南極の氷が融解している:ペンギンが危機に

地球の温暖化が叫ばれて久しい。気温の上昇だけでなく、深刻なのは南極の海氷が融解していることだ。南極の氷の厚さは最も厚い所で4500メートル、平均で2450メートルといわれている。

仮に南極の氷がすべて融けだすと、世界の海面が現在より40〜70メートルも上昇すると言われている。そうしたことがすぐに起こる可能性はほとんどないが、それでも南極の氷床の融解ペースは1990年代と比較すると格段に速くなっている。

Emperor Penguins on Thin Ice | The Scientist Magazine®
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米コロラド州ボルダー市にある国立雪氷データセンター(NSIDC)は先日、南極海の海氷面積は1979年に衛星記録を始めて以来、過去最小を更新したと発表した。今年のピーク時にはテキサス州とアリゾナ州を合わせた面積の海氷が融解したという。

米科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」によると、海氷が減ることで、昨年、皇帝ペンギンのヒナが約1万匹も死んだという。今年も同じことが起こる可能性が高いといわれている。

皇帝ペンギンは毎年、5月から6月にかけて産卵し、2カ月後、冬の暗闇の中で孵化する。ヒナは柔らかい羽毛におおわれている間は氷上ですごす。 12月頃になると防水性のある羽毛が生えて海に入るのだが、その前に海氷が溶けてしまうと、ヒナたちは水に溺れ、餓死するか凍死する可能性が高くなる。

英国南極地域観測所の地理学者であるピーター・フレットウェル氏は、英雑誌「コミュニケーションズ・アース&エンバイロメント」に 次のように述べている。

「長い目で見れば、皇帝ペンギンの運命は、私たちがどれだけ大気中に炭素を排出し、どれだけ地球を暖め、気候を変化させているにかかっている。私たちの今後の行動次第なのである」

こうしたことを考えると、日々の生活の中で人間は電気やガスなどのエネルギーをいかに効率よく使い、また節約しなくてはいけないかがよく分かる。