米・イスラエル VS イラン(3): 長期戦になる可能性

「われわれは停戦を求めていない」

米・イスラエルとイランによる戦争は急速に地域全体へと拡大しており、すぐに収束するとは思えない。しかもイランのアッバス・アラグチ外相は米NBCテレビとのインタビューで、「われわれは停戦を求めていません」と述べ、米国との戦いに勝算があると言わんばかりである。こうした対応には正直、驚かざるを得ない。

しかもイラン側は米・イスラエルを迎え撃つ用意があるというのだ。同インタビューでアラグチ氏は米軍による地上侵攻を恐れているかと問われ、「いいえ、われわれは彼らを待っているのです。彼らに対峙できると確信しているからです。むしろ彼らは大きな痛手を被るでしょう」とまで言ったのだ。この自信はいったいどこから来るのだろうか。

アラグチ氏は「昨年、米国と交渉の場を持ったが、交渉の最中にわれわれは攻撃された。だから米国は誠意を持って交渉に臨んでいないことは明白。こうした相手と再び交渉するつもりはない」と述べ、米側とすぐに手を取り合う意向はないという。

米・イスラエル VS イラン(2): 米国はイランを滅亡させるかもしれないで記したように、「いま世界で米国を敵に回して軍事的に優位を保てる国家はなく、イランが劣勢に回らざるを得なくなるのは時間の問題」なので、最終的には「イラン敗戦」という結末に至ると考えるが、イランは本当に米国との戦いに勝算があると思っているのだろうかーー。

米・イスラエル VS イラン(2): 米国はイランを滅亡させるかもしれない

米・イスラエル両国の軍事攻撃でイランの最高指導者ハメネイ師が殺害されたことで、イランは報復として湾岸諸国にある米軍基地や関連施設に軍事攻撃を繰り返している。ただ米・イスラエルもイランへの大規模な攻撃を続けており、この戦争は両者「四つに組んだまま」しばらく続きそうである。

それでも、いま世界で米国を敵に回して軍事的に優位を保てる国家はなく、イランが劣勢に回らざるを得なくなるのは時間の問題であると言わざるを得ない。いくら国家のトップが米軍によって殺害されたからといって、どこまで本気で米軍に相対するつもりなのだろうか。

今日のニューヨーク・タイムズ紙は「米国とイスラエル両国によるイランの爆撃とイランによる報復は、世界経済への重大な脅威になっている。それ以上に警戒すべきことは、イラン政府がタガが外れたようになり、さらに過激な報復を繰り返すかもしれない」と指摘した。本当にイランのような国家が暴走した場合、中東地域だけでなく世界中に悪影響を及ぼすことは容易に想像できる。

先ほど(3月4日午後2時半)、イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使が外国特派員協会で記者会見し、「イランは中東でもっとも地域を不安定化させる国なので、イスラエルは努力しないといけない。周辺諸国は手を取り合って、よりよい中東を作らないといけない。平和を願う」と語った。

イランだけが悪者扱いにされることは国際関係上プラスに働かないので、米国や日本を含め、関係諸国は冷静に状況を判断して行動していかなくてはいけない。

ロシアのウクライナ侵攻から4年

ロシアがウクライナに軍事侵攻してから明日でちょうど4年になる。

死亡した兵士は行方不明の兵士と合わせると11万を超える。国外に避難したウクライナ人は590万人超で、同国の人口がいま約3953万人(国連データ)なので、国内避難民(370万人)と合わせると約4人に1人は自宅を追われたことになる。

この数字がどれほどのことなのか、皆さま考えたことがおありだろうか。自分の意思に反して自宅を離れなくてはいけない境遇というのは、いまの日本人はほとんど経験したことがないはずである。ましてや戦争という状況なので、身の危険が迫っており、避難民という自ら望まない立場に身を置かなくてはいけない。

