プリゴジンの死が語るもの

ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表を務めていたエフゲニー・プリゴジン氏が死亡したというニュースが23日に伝わった。プリゴジン氏の搭乗していた自家用ジェットが墜落したのだが、日本時間24日午前の段階では原因は不明。

しかし、同氏の政治的な立ち位置を考えると、プーチン側に殺害されたと考えるのが最も妥当な見方だろう。西側メディアの中にも「詳細は乏しいが暗殺された」との報道がある。プリゴジン氏は6月にプーチン氏に対する反乱を起こしたが失敗し、ベラルーシに追放されていた。

まだ墜落原因は明らかになっていないが、機内にあったワインケースに爆弾が仕掛けられていて、それが爆発したとの報道もある。もしプーチン氏が背後にいて、殺害を命じたのであれば、私は独裁者が犯す典型的な誤りをおかしたと考えている。

自分を裏切ったプリゴジン氏を、追放した後でも許せないプーチン氏は独裁者の罠にはまったのではないだろうか。ロシアで絶対的な権力を誇るプーチン氏は、自分の強さを誇示したいがために今回の爆破を命じたのであろうが、殺害という行為にはトレードオフがつきもので、結果的には権力を弱体化させることになると思われる。

というのも、プーチン氏の部下たちは、「次は自分の番ではないか」と考えるようになり、次第に権力者から離れていくようになるからだ。政権内部の人間が身の危険を感じるようになればクーデターが起こる可能性が高まる。

もちろんこれは私の「読み」でしかないが、あながち間違っていないのではないかと思っている。