米政府はしばらく前から月面に原子炉を建設する計画を進めていたが、今週、ショーン・ダフィー運輸長官がその計画を公表する予定だ。いくつかのメディアが報じている。すでに明確なスケデュールが設定されているようで、今後具体的にプロジェクトが進行していくと思われる。
実は、私は2022年にNASA(米航空宇宙局)が月面に原子炉を造るかもしれないという話を聞いており、「アメリカらしい大胆なプロジェクトだなあ」と思ったが、実際にどこまで進行しているかは知らなかった。当時、月面に原子炉を建設する目的が何なのか疑問に思ったが、いろいろと調べていくと、将来、人間が月面に住むことになった時のエネルギー供給源であるとわかり、米政府はそこまで見越していたのかと驚きもした。
米国は月面での原子炉建設を居住だけでなく、火星に向かうための足がかりとしているとも知らされ、その本気モードに唸ってしまった。さらに中国との宇宙開発競争に勝つためにも、月面原子炉は実現させなくてはいけないのだという。
この件について少し調べると、今年5月8日に中国とロシアが共同で、月面に原子力発電所を建設する協定に署名していることがわかった。両国は2036年までに月面基地「国際月面研究ステーション(International Lunar Research Station: ILRS )」の建設を予定しており、ロシア製の原子炉は人間が介在しなくとも、自立的に行わる可能性が高いという。
ILRS計画にはここまでエジプトやベネズエラ、タイ、南アフリカなど17カ国が参加を表明しているが、「ジャパン」の名前は見えない。同分野では日本は後れをとった印象は免れない。