日米首脳会談のコト、、、

岸田首相がワシントンでブッシュ大統領と会談し、ブッシュ氏から「真の友人」と言われたことがしきりに語られている。だが本当に重要なのは日米両国が力を合わせて次に訪れるかもしれない紛争・戦争を防止できるかどうかである。問われるべきは、中国、ロシア、北朝鮮といった国の挑発的な行動をどこまで防止できるかであり、国際交渉によって上記3国にブレーキをかけなくてはいけない。

岸田氏はバイデン大統領から「真の友人」と言われて浮かれていてはいけないし、バイデン氏もアジアにおいて日本と具体的にどういった取り組みができるかを練り込んでいく必要がある。

今回ホワイトハウスは、日米首脳会談後に恒例となっているイーストルームでの共同会見を開かなかった。これはブッシュ政権側が決めたことで、岸田氏に選ぶ余地はなかったのだが、「岸田氏だから開かなかった」というわけではなかったかと思う。

理由はむしろバイデン氏の方にあった。というのも、いま米メディアはバイデン氏の副大統領時代の機密文書問題を追及しており、記者会見を開くと間違いなくそこを突っ込んでくる。

ワシントンで私がホワイトハウスをカバーしていた時に痛感したのだが、日本の首相が渡米し、日米首脳会談を行った直後の会見であっても、米記者たちは日本などには全く触れずに自分たちに関心のあるテーマで質問をぶつけてくる。バイデン政権はほぼ間違いなく、このテーマを回避したかったのだろうと思う。それがホワイトハウスのやり方である。

プーチンが危ない?!

ロシアのプーチン大統領がガンを患っているという話はずいぶん前からメディアに登場している。すい臓ガンと大腸ガンという病名がでているが、真偽のほどはわからない。ただ、昨日から複数の欧米メディアが、プーチン氏のガンはかなり進行していて、今後1年はもたないかもしれないと報じている。

さらに、いまプーチン氏のガンの治療をしているのはロシア人医師ではなく、国外の医師団だとの報道がある。メディアによっては「プーチンは最先端の医療技術で生かされている」と書いているところもある。ロシアでは提供できない治療法が使われており、延命治療が施されているのだという。

‘‘独裁者”の「任期」はもう先が見えているということになるが、個人的にはプーチン氏には早晩、辞めて頂きたいと思っているで、運命の時がきたということになる。

ウクライナ問題だけをとってみても、ロシアによるウクライナへの攻撃はあまりに非人道的で不条理であり、プーチン氏の行動は戦争犯罪に値すると思っている。本来であれば、国際刑事裁判所で裁くべきで、犯罪者としてのレッテルを貼るべきなのだろうと考えている。

米中間選挙:上院は民主党が多数派

米中間選挙が終わってそろそろ1週間が経とうとしている。選挙前は、共和党の圧勝という予想だったが、思っていたほど票は集まらず、上院は民主党が50議席に達したことで、トランプ氏の期待は外れることになった。下院は日本時間14日現在、いまだに最終結果が出ていない。

トランプ氏は2年前の再選で、バイデン大統領に負けた人物である。その敗者が中間選挙前に、自分こそが「共和党の顔」であるかのような振る舞いを見せていた。多くの米有権者にとって、トランプ氏のあさましさ、頑迷さは体験的によくわかっていることで、共和党が苦戦しても何も不思議ではなかったはずだ。

民主党だけでなく中道派の有権者からもトランプ氏は「よし」とされていなかった。選挙後のNBCニュースの世論調査では、回答者の72%がトランプ氏を「脅威」として捉え、共和党が苦戦したのはトランプ氏のせいであるとしていた。そもそもトランプ氏を党の前面に立てたことが共和党の敗因だったのだろうと思う。

ただ米議会政治を俯瞰的に眺めると、過去数年はほぼフィフティ・フィフティに議席が取り分けられていることがわかる。これは米国政治が右と左でほぼ均等に二分されているということであり、ある意味でバランスが取れていると言えるかもしれない。自民党が長年、過半数を奪い続ける日本とは明らかに違う政治の姿である。

米国では民主党政権が続けば、次には共和党政権が誕生し、そしてまた民主党が盛り返すという、一党だけに突出しない姿が何年も見られる。これは別に特定層の有権者がそう願っても実現されるわけではなく、全米レベルでどういった政治の在り方が国民にとって重要であるかが形となって表出しただけなのだろうと思っている。

中間選挙:開票まで1週間

今春まで、中間選挙は民主党有利で動いていた。だが「選挙は水もの」と言われるように、何が起きるかわからない。現時点の世論調査結果をみるかぎり、共和党有利で進んでいる。

というのも、米有権者の62%がバイデン大統領の仕事ぶりに不満をいだいているからだ。最近になって予想を上回るインフレ率が示されたことにもよるが、経済問題がバイデン政権の足かせになっている。私が渡米した1982年の頃から、「選挙は水もの」であると同時に「経済が結果を左右する」といわれてきた。有権者の懐ぐあいが悪ければ政権党が不利になる。

すでにホワイトハウスの民主党関係者ですら、連邦議会の上下両院で過半数を共和党に奪われるとの見方をしているという。さらにバイデン氏の個人的な支持率は40%で、9月よりも2ポイント下降した。

それでも今年6月24日、 米最高裁が1973年に認めた人工妊娠中絶の判断を覆したことで、女性の中絶権が奪われたとして民主党に追い風が吹いてもいた。若者や女性の有権者登録も増えた。だが10月になって中絶の権利保護を争点にすえていた戦略は「ピークアウト」し、勢いがなくなり、連邦下院はいま共和党が過半数を奪う公算が強まっている。

上院は接戦だが、共和党が両院の過半数を握る可能性が高まっている。