さらに、今年に入ってからウクライナは冷え込みが厳しく、連日零下15〜20度にまで下がっているという。停電が続いているところが多く、暖房も満足に得られず凍えるような寒さの中で過ごす人が大勢いる。

2022年2月2日、私はロシアがウクライナに侵攻する直前、駐日ロシア大使のミハイル・ガルージン氏に質問したことがある。その時、大使は「ロシア側から戦争をしかけることはない」と明言した。だが3週間後の2月24日、ロシアはウクライナに軍事侵攻する。

そして軍事行動の直後、大使は言い訳として「ウクライナに住む親ロシア派の住民に対するジェノサイド(集団殺害)を防ぐため」と述べ、「市民を守るためでありウクライナを占領するためではない。ロシアはウクライナの市民に対して軍事行動を起こしていない。ただ軍事施設を攻撃しているだけに過ぎない」と平然といってのけたのだ。私は愕然として言葉も出なかったのを覚えている。

帰路、「これではロシアが信用されるわけがない」と呟いていた。

トランプ帝国主義(2)

1月6日の当欄『トランプ帝国主義(1)』で、トランプ大統領(以下:トランプ)のグリーンランドの野望について記した。トランプは先月、「グリーンランドの海岸線を見渡せば、至る所にロシアと中国の船舶がいる。我々はそこを手に入れる必要がある」と述べて、グリーンランドを購入する意向を明らかにした。

複数の国際アナリストは米国がグリーンランドに侵攻した場合、「デンマークは領土を防衛できないだろう」と指摘している。米国は同地にピトフィク宇宙基地を所有しており、すでに米兵が駐留していることから、容易にグリーンランドを占領できるとみている。

ただ今月9日、グリーンランド議会を構成する5つの政党の党首たちが、「我々は米国人になりたいとは思わない。同時に、デンマーク人になりたいとも思わない。ただグリーンランド人でいたいだけだ」と発言し、自分たちの未来は自分たちで決めるという意思を表している。これは考えてみれば当たり前のことで、自分たちが住んでいる土地を誰からも干渉されず、今後も同じ場所に住み続けたいと思うことはしごく自然なことである。

今週、マルコ・ルビオ国務長官がデンマーク政府の担当者と同問題について協議する予定で、この会談でトランプ政権が何を求めているかが明らかになるはずだが、答えは最初から「グリーンランドを買わせろ」ということなのだろうと思う。

トランプ帝国主義(1)

昨年末から、トランプ大統領(以下トランプ)の「グリーンランドを購入したい」という思惑が表面化している。実はトランプがグリーンランドを手に入れたいという構想を表したのは第一期トランプ政権の最中で、長年の夢にようやく光があたり始めたといったところだ。もちろん、簡単に実現できるわけもなく、すべてがトランプの思い通りいくわけではない。

グリーンランドはデンマークの自治領だが、トランプは「戦略上、きわめて重要」と捉えており、なんとしても米国領にしたいとの大願を宿す。弾道ミサイル防衛システムの拠点としての要所であるばかりか、鉱物資源が豊富であることもその理由である。

トランプは先月、「グリーンランドの海岸線を見渡せば、至る所にロシアと中国の船舶がいる。我々はそこを手に入れる必要がある」と述べており、軍事拠点として何としても手に入れておきたい場所なのだ。ただ、すでに他国の自治領になっている土地である。「ここがほしいから譲ってください」と言って自分のモノにできるほど国際関係は単純ではない。それでは子どもの駄々と変わらない。

外交には強引さが必要になる時もあるが、デンマークだけでなく欧州のほとんどの国が米国によるグリーンランド併合に反対している状況で、強引に我欲を押しとおすことで米国が今後、どれほど嫌われることになるか。これでは19世紀後半から20世紀初頭にみられた帝国主義と何ら違いがない。人類は過去の過ちから学んで次につなげなくてはいけない。

「トランプ帝国主義」にはノーを突きつけろ!