トランプ:ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束

こんなことがあってはいけない・・・。

米国の陸軍特殊部隊デルタフォースの兵士たちは日本時間3日、ベネズエラのマドゥロ大統領(以下敬称略)を拘束し、強制的にニューヨークに連行してきた。すでに各種メディアで広く報道されているが、トランプ大統領はベネズエラの攻撃を「成功裏に完遂した」と自画自賛してみせた。

マドゥロがこれまでどれだけの自国民を殺害してきたかは計り知れず、圧政に苦しんできた人たちが大勢いることは確かなことだが、少なくとも外国人であるトランプが指揮をとって一国の大統領を拘束し、国外に連れ出すという行為は国際法上、許されるべきではないだろう。

こうした行為を許している限り、法律というものの存在価値を否定し、社会そのものが成立しなくなる恐れがある。トランプの行為は「国際法のテロ」とさえ言える。もちろん、それだからといってマドゥロが刑罰から逃れられることがあってはいけないし、国際刑事裁判所が正式な手続きを踏んでマドゥロを裁かなくてはいけない。

私は過去40年以上国際政治を見てきているが、こうした際に痛感するのは、国際機関が持つ現実的な政治力の弱さである。すぐに問題を解決できない即時性の欠如もあるし、その脆弱性は関与する人たちの多くが究極的には「他人ごと」という意識を抱いているからなのではないか。

今また国際機関の真の存在意義が問われていると言って差し支えない。

やめてほしい:新たな核競争

トランプ大統領(以下トランプ」)は自身のツイッターで30日、「他国の核実験計画を踏まえ、私は戦争省に対し、対等な立場で我が国の核兵器実験を開始するよう指示した」( Truth Details | Truth Social )と、再び他国との核競争にギアをシフトしたことを明かした。

文面には「このプロセス(核実験)はただちに始まる」と記されており、ロシアや中国とともに再び世界を核競争へと巻き込んでいく可能性がある。米国が最後に核実験を行ったのは1992年のことで、今年行われれば33年ぶりということになる。

「本当にやめてほしい」というのが偽りのない気持ちである。

米国はこれまで多数の核実験を行ってきており、データによれば1951年から92年までに925回も行っている。1996年9月10日、国連総会で包括的核実験禁止条約が可決されて、ようやく核実験の全面的な禁止に至ったが、米国は批准しなかった。 現在も批准していない。

条約に署名してはいるが批准していない国は、米国の他にロシア、中国、エジプト、イスラエル、イラン、インドネシアなど。署名しているが批准していないという意味は、国の代表者が条約に署名しても、国内での国会・議会では承認を得られていないということである。

中東和平は実現するのか

今回は本当であってほしいーー。

これまで何度となく裏切られてきているので、今回の中東和平合意が本当に結実するかどうかは正直わからない。ただ、トランプ大統領(以下トランプ)をはじめ、エジプトやカタールなど20カ国以上の関係国が13日、エジプト東部シャルムエルシェイク に集まり、ガザ停戦文書に署名したことは大きな進歩といえる。

「この段階にくるまでに3000年もかかったんだ。信じられるか?しかも今回は長続きするだろう」

「われわれは皆が不可能だと言っていたことをやり遂げたのだ。ついに中東に平和が訪れた。これからは再建の始まりだ」

トランプの言葉を引用しなくとも、イスラエルとアラブ諸国が和平へと動きだしたことは大きな転換点といっていい。エジプトの アブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は「苦痛に満ちた一章に終止符を打つ歴史的節目」と称し、トランプに同国で最高の栄誉とされる純金製の「ナイル勲章」を授与した。

これでトランプが自己肯定感をさらに強めてこれまで以上に驕慢になることは目にみえているが、実際にトランプでなければ今回の和平は達成できていなかったかもしれない。イスラエルのネタニヤフ首相はトランプのことを、「これまでの米大統領のなかで、イスラエルにとっては最も偉大な友人」とまで言って持ち上げた。

ただ、イスラエルとハマスは停戦を履行する必要があり、ハマスは武装解除をしなくてはいけない。うまくいけばガザ政府が設立されるという流れになるはずである。またイスラエルは撤退範囲を決める必要がある。

もう二度と中東で戦争をしないという前提のもと、当事者には厳粛に対応していただきたい。

トランプのガザ和平案

トランプ大統領(以下トランプ)が提案したパレスチナ自治区ガザの和平案は、頓挫する可能性もあるが、本当に「中東に和平をもたらす」かもしれず、内外からの注目度は高い。ノーベル平和賞は獲れなかったが、BBCなどは「当計画は文明史上、最も偉大な日となる可能性があり、中東に永遠の平和をもたらすかもしれない」とまで評価している。

本当に中東に平和が訪れるかどうかは今後数週間で見えてくるはずだ。それはイスラエルのネタニヤフ首相(以下 ネタニヤフ)とイスラム組織ハマスの指導部が、戦争を継続するよりも終結して和平を求めた方が得策だと判断するかどうかにかかっている。現時点で、ハマス側がイスラエルの提案に乗ってくるかどうかは明確になっていない。

というのも、ハマスはイスラエルがガザを撤退するとの保証が得られないかぎり、どういった計画も受け入れないかもしれないからだ。ネタニヤフはトランプが発表した20項目の提案を受け入れると述べたが、イスラエル政府内にはすでに反対する者もでており、すべてが順風満帆に進むわけではない。

しかもネタニヤフという人はこれまでも、自分の政治生命が危うくなった時は、成立しつつある合意を反故にしてきた経緯があり、今回の和平案が外交上の重要な一歩であっても成功が約束されたわけではないことを知るべきである。

トランプが提案した20項目の中で私が大変重要だと思うのは、「イスラエルはガザを占領も併合もしない」という項目である。これはアラブ諸国にとっては極めて重要なことで、これが実際に実現されれば、和平も夢ではないかもしれないが、イスラエルが本気でトランプの提案を受け入れるかどうかは依然として不透明なままだ。

ただ希望としては、そろそろ中東での「共存共栄」が達成されるべきだろうと思っている。

ジェラルド・カーティス登場

 コロンビア大学のジェラルド・カーティス名誉教授が6日午前、東京丸の内にある日本外国特派員協会(FCCJ)の記者会見に現れた。もちろん話題は自民党の新総裁になった高市早苗氏のことで、日本のメディアから聞こえてくる内容とは一味違ったコメントを披露した。

「今回の総裁選はこれまででもっとも退屈な選挙だった。というのも誰も挑戦しようという態度ではなかったからだ。これは自民党の危機と言っていいかもしれない。選挙で語られた内容からはモノの本質というものが感じられなかった。自民党はディフェンシブ(守りの態勢)に入っている」

 カーティス教授といえば小泉氏の恩師でもあるので、小泉擁護の立場から高市批判に傾いていた。

「彼女がこれからいったいどういう政策を推し進めてくるのかわからない。先が見えないので、新しいルート(道)を探していく必要がある。日本社会は格差が広がっており、悲観的にならざるを得ない」