コロナ失業の現実:新型コロナ(27)

昨日、オンラインでワシントン・ポスト紙を読んでいると、新型コロナウイルスによって失業し、アパートを追い出された30歳の男性の記事がでていた。コロナは厄介な感染症であると同時に、経済破綻をもたらせもする。

首都ワシントン市内に住んでいたダニエル・ヴォートさん(30)はコロナに感染しているわけではないが、コロナの影響で勤務していた飲食店が閉店。4ヵ月間も収入がなかったことで家賃が払えなくなり、実家のあるニューヨークに戻ることにした。

失職中、ワシントンで仕事を探し続けたが見つからず、預金は減るだけとなり、ワシントン・ポスト紙の記者がインタビューした時には財布に10ドル(全財産)が残っているだけだった。銀行口座はゼロどころかマイナス。アメリカでは個人が当座預金を開いて小切手を発行するため、残高以上の金額を小切手に書き込んだ場合は不渡りを起こしてしまう。

市政府に失業保険の申請をしようとしても失業者が急増しているため、システムに登録されるまでに時間がかかる。申請者数は昨年同期比で5倍であると同紙は書いている。

ヴォートさんは生まれ故郷のニューヨークに帰るための資金もないため、父親に事情を話すと交通費として100ドル(約1万500円)を電送してくれた。ただ親子関係がいいわけではないので、実家に帰りたくなかった。実家はマンハッタンのマンションだが、決して裕福というわけではなく、彼が戻っても自分の部屋があるわけではない。父親は「寝床はカウチだからな」とヒトコト。

彼のオプションとしては「路上で寝るか、オヤジのところ」しかなかったので、仕方なく実家に戻ることにした。ニューヨークに戻る直前、失業保険の担当者から初めて電話があった。だが申請に不備があり、もう1度申請し直さなくてはいけないと告げられた。

ニューヨークに着いた時、財布の中には1ドル札しかなかった。

「誰も僕のことを好きじゃない」

米政府は新型コロナウイルスの感染拡大を抑制できず、効果的な手立てをとれていない。 米国立アレルギー感染症研究所 のファウチ所長は抑制できていない事実を素直に語ることで、責任の一端が自分にあることを認め、逆にこれまで以上に信頼度が増している。

一方、トランプ大統領は問題を収束させるだけの指導力を発揮できないだけでなく、ファウチ氏からもソッポを向かれて、いじけたコメントをツイッターで発信。それが「誰も僕のことを好きじゃない」。

参考:CNNのラジュ記者のツイート。

カニエ・ウェストはどこまで本気か:2020年米大統領選(35)

世界一のラッパーといわれるカニエ・ウェスト氏(43・Kanye West)が米独立記念日の4日、ツイッターで大統領選への出馬を表明した。

文面を読む限り真剣に出馬を考えているように見うけられるし、ドナルド・トランプ大統領に「あと4年任せるわけにはいかない」とのメッセージが内包されているようにも思える。

実は、ウェスト氏は突発的に大統領選への出馬を表明したわけではない。というのも2015年、公共の場で2020年大統領選にでたいと述べたことがあり、何も驚くべきことではない。35歳以上のアメリカ人であれば、誰にでも出馬する権利はある。

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ましてやトランプ人気が下落し、対抗馬のジョー・バイデン候補の全米レベルの支持も圧倒的と言えるまでにはいたっていない。いわば「つまらない選挙」の年なので、若者から圧倒的な支持を集められそうなウェスト氏が加われば、選挙への関心が高まるし、多くの票が集まることが予想される。

すでに民主・共和両党の予備選はほとんど終わっているため、両党からの出馬はない。あとは独立候補としての道を歩むことになる。ウェスト氏が本気ならば、各州で署名活動を行って投票用紙に名前を載せなくてはいけない。氏の総資産は13億ドル(約1400億円)と言われており、献金活動をしなくとも11月まで戦うだけの資金はある。

政治家としての経験がないので、有能な参謀を集めて高質な政策を打ち出さなくてはいけない。政治的リーダーシップも問われるし、本人の本気度がすぐに問われるだろう。今回のニュースが単なる話題づくりだけで終わらないことを祈りたい。

