エマニュエル駐日米国大使、最後の登壇

筆者撮影

2022年3月から駐日大使として東京に滞在しているラーム・エマニュエル氏(65)。バイデン政権が終わるため米国に戻ることになり、10日午前、外国特派員協会で記者会見を行った。同協会で会見を開くのは今回が3回目である。

当欄でも彼のことは何度か書いてきたが(次の駐日米大使の素顔 )、米国に戻ってから何をするのかが気になっている。今日の会見でははっきりと何をするか述べなかったが、このまま引退しないことだけは確かだろうと思う。

オプションの一つはイリノイ州知事選への立候補。そして上院議員選への出馬。同氏は2003年からイリノイ州の下院議員を務めたのち、オバマ政権では主席補佐官をやり、その後シカゴ市長、そして駐日大使になっており、私は過去30年で何度か顔を合わせているうちに、「彼の最終目標は米大統領に違いない」と思うようになった。 極めて上昇志向の強い人物なので、大統領になれなくとも大統領選に出馬してくる可能性は十分にある。

(・・・個人的にはその器ではないと思っているが・・・)

いよいよ停戦か:イスラエルとハマス

イスラエルとイスラム組織ハマスがようやく停戦合意にむけた交渉を本格化させている。

日本人にとっては地理的に遠いこともあって、なかなか両者の抗争を身近に捉えることは難しいが、イスラエル軍とハマスの戦闘はすでに14カ月にも及んでいる。イスラエル軍が軍事作戦をつづけるガザ地区では、すでに4万4000人以上が死亡しており、そろそろ幕を降ろすべきだろうかと思う。

米国、カタール、エジプトの政府高官が過去数週間、調停活動を行っており、当事者であるイスラエルとハマスもいよいよ戦争を終わらせる心づもりのようだ。来年1月20日、トランプ氏の大統領就任式があるので、バイデン・トランプ両氏はそれまでに停戦合意にこぎ着けたい意向だ。

イスラエルのカッツ国防相は16日、「これまで以上に合意に近づいてる」と述べ、停戦が現実になる可能性が高いことを示した。また複数の報道をまとめると、両者の合意は段階的に行われていく予定で、戦闘の停止からイスラエルの人質とパレスチナの囚人の交換、さらにガザ地区への援助などが行われることになるという。

これまでガザに住む230万人の約9割が避難を余儀なくされてきた。しかも何度も避難を繰り返しており、日本に住んでいる限り、こうした状況は想像すらできないほどの苦境と言える。

まだ予断を許さないが、 イスラエル軍の完全撤退、ハマスが拘束している人質の解放などにより、恒久的な和平につなげていってほしいものである。

トランプ、就任式に習近平を招待

数時間前(12月12日午前)に、トランプ次期大統領が 来年1月20日の大統領就任式に 中国の習近平国家主席を招待したというニュースが流れた。これまで中国の指導者が大統領就任式に出席したことがなかっただけに驚きである。まあ、トランプ氏ならば過去の事例にとらわれず、自身の判断で物事をきめていくことを厭わないので、トランプ流といっていいかもしれない。

このニュースはCBSニュースが複数の情報筋から得た情報として報道したもので、現時点で周氏が招待を受諾したかどうかはわかっていない。

ただ、トランプ氏は先週行われた米メディアとのインタビューで、「今週も習氏と話をしたばかりで、彼とはうまくいっている」と関係が良好であることを強調。それでも11月25日、中国製品には既存の全ての課税に加えて10%の追加関税を課す と発言しており、真意がどこにあるのか明確になっていない。一部の関係者からは米中両国は壊滅的な関税戦争に突き進むとの憂慮も示されており、来年1月にトランプ政権が発足してからどうなるのか見ものである。

それでも、中国の謝鋒駐米大使は今週、米中ビジネス協議会で「私どもは対立よりも対話を、ゼロサムゲームよりもウィンウィンの方向を選ぶべき」という習近平氏の書簡を読み上げている。本当にそうあってほしいものだが、、、。

ケネディがトランプ政権の閣僚に

今朝(11月15日)の海外ニュースに多くの方は驚かれたのではないだろうか。

トランプ次期大統領がロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)を次期政権の閣僚に起用するというのだ。ケネディ・ジュニア氏といえば、1968年に暗殺されたロバート・ケネディ氏の息子で、リベラルなケネディ家で生まれ育ち、ずっと民主党員だった人物である。そのケネディ氏をトランプ氏は共和党政権に引き入れようというのだ。

ただケネディ氏は今年の大統領選 で「2大政党からの独立を宣言する」と発言し、 無所属で出馬していた。8月23日になって勝ち目がないことを判断すると、大統領選から撤退して今度はトランプ氏を支持すると表明。ケネディ家としては信じられないような行動にでたため、ケネディ家の5人の兄妹が「悲しい物語の悲しい結末」と題した声明を発表した(以下)。

「ボビー(ロバート)がトランプ氏を支持するという決定は、私たちの父と家族がもっとも大切にしてきた価値観への裏切りです。(中略)この行為は 父の思い出を冒涜し、踏みにじり、火をつけるようなもので、極めて不可解であり、完全に否定し、もう縁を切ることにします」

この反応は十分に理解できるところだが、理解に苦しむのはなぜケネディ氏がトランプ支持に回ったかである。それについて本人は「本質的な違いはあるものの、重要な課題では一致している」と述べて、まったく違うわけではない点を強調。トランプ氏は自身が大統領に返り咲いた時には、「ケネディ氏を要職に起用することを検討したい」と話していたので有言実行というところである。

予想外なことが起こるのがワシントンの政治だが、ケネディ家といえば「民主党の顔」ともいえるファミリーなので、その中からトランプ政権の閣僚になること自体が信じられない話である。

ウクライナが反撃: 終わりの見えない戦争

ウクライナがロシアに反撃を始めて4日が過ぎた。今後、まだまだ反撃を続けてロシア軍に抵抗していくかにみえる。

そもそも2022年2月 にロシアがウクライナに軍事侵攻したのは、国際的に ウクライナ領として 認められていたクリミア半島を奪うことが目的と言われている。あれから2年半が過ぎたが、いまだに戦闘は収まらず、戦線は約1200キロにも及んでいる。戦争は一刻も早く終わらせるべきとの世間の思いとは逆に、両国がすぐに和平案に締結するようにはみえない。

今週になって、ロシアに攻められっぱなしだったウクライナが、逆にロシア西部のクルスク州に越境攻撃を開始。ウクライナ軍は国境から15キロほど侵攻したと伝えられている。これに対しプーチン大統領は「ウクライナ政権が新たな大規模な挑発に乗りだした」と発言。「やられたらやり返す」という断ち切れない負の連鎖が始まっている。これが戦争のおぞましい側面で、いくら人類が叡知を積み上げてすばらしい文明を築きあげても、殺し合いによってすべてがマイナスに転化してしまう。

ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)は今回のウクライナの攻撃を受けて、ロシアは戦闘目標を「ウクライナ全土の占領に拡大すべき」と主張しているという。もしそんなことになったら、全世界がロシアの侵攻を止めに入らなくてはいけない。

こうした状況で私の中に湧きあがる疑問は、「人間は戦うという行為の根源を体内に隠し持っているのだろうか」ということである。 人間が人間である以上、戦いはなくせないのかーー。