再来、17年ゼミ

アメリカの東部諸州に17年ごとに現れるセミがいる。今年がまさにその年にあたり、目の赤いセミが億単位(兆単位か?)で地中から現れる。

私が最初に遭遇したのは1987年で、まだ首都ワシントンで会社員をしていた時のことだ。当時は一軒家の地下に住んでいて、出社するために庭にでると、高さ3メートルほどの小さな木に200匹くらいのセミが、重なり合うようにとまっていたのを覚えている。

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あまりの多さに目を疑い、少しばかりの恐怖心を抱いたことを思いだした。住宅街の木々や郊外の森はセミで溢れかえった。2004年もまだワシントンにいたので2回目の17年ゼミ体験をし、いまはニュースで見聞きするだけとなり、懐かしさがこみ上げている。

次の駐日米大使の素顔

バイデン大統領は次の駐日アメリカ大使として、前シカゴ市長だったラーム・エマニュエル氏(61)を指名することとなった。

実は、私はエマニュエル氏のことを30年ほど前から知っており、何度も取材したことがある(ある男の勝利)。最初は1992年、彼がビル・クリントン氏の選挙事務所で選挙資金を集めていた時にであった。その時は政治家志望であるとはまったく知らず、単なるボランティアだと考えていた。

クリントン政権誕生後、ホワイトハウスで補佐官を務めている時にも顔を合わせたが「大物感」はなかった。だがその後、連邦下院議員に当選して6年間議員を務め、オバマ政権が誕生すると初代の首席補佐官に就任するのだ。そして次のステップとしてシカゴ市長になった。極めて上昇志向が強い人物である。

筆者撮影

そしてこれから駐日米大使になり、少なくとも数年は日本に滞在することになりそうだ。エマニュエル氏と以前、話をしているときに感じたのは、最終的にトップ(大統領)にまで上り詰めたいとの宿望を抱いているということである。それが難しい挑戦であっても、チャンスをうかがっているのだろうと思う。

お手並み拝見である。

「ノマドランド」

観たい!観たい!観たい!

久しく映画館に足を運んでいないこともあるが、米時間25日夜にアカデミー賞で作品賞や監督賞などを獲った「ノマドランド」を早く観たいという思いが募っている。

アカデミー賞の発表後、Youtubeで22分にまとめられたダイジェスト版を観たら、すぐにでも全編が観たくなった。内容は企業倒産によって住む家を失った女性がキャンピングカーでの生活をはじめ、全米各地でいろいろな人と出会って人生を見つめ直すというストーリーだ。主演のフランシス・マクドーマンドはアカデミー主演女優賞を獲得している。

派手なアクションも甘い恋愛もない映画だが、22分のダイジェスト版を観ただけでも「生きている間にぜひ観ておくべき映画」という印象をうけた。

脚本も手がけたクロエ・ジャオ監督の紡ぎだすセリフに打たれもした。ジャオ氏は中国生まれの39歳で、こぼれ落ちんばかりの才能が感じられ、映画全体の魅力とおのおののシーンがそれぞれ光を解き放っており吸い込まれそうになった。

はやく観たあああい!

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バイデン、思いを語る

「この人は本当に真っ当な人物なのだろう」

今週16日に行われたバイデン大統領と市民との対話集会を、ユーチューブで観たあとの率直な感想である。大統領に向かって「真っ当な人物」と述べることは失礼かもしれないが、距離を置いてみてもそうした思いがあった。

CNNが主催した対話集会は、いまのバイデン氏のありのままをさらすのに十分な効果と価値があった。同氏は約75分の集会で、まったくペーパーに頼らず、数十人の市民から投げかけられる質問に壇上で実直に答えていた。

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もちろん質問内容は事前にホワイトハウス側に伝えらえていただろうし、その答えも用意されていたはずである。だが78歳の大統領はほとんど淀みなく、何も見ずに受け答えをした。むしろ想定問答集を覚えてその通りに話すことの方が難しかったかもしれない。いまの自分の思いをその場で表現する方が、テレビの視聴者の胸に刺さることをよく理解していたと思われる。

内容はコロナのことから教育、最低時給賃金、トランプ前政権、移民の問題まで多岐におよんだ。政権誕生からまだ1カ月だが、すでに大統領を数年やってきたかのような沈着で泰然とした受け答えで、誠実さがにじみ出ていた。

「私はホワイトハウスで寝起きしたいから大統領になったのではありません。この国の将来のためになる決断をするためになったのです。大統領として皆さんに仕えられることは本当に名誉なことです」

少なくともバイデン氏は心をこめてそう述べていた。1973年から連邦上院議員を務めてきた政治家である。いま自分が何をすべきかを熟知しているはずである。そしていま国家が必要としているものは前向きな姿勢であることを示した。それは次の言葉に表れていた。

「いま国は分断されているといいます。でも明確に分断されているわけではない。外にでて、いろいろな人と話をしてみてください。両極にいる人たちでさえ、話し合いができる余地を残しています。はっきりと分断されているわけではないので、私はまとめることができると思っています」

久しぶりに期待のできるリーダーが登場したと言っていいかもしれない。

トランプの弾劾裁判開始

米時間9日から連邦上院でトランプ前大統領の弾劾裁判がはじまる。

下院では1月に弾劾訴追決議案が可決されたが、上院では100議員の3分の2以上が賛成しないと可決できないことから、難しいのが現状だ。現在、上院では共和・民主両党が50人対50人で拮抗。最低17人の共和党議員が「党の和を乱して」弾劾賛成に回らないと可決できない。

現時点では10人ほどの共和党議員だけが反トランプの立場で、トランプ氏はフロリダでのゴルフ三昧の日々を奪われることはなさそうだ。

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しかも上院ではすでに短期間で裁判を終わらせようとの申し合わせができており、1週間ほどで「トランプ弾劾されず」というニュースが流れるだろう。

それよりもトランプ氏にとって痛手になると思えるのが、今後の公職への出馬を阻止される投票(憲法修正第14条第3節)が上院で行われるかもしれないことだ。同氏が2024年の大統領選に再び出馬する意向があるならば、この決定は「アチャー」以外のなにものでもない。