またしても涙(2)

今年1月、以前にもまして涙もろくなってきているというブログを書いた(またしても涙)。その傾向は今も変わらず、むしろさらにウルウルきやすくなっているようにも思える。

昨晩、NHKのBSで『E.T.』を放映していたので、「泣くなあ」と思いながらも最後まで観てしまった。予感どおり、最後の別れのシーンでは涙がとまらなかった。妻は「目が腫れて明日大変なことになるから」と、途中から観るのを止めた。

観終わって、あらためて監督スティーブン・スピルバーグの英知と手腕に感心させられた。脚本を書いたのはメリッサ・マシスンという女性で、以前、俳優ハリソン・フォードと結婚していた人だ。E.T.の脚本を手がけることになったきっかけは、スピルバーグがアフリカのチュニジアで『レイダース・うしなわれたアーク』を撮影していた時だという。

マシスンは同映画に出演していたフォードに会うために同国を訪れており、その時にスピルバーグと話をしたという。そこでスピルバーグは「何でも話せる友人がほしいんだよね。僕のわからないことにすべて答えてくれるような」と言いながら、脚本家のマシスンにE.T.の構想を話している。

from Facebook

それはマシスンに脚本を書くようにという指示だった。そのあと彼女はE.T.の脚本を8週間で書き上げる。残念ながらマシスンはすでにガンで他界しているが、以前メディアに執筆時のことを語っている。

「書いている時から感動してしまって、最後のページではもう目に涙がいっぱいでした。ただ自分が書いたものに感動しても、映画を観てくれる方が同じように感動してくれるかはわからなかった」

もちろん杞憂に終わるわけだが、スピルバーグは以前、「僕は人と人のつながりを描くために映画監督になったのです」と語っていて、E.T.は宇宙人であっても絆の素晴らしさと何でも話せる友人を描いた点で卓絶した作品になった。

今度はいつ、大泣きするのだろうか。

三浦春馬氏の訃報

今日(18日)の夕方、俳優の三浦春馬氏が亡くなったというニュースが流れた。「自殺らしい」との話を聞き、「いったい何故」という言葉が口を衝いてでた。

歌って踊れて芝居もできる若手俳優として、自分の思うように仕事ができていたと思っていたので、自殺は解せなかった。本人は世間の人間が想像できない領域で深い悩みを抱えていたのかもしれないが、現時点でこれ以上のことを述べると邪推になってしまうので触れないでおく。

ただ個人的に、ある偶然が起きた。訃報を耳にしてから数十分後くらいのことだ。電車に乗ってすぐ、私はバッグから文庫本を取りだしていた。過去何年も読んでいなかった東野圭吾氏の小説で、今春出版された『素敵な日本人』という本だ。

短編集で、2作目の「十年目のバレンタインデー」という小説を読んでいると、「部屋で首を吊った」という言葉が目に飛びこんできたのだ。訃報の直後だっただけに、あまりの偶然に少しばかり驚いた。小説なので自殺や殺人はいくらでも起きるが、予期していなかっただけに目を見開いた。そして小説内での自殺の原因が気になった。

短編だったので、目的地に着く直前になぜ登場人物が自殺したかがわかった。死んだのは主人公が以前につき合っていた女性で、自殺と思われていたが、実は主人公が自殺に見せかけた殺人を犯していたのだ。

「イヤー、これはない。フィクションとノンフィクションを混同してはいけない」

自分ではそう言いきかせたのだが、小説のような展開はないのか・・・

コロナで次々経営破綻、米企業の行方は闇か

米国で200年以上にわたってブランドを維持し続けてきたアパレルの老舗、ブルックス・ブラザーズが今月8日、経営破綻した(日本法人は継続)。

1818年の創業以来、ほとんどの大統領が同社のスーツに袖を通してきたばかりか、日本でも同社のボタンダウン・シャツを着た経験のある方は多いはずだ。

ちなみに、リンカーン大統領が暗殺された時に着ていた服も同社製のフロックコートだった。

ブルックス・ブラザーズのロゴ

同社破綻の主因はもちろん新型コロナウイルスによる売上減である。ただ閉店に追い込まれた原因を探っていくと、コロナ禍だけでないことが分かってきている(続きは・・・コロナで次々経営破綻、米企業の行方は闇か)。

トランプの自滅に終わるのか:2020年米大統領選(36)

新型コロナウイルスの感染がアメリカで広がれば広がるほど、反比例するようにしてトランプの支持率が下がっているようにみえる。過去数週間、トランプ対バイデン両氏の支持率の推移はますますバイデン優位に動いていて、バイデンが各種世論調査で10ポイントほどのリードを保っている。

ハーバード・ハリス調査 はトランプ44対バイデン56 、ラスムッセン・リポートはトランプ40対バイデン50、エコノミストはトランプ40対バイデン49 、USAトゥデイも41対53でバイデン優位である。

共和党は過去半世紀ほど、南部と中西部の州を奪ってきているが、もしかすると今年11月の選挙では民主党がテキサス州を含むいくつかの保守地盤を切り崩すことになるかもしれない。

それは民主党「バイデンの躍進」というより、共和党「トランプの自滅」と述べた方が的確かもしれない(敬称略)。

どうしようもなくマズイ:新型コロナ(24)

今朝、ネットでワシントン・ポストを読んでいると、アメリカの首都ワシントンでコロナによって大打撃を受けている企業の記事がでていた。社長さんが「どうしようもなくマズイ」と2度、記者に述べている。

コロナで影響を受けている業種は外食から小売、自動車にいたるまで他分野にわたるが、そのなかでも観光はどの国でも大減収に見舞われている。ワシントン・ポストが取り上げたのは、観光バスを70台も所有する「DCトレイルズ」というバス会社だった。昨年は約140万人の乗客を乗せている。

だがコロナが蔓延しはじめた3月からキャンセルがつづき、減収に見まわれている。すでに約200人の社員を解雇したが、今後会社を存続できるかどうかはわからないと社長は不安気だ。全米には約3000のバス会社があるが、多くは中小で、約90%が稼働していないという。

ワシントン・ポストの情報によると、アメリカ国内でバス(観光・市内)を利用する人は年間約6億人。飛行機の利用者が約7億人なので、バスを利用する人もたいへん多いことがわかる。ただ、今回のコロナ禍によって航空会社や鉄道会社は政府から多額の助成金や援助資金を受けとるが、バス会社はカヤの外であるという。

全米バス協会という団体があり、毎日のように連邦議会の政治家に陳情し、補助金を要請しているが、今後の補正予算のなかにバス会社救済の条項が含まれるかどうかはまだわかっていない。大げさな言い方をすれば、アメリカのバス文化の存続がかかっているだけに是非とも政府は公的資金を投入すべきである。