Black Friday

日本でもBlack Friday(ブラック・フライデー)という言葉が一般的になってきた。この言葉は米国の感謝祭(Thanksgiving)の翌日の金曜日のことで、今年であれば11月29日にあたる。米市民にとって、感謝祭はクリスマスに次ぐ祝日といえる日で、家族が集まって七面鳥を食べるのが慣わしだ。

その金曜からクリスマスショッピングが始まり、小売業界では1年でもっとも売り上げが見込める日であるため(黒字)、この言葉が使われている。私が渡米した年(1982年)の感謝祭、アメリカ人の友人がオハイオ州の実家に招いてくれて、生まれて初めて七面鳥の丸焼きを目の当たりにし、舌鼓をうった。その時にブラック・フライデーという言葉を耳にし、意味を教えられた。日本では知らなかった米文化に触れた思いだった。

米国でBlack Fridayという言葉が使われはじめたのは1950年代からだという。そしていま、Cyber Monday(サイバー・マンデー)という言葉が登場している。感謝祭の翌週の月曜日からはじまるオンラインによる一大商戦のことで、週が明けてからゆっくりとオンラインで買い物をするところが特徴だ。いずれにしても、年末商戦にネーミングをすることで売り手側にとっては大きな利点となっている。

Merry Christmas 3

東京駅の隣にある商業施設「Kitte」のロビーに、高さ13.5メートルの本物のモミの木がやってきました。3万個のLEDが灯っています。

『ゼロで死ね』(2)

昨日の当欄で、『ゼロで死ね』というタイトルのブログを書いた。今日はその続編である。というのも、『ゼロで死ね』という書籍(ビル・バーキンス著・ダイヤモンド社)を紹介しておきながら、読まずに書いたので歯がゆくてしょうがなく、本屋に行って買い求めてきた。

読み始めると、興味深い記述が次から次へとでてくる。ノートに記しておきたいほどの指摘が多く、ベストセラーになっている理由が理解できた。ここでは記述のいくつかをご紹介しようと思う。

「蓄えるだけの人生よ、さようなら!いま味わえるはずの喜びを極端に先送りすることに意味はない」

「人生は経験の合計。あたなが誰であるかは毎日の経験の合計によってきまる」

「老後で何より価値が高まるのは思い出だ。(中略)とにかく早い段階で経験に投資すべきだ。そうすれば、年齢を重ねるほどに驚くほど多くのリターンが得られる」

「必要以上に貯め込むことや、金を使うタイミングが遅すぎるのが問題」

「慎重派の人は150歳まで生きるかのような過度な貯金をしてしまう」

「富の最大化ではなく、人生の喜びを最大化するための方法を探すこと」

まだまだ多くの良質の指摘があるが、ここではこれくらいにしておきたい。もっと知りたい方は同著を手にとって頂ければと思う(私は同著のセールスマンではないが、、、)。

『ゼロで死ね』

昨日(11月23日)の朝日新聞朝刊に、『ゼロで死ね(Die With Zero)』という書籍が紹介されていた。日本人の高齢者の約3分の1は生きているあいだに財産を使い切りたいと考えているが、実際は1割から2割しか使わずに死んでいくというのだ。

著者はビル・パーキンス氏という米国のヘッジファンド・マネジャーで、日本人に財産を使いきることに対して罪悪感を抱かないようになってほしいとの思いから同書を記したという。以前、老後2000万円問題という話題が世間を騒がせた。多額の退職金を手にしても、多くの日本人は貯めるだけで使い切って死ぬという考えをなかなか持てない。

パーキンス氏はゼロになるまで使いきらなくとも、「人生をより充実させるために」使うべきであるとする。1985年にノーベル経済学賞を受賞したフランコ・モディリアーニ氏が提唱した「死ぬときに残高がちょうどゼロになるように消費行動をすべきだ」との考えにもとづいている。

この分野はすでに多角的に考察されていて、退職後の手持ちの資産はそうそうは減らないことがわかっている。それは日本でも米国でも同じで、65歳で退職した米国人の資産の減少率は85歳になった時でも1割に過ぎないというのだ。歳をとると意外にお金を使わなくなる点も、多くの高齢者の共通するところ。

私もすでに前期高齢者というカテゴリーに入り、以前のようにガンガン使うということが少なくなった。将来、病気になってお金が必要になるかもしれないとの思いは誰しも抱くが、「ゼロで死ぬ」という消費行動は経済を活性化させることにもなり、少しばかり実践してみようかと思っている。