中東情勢が緊迫している。今月1日にはイランがイスラエルに向けて180発以上の弾道ミサイルを発射し、両国の対立が新たに高まっている。イランはイスラエルがイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害したことへの報復としているが、すぐに収束に向かうとは思えない。
そこには「やられたからやり返す」という報復の意識があり、人類が長年断ち切ることができない他者への攻撃性がみて取れる。それは一個人であっても国家でも大差なく、報復の連鎖という戦争につながる行為となってあらわれる。
こうした攻撃性というのは、人間の歴史の中で遺伝情報としてDNAに刷り込まれていると説明する人もいる。復讐という行為を「正義」という言葉で正当化することで、殺し合いが繰り返されてしまう。
この点で、科学技術が発展し、世の中は日々進化しているように思えても、人間が戦争をするという愚かな行為はなくならず、地球のどこかで今日も殺し合いがつづいている。
国家間の争いにおいてはまず、国のトップにたつ人間が報復の連鎖を止めなくてはいけない。それが本当の勇気というものだろう。