孤独の時代

数日前、米誌『タイム』を読んでいると「孤独という疫病」という興味深い記事があった。

新型コロナウイルスの蔓延によって在宅の人が増え、一人暮らしの人にとっては必然的に人と会う時間が減り、以前よりも孤独を感じる人が増えているという内容だった。しかもアメリカでは年を追うごとに独身者の割合が増えており、家族がいなければ孤独感に襲われる割合は高くなる傾向がある。

記事の冒頭で、41歳の女性教師の話がでていた。ミズーリ州に住むHさんは離婚を経験し、今は一人暮らしだ。子どもはいない。コロナの前はひとり暮らしを満喫し、自分の時間を自由に使える気楽さに喜びを感じていた。ところがコロナによって人との接触が減り、夜間ひとりでいる時にどうしようもない孤独感に苛まされるようになった。

「笑顔でいる日もありますが、クッションを抱きかかえて、この状態が長く続いたらメンタル的にもつだろうか、あと1年、いや数ヶ月いけるだろうか」

いまアメリカ人でひとり暮らしをしている人は3570万ほどいる。また「孤独感を以前よりも感じていますか」という質問に「ハイ」と答えた人は61%にのぼっている。アメリカ人の一般的な印象は「おしゃべり好き」で「陽気」で「快活」というものかもしれないが、実は以前から孤独に悩む人は少なくなかった。内面は意外に脆く、精神科医にかかっている人も多い。

1971年に桐島洋子氏が「淋しいアメリカ人」を著して大宅壮一ノンフィクション賞を獲った時代から、実は孤独な人が多いことは知られていた。ただ過去数カ月、コロナによって孤独感を募らせている人が増えたことは事実のようだ。

タイムの記事では最後に、コロナを利用して孤独というものをもっとオープンに語れるようになればいいと結んでいたが、孤独というものを理知的に理解しても本質的な孤独感は解消できないだろう。それよりも、実質的な人との触れ合いの時間をもつことこそが重要で、これはほとんどの方がすでに承知していることでもある。あとは本人がどう動くかにかかっている。

トランプは負けるべき

全米の都市がいま騒然としている。騒然というより「壊乱」という言葉の方が適語かもしれない。

ミネソタ州の路上で白人警察官デレク・ショーヴィン被告に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件は、黒人と白人の根深い対立をふたたび光のあたる場所に晒すことになった。

黒人のなかには1619年からほぼ400年間、アメリカ社会は「何も変わっていない」と主張する人たちもでてきた。1619年というのは、アフリカ人が初めて奴隷としてアメリカ本土に連れてこられた年である。その間、黒人たちは前へ進んでは戻され、そしてまた前進しては後退するということを繰り返しながらここまできた。

オバマ大統領が誕生したとき、黒人の周囲にあったバリアはかなり低くなったが、アメリカ内部に目を向けると、いまでも今回の事件のように黒人が理不尽に殺害される事件はあとを絶たないのが現実だ。

今回は幸いにも撮影された動画がネットに流れたことで、多くの人が知ることとなった。それにより、心の奥にしまわれていた一部の白人への猜疑と憎悪が通常より何倍も増幅されることとなった。

壊乱は多くの都市で収拾がつかなくなっているため、トランプ大統領は州知事たちとのカンファレンスコールを開いて、こう告げた。

「あなた達は弱虫だ。(デモ参加者を)逮捕しなくてはいけない。奴らは過激派で無政府主義者なんだ。(政府が)制圧しないと、やられるだけだ。何もしないとアホに見えるだけだぞ」

対立を激化させることに腐心するトランプ氏。アメリカ内部に隠れていた亀裂が鮮明化して、白人と黒人の対立はより深まっている。それを煽るような発言は、大統領としてもっとも避けなくてはいけないのだが、この人は構わない。

これまで私はジャーナリストとして、トランプ大統領についても客観報道を心がけてきたつもりだが、今回ばかりは個人的意見がそれを上回る。

トランプは11月の選挙で負けるべきである!