玉城デニー知事会見

5月6日午前10時から日本外国特派員協会で沖縄の玉城デニー知事の会見があり、出席してきた。普天間基地の返還を含めて、基地の整理・縮小がいっこうに進む気配が見られないので、私はその点について知事に訊いた。すると知事はこう返した。

「私がこれまで接触してきた米政府関係者の感触から申し上げると、日本政府と米政府はお互いの立ち位置を守っているということです。両国政府が互いに(同問題を)問いかけると、それについての回答はあるが、それ以上の反応はないです」

過去何年も基地問題に進展がないのは、「お互いの立ち位置を守っている」ということに尽きるかと思う。さらに「それ以上の反応はない」ということは、両国は身を切ってまでこの問題を解決しようとは思っていない証なのではないか。

つまり、現状維持でも大きな支障がないのだから「このままでいいのではないか」との思いである。

特に米国側は基地を日本に返還するメリットが少ないので、沖縄に駐留し続けたいはずである。1972年に沖縄が日本に返還されて、今年でちょうど50年になる年だからこそ、基地問題を進展させるべきだと思うが、政府関係者はそうは考えていないようだ。このままでは当分、沖縄の基地問題の解決はなさそうである。

クレムリン内からの不満

ロシアがウクライナに軍事侵攻してから間もなく2カ月になる。西側諸国を中心に、多くの人がプーチン氏の暴挙に怒りをおぼえ、戦争が早く集結してほしいと願っているかと思う。

ただロシアの世論調査では、国民の約8割がそんなプーチン氏を支持している。言論統制が取られている国なので、本当に8割もの人がプーチン支持なのかは疑問が残るが、プーチン氏がすぐに政権トップの座から引きずり降ろされることはないだろう。

しかし、私が得ている情報によると、クレムリン内部で最近になって変化が起きているという。ウクライナへの軍事侵攻に疑問をもつ政府高官が増えているというのだ。それは紛れもなくプーチン氏に抱く疑念であり、戦争に反対することが真っ当な考え方であるとの思いが流布しはじめていることである。なかにはウクライナへの侵攻そのものが「破滅的なミスだった」と表現する高官もいるという。さらに、西側諸国が推測している以上に、ロシアへの経済制裁が効いているとの情報もある。

それでもロシア人は日本と似た気質があり、耐えることができる国民だとも言われる。そのため経済制裁が続いても、国民はすぐに音をあげたりせず、じっと耐え忍ぶというのだ。しかも国民からのプーチン氏への信頼は依然として厚い。さらに国防省のセルゲイ・ショイグ氏は依然としてプーチン氏の片腕として尽力しているし(プーチンを動かしている男)、ワレリー・ ゲラシモフ国防次官やニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記といった親プーチン派のメンバーも健在だ。

「壊滅的なミスだった」という真っ当な見解がはやくクレムリン内を包み込むように力をもってほしいと思うことしきりである。

違う空気

ウクライナ情勢は好転するどころか暗闇へと続く底のみえない階段を下っていっているかのようだ。

首都キーウ郊外のブチャやボロディヤンカでの一般市民の惨殺の写真をみるたびに、ロシア兵たちの無慈悲さに唖然とさせられる。もちろん国のトップにたつプーチン大統領に最終的な責任があるわけだが、西側諸国が制裁を課しても「戦争犯罪者」が痛手を被っているようにはみえない。中国やインドといった関係国が背後にいるかぎり、ロシアが本当の意味で孤立することはないだろうし、経済的に困窮することもなさそうだ。

それどころか、ロシア国内でのプーチン支持は上がっており、国営全ロシア世論調査センターによる信任度調査では、回答者の81%がプーチン氏を「信頼する」と答えている。この数字はウクライナ侵攻前から14ポイントもあがっている。ロシアでは政権トップだけでなく、一般市民もまったく「違う空気」を吸っているかのようだ。

