ドナルド・トランプ氏が再び大統領になることが決まり、個人的には落胆している。ハリス氏よりもトランプ氏の方が米経済にとっては良好という見方は理解できるが、来年から「あのトランプ」が戻ってくるかと思うと意気消沈してしまう。
ただ、何故ハリス氏が負けたのかという点に注目すると、いくつかの限界を指摘できるかと思う。それは人種と性別である。オバマ大統領が誕生した時に、「黒人は大統領になれない」というジンクスが破られ、人種の壁は砕かれたはずだっが、黒人の血が入っているハリス氏は今回、結果的に敗北を喫してしまう。父親がジャマイカ人で母親がインド人という非白人のルーツが、有権者の判断に多少なりとも影響したのではないか。
さらに女性の大統領を誕生させるということに、「ガラスの天井」がいまだに存在することをみせつけられた。2016年にヒラリー・クリントン氏が敗れた時も言われたが、大国のトップに据えることを意識的、または無意識的に忌避する心性が多くの市民に残っていたのではないか。
ボストン大学のタミー・ヴィジル教授は米メディアにこう述べている。
「ハリス氏の敗北は、米国には男女関係や人種問題でまだまだやるべきことが残っていることを示している」
世界の中でも進歩的と思われている米国で、多くの市民の心中にはいまだに暗い影がまとわりついているということである。