こういう人物を待ち望んでいた――。
これまで社会のマイノリティーという立場にいた人物がトップに立つ姿は清々しいばかりか達成感が広がるので、4日のニューヨーク市長選に勝利したゾーラン・マムダニ氏(以下マムダニ)には拍手を送りたい。
アフリカのウガンダで1991年に生まれたマムダニはイスラム教徒で、自らを「 民主社会主義者 ( Democratic Socialist )」と呼んでおり、これまで軽視されてきた市民に光をあてていくと述べる。 「ニューヨークは移民が築き、移民が支え、これからは移民が先導する都市になる」という言葉からも、社会を下から支えて いく前向きな政治姿勢は好感がもてる。
さらに当選を果たしたあと、「希望は生きている(Hope is alive)」と肯定的な発言を繰り返しのべて、市民に勇気を与えた。まだ34歳なので、市長として本当にどれだけの政治力を発揮して政策を形にしていけるかは未知数の部分が大きいが、少なくとも本人の言動からは期待がもてる。
私はマムダニが当選を果たした直後、「かれの最終目標は米大統領に違いない」と思ったが、すぐにウガンダ生まれであることがわかったので、そのオプションは消えた。というのも、米大統領になるためには3つの要件が憲法で定められているからだ。
(1)米国生まれの米国民、(2)35歳以上であること、(3)米国に14年以上居住 。マムダニはウガンダ生まれなので最初の要件に当てはまらず、大統領になるというオプションはない。けれども、ニューヨーク市長として画期的な政策を打ち出して名を残すことはできる。期待したい。