国家間の戦争を防止するために、第二次世界大戦後に国際連合ができたが、安全保障理事会が実質的な効力を発揮して戦争を終わらせられないことは、戦後77年で嫌というほど味わってきた。国連が圧倒的な武力を行使して戦争を終わらせるべきとの考え方もないことはないが、国連が「自ら人殺し」に出て行ってはいけないという倫理が常に勝るため、ほとんど無力と言っていいほどだ。

このままではいつまでたっても国際紛争はなくならない。さらに常任理事国(米英仏中露)の意見がまとまることも少ないので、国連は名ばかりの組織に成り下がっていると言える。

私は国連が規約を改正し、明らかな戦争責任国(今回はロシア)のトップ(プーチン氏)を逮捕する権利と力を持つべきだと思うがいかがだろうか。愚考にすぎないが、、、。

プーチンを動かしている男

このところニュースはずっとウクライナ問題に席巻されている。プーチンがウクライナをベラルーシのような国にしたいと思っていることは容易に察しがつくが、それだからといってウクライナ人を殺傷していいわけがない。

過去2000年ほどの歴史を辿っただけでも、ある意味で「戦争の歴史」と言えるほど人類は争い事を繰り返してきた。学生時代、21世紀になると人間は以前よりも賢明になって戦争を回避するようになるかもしれないとの淡い期待を抱いていたが、それは過ちだったと言わざるをえない。

ロシア軍による攻撃でウクライナの幼児が殺傷される姿は目を覆いたくなる。プーチンは自国軍によるそうした殺傷行為を十分に理解した上で侵攻の命令をくだしているわけで、ある意味で殺人者と言っても過言ではないだろう。

最近、ニュースで散見されるプーチンをみると、孤独な独裁者のように見えなくもないが、ウクライナ侵攻を一人で指示してきたわけではない。頼りになる腹心がいるのだ。国防相のセルゲイ・ショイグがその人である。ショイグは2014年のクリミア侵攻の立役者といわれた人物で、軍事面でプーチンが最も頼りにする腹心である。

いまでも戦略だけでなくイデオロギーの観点からもプーチンが全面的に信頼を寄せる参謀だ。プーチンがウクライナ侵攻を単独で主導することなど所詮は無理な話で、こうした部下がプーチンを「動かしている」という現実がある。逆に西側諸国はこうした人物に強力に働きかけて停戦にむかわせるべきだろう。(敬称略)

ウクライナの今後

ロシアがウクライナに軍事侵攻してから半月がたつが、いまだに戦火が止む気配はない。むしろ、本当に過激さを増すのはこれからだろうと思っている。

当欄で3月2日に「練り込まれていたウクライナ侵攻」というブログを書いたが、その中でイギリスの王立防衛安全保障研究所(RUSI)が2月15日に公表した「ウクライナ破壊の陰謀」という報告書を紹介した。

同報告書はこれからロシアがウクライナで何をしようとしているのかが予見されており、驚くべきことに、公表からほぼ1カ月がたって、大方の記述は当たっているのだ。報告書には、「、、、、ロシアの諜報機関である特殊部隊(SSO)、連邦保安庁(FSB)、対外情報庁(SVR)、軍事情報部(GU)はすでにウクライナ全土で活動している。FRB第5局のウクライナチームは大幅に拡大されて、積極的に情報調査を実施している」とある。さらに「キエフにはロシアの秘密特殊部隊が2個中隊ほど進駐しているとみられる」との記述もある。

報告書はまた「通常戦争が始まれば、、、」という前提の話もあり、ロシアがいかにウクライナよりも兵力で優位にたっているかが記されている。そしてロシアがいかにしてウクライナ領土に侵略するかの詳細もある。ウクライナに接するロシアのロストフ州から部隊は西に侵攻するだけでなく、ウクライナ北部のベルゴロド州からは南下、クリミアからは北上するとある。これは実際にロシアが侵攻する10日ほど前に公表された報告書であるが、いまその通りのことが起きている。

ただ、当初予見されていたよりもウクライナ側からの抵抗が強いと思われる。実は報告書内にはその時のことも述べられており、「圧倒的な火力で戦うことを選択するかもしれない」とある。その時は全面戦争に拡大する可能性があり、今後も注視していかなくてはいけない。