弾劾訴追のあとに来るもの

トランプを弾劾するための公聴会が連邦下院で開かれている。

これまでメディアには公開されない形で多くの証人が議会でトランプの所業とウクライナ疑惑を語ってきたが、ようやくTVカメラが入った形で審議されている。

このままいけば下院での弾劾訴追の決議案(法案)にはほとんどの民主党議員が賛成票を投じて、上院で弾劾裁判が開廷される運びとなるはずだ。

上院では実際の罪状が示されて、トランプは「まな板のコイ」状態になるだろうが、共和党の上院議員たちは自分たちのボスに逆らう勇気もなく、「無罪」という結果になるだろう。

来年の秋、大統領選が佳境に入る頃には「そういえば弾劾裁判なんてあったなあ」とうことになりそうな気配でもある。

共和党議員(連邦議員はほとんどが弁護士資格を持つ)にはなんとか法律家としての職務と良識を再確認してもらい、「犯罪者」には有罪判決をだしてほしいと思うが、実際にはトランプがそ知らぬふりで予備選を戦っているというのが現実的な近未来像かもしれない。

痛惜に堪えないー。(敬称略)

忙しくてもゴルフは欠かしません

トランプがゴルフ好きであることはつとに有名である。メディアにはあまりクラブを振っている姿を見せないが、頻繁にゴルフ場に行っている。

Photo from Youtube

少し調べてみると、9月は2日、7日、8日、14日、15日、21日、28日、29日の8日間。10月に入っても5日、12日、13日にプレーしていた。いずれの日も土曜か日曜で、週末には必ずといっていいほどクラブを握っていることになる。

両月にプレーをしたのはすべて首都ワシントン郊外(バージニア州ポトマック・フォールズ)にあるゴルフ場で、2009年にトランプが購入した「トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ」である。自分の所有するゴルフ場で、しかも週末にプレーするので文句はないが「意外に時間があるんじゃない」という印象である。

スケジュールを組むときに「週末はゴルフ優先だからな」と部下に言っていると思えるくらいだ。超多忙に見える大統領だが、実は予想外に余裕があるというのが本当のところかもしれない。要所要所でメディアに登場して発言し、あとはホワイトハウスの執務室と公邸にいられる。

ただ、週末のゴルフ以外にも他州で行われる政治集会や会議に頻繁に足を運んでいるのも確かだ。9月だけでもノースカロライナ、メリーランド、ニューメキシコ、カリフォルニア、テキサス、オハイオ、ニューヨークの各州に、10月もすでにフロリダ、メリーランド、ミネソタ、ルイジアナ、テキサスの5州を訪れている。トランプにとってゴルフは活力を養う術なのかもしれない。(敬称略)

アメリカの分断

トランプ大統領(以下トランプ)が追い詰められつつある。

トランプはウクライナ疑惑もやり過ごせると思っていたかもしれないが、日に日に弾劾の現実性は高まりつつある。(弾劾については・・トランプ大統領弾劾へ ペロシ下院議長も …

だが弾劾を推し進めているペロシは今春まで、「弾劾は国家を分断させます。やむにやまれぬ証拠があったり、圧倒的と言えるような超党派の力で弾劾を推し進められない限り、すべきではないと考えます」と言っていた。しかし態度を変える。

実は春に述べていたことは、状況を的確につかんだコメントでもあった。というのもキニピアック大学の最新世論調査によると、米国民の弾劾への賛否は「47%対47%」で、いまのアメリカはトランプ弾劾で真っ二つに割れている。

トランプは「弾劾されるべき」と考える人と、トランプは「民主党によって不当に扱われている」と考える人がいるが、それは民主党支持者と共和党支持者の拮抗でもある。2016年選挙の結果同様、2020年選挙でもトランプと民主党候補の得票数はほぼ互角になるはずで、これがいまのアメリカの姿である。

けれども政権発足以降のトランプの言動をみる限り、資質や人格といった観点だけでなく、政治家として、また一人の良識ある人間として、トランプはホワイトハウスにいてはいけないというのが個人的な見解である。(敬称略)

懐かしいアメリカ

トランプ政権になってアメリカ経済は活況を呈している。それでもホームレスがいて、路上で小銭を求めてくる人がいる光景は何十年たっても変わらない。

さらにダイナー(Diner)に行くとテーブルの上にはジュークボックスがあり、60年代、70年代のヒット曲を1曲25セントで聴くことができる。

嗚呼、アメリカである・・・。

20190608diner

トランプが失脚しない訳

どうしてトランプが支持され続けているのだろうか。このところ、ずっと考えている疑問である。

これまでの政治家とは違い、人の心に響くような本音をためらいもなく口にする壮気が認められているということか。品のないというより下劣な表現が飛び出すたびに大統領としての品位を損なっているかに思えるが、むしろ多くの保守派の人たちにとっては「膝ポン」フレーズだったりする。

「よく言ってくれました」。拍手喝采する人たちが少なくない。

ハーバード大をでて、オックスフォード大にも留学し、有名なコンサルティング会社で仕事をしたあとに政治家となり、「すべての市民に健康保険を提供します」といった理想論を熱くかたる良識ある政治家(民主党候補ピート・ブディジャージ)より、自分たちの本音を代弁してくれるトランプの方がいいと思う保守層の市民は驚くほど多いのだ。

トランプの支持者は、綺麗ごとだけを述べていても世の中は変わらないと考える。トランプ本人は選挙に勝つためであれば何でもするつもりだし、実践してきた。ロシア政府と手を組んでもいいとさえ思っているかのごとくだ。

誰にもバレなければいいのだから、というメンタリティーはある種の犯罪者心理に通じる。バレてしまったらあとは揉み消せばいい、というヤクザ紛いの考え方といつも共存しているかのようでさえある。カネで解決できることはカネを使う、という姿勢も感じる。

単に打たれ強いという表現では言い表せない。トランプ支持者はこうした「トランプ流」をよく理解し、認めている。マラー報告書がだされてもトランプの支持率にほとんど変化がないのはそのためだ。

来年の選挙でも民主党は間違いなく苦戦を強いられる。(敬称略)