランプに対して「グリーンランドは売り物ではない。グリーランド人のものだ」と明言したが、トランプ本人はそんな発言はなかったかのように行動している。

実は、トランプのこの願望は2014年にプーチン大統領がクリミア半島を併合した時の思いに似ているとの見方がある。大国であれば自分たちの願望を押し通しても、結果的に自分たちの求める形に収まるという「大国の論理」である。本来であれば、デンマークもグリーンランドも反対の立場であるため、米国がグリーンランドを領有することは叶わないはずだが、トランプが強引にひねり技を使ってものにする可能性もないことはない。ここは世界中の市民が反対を表明してもいいのではないか。

「アメリカ湾」は受け入れられるか?

Executive Residence - Wikipedia
photo courtesy of the White House

ここまで横暴な米大統領がいただろうか。大統領が行政権を握っていることは誰もが知る。ただ、それは常識範囲内のことであって、独断でメキシコ湾をアメリカ湾に改名するという大胆な行為はそう簡単に許されるものではない。

Gulf of America' arrives on Google Maps | CNN Business
Image from CNN

アメリカ湾への改名は昨年からトランプ氏が言い続けてきたことだが、 2月9日を「アメリカ湾の日」に制定すると布告。この日、トランプ氏は現場海域の上空を飛行し、「メキシコ湾として知られていた海域は消し去ることのできない米国の一部だ」と発言して ご満悦の表情をみせた。グーグルマップはすでにトランプ流にならってアメリカ湾に改名した。

メキシコ湾という名称(スペイン語:golfo de México)は1550年の世界地図に初めて登場している。17世紀と18世紀には「メキシコの入り江」という表現も使われているが、アメリカ湾という表記はもちろん使われたことがない。500年近くも使われてきた名称を一人の大統領によって簡単に変えられていいものだろうか。

ロイター通信が行った世論調査では回答者の70%が改名に「反対」。25%だけが「賛成」だった。

トランプは貿易戦争に突入した?

2月3日付のフィナンシャル・タイムズ一面。トランプ大統領が関税を引き上げたことでインフレ懸念が高まり、同大統領はビジネス界からの反発に直面しているという内容。

記事中に「米国最大の貿易相手国3カ国に高関税を課すことで貿易戦争を開始」というくだりがあり、すでに貿易戦争(Trade war)という言葉が使われている。トランプ氏らしさが政権発足から際立っており、敵対的なアプローチが本格的な戦争を引き起こさないことを祈りたい。

シリアで起きていること

中東シリアのアサド政権が崩壊してから1カ月がたつ。親子2代でほぼ50年におよぶ独裁政権を築いてきたが、 反政府勢力の攻勢によって首都ダマスカスが陥落。アサド氏は空路でロシア・モスクワに亡命した。

シリアの内戦が始まったのが2011年で、10年以上にわたって反政府勢力と政府側との抗争が続いていた。この内戦により、国内ではこれまで40万人以上が死亡し、550万人以上が国外に難民として流出。今世紀最悪の人道危機といわれた。CIAの「ワールドファクトブック」によると、シリアの人口は約2156万人なので、約4人に1人が難民になった計算になる。

これを日本に置き換えてみると、人口1億2400万人のうち約3100万人が国外に流出するというとんでもない数字になる。誰も自分が生まれ育った国をあとにしたくなかったはずで、ディクテイター(独裁者)が去ったいま、ほとんどの人は祖国に戻りたいと思っていることだろう。

過去1カ月で、国外にでた難民たちが少しずつ母国に戻りはじめている。 国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR)によれば、アサド政権崩壊後、すでに11万5000人がシリアに戻ったという。今年半年で約100万人が帰国するとみられてる。何よりである。