昨日(11月23日)の朝日新聞朝刊に、『ゼロで死ね(Die With Zero)』という書籍が紹介されていた。日本人の高齢者の約3分の1は生きているあいだに財産を使い切りたいと考えているが、実際は1割から2割しか使わずに死んでいくというのだ。
著者はビル・パーキンス氏という米国のヘッジファンド・マネジャーで、日本人に財産を使いきることに対して罪悪感を抱かないようになってほしいとの思いから同書を記したという。以前、老後2000万円問題という話題が世間を騒がせた。多額の退職金を手にしても、多くの日本人は貯めるだけで使い切って死ぬという考えをなかなか持てない。
パーキンス氏はゼロになるまで使いきらなくとも、「人生をより充実させるために」使うべきであるとする。1985年にノーベル経済学賞を受賞したフランコ・モディリアーニ氏が提唱した「死ぬときに残高がちょうどゼロになるように消費行動をすべきだ」との考えにもとづいている。
この分野はすでに多角的に考察されていて、退職後の手持ちの資産はそうそうは減らないことがわかっている。それは日本でも米国でも同じで、65歳で退職した米国人の資産の減少率は85歳になった時でも1割に過ぎないというのだ。歳をとると意外にお金を使わなくなる点も、多くの高齢者の共通するところ。
私もすでに前期高齢者というカテゴリーに入り、以前のようにガンガン使うということが少なくなった。将来、病気になってお金が必要になるかもしれないとの思いは誰しも抱くが、「ゼロで死ぬ」という消費行動は経済を活性化させることにもなり、少しばかり実践してみようかと思っている。