こう発言したのはドナルド・トランプ氏である。どういうことかといえば、大統領選の遊説先であるアリゾナ州テンピ市で24日、外国からの移民について言及し、増え続ける米国内の移民によって米社会はかき乱されており、すでに「ゴミ箱化している」と述べたのだ。
以前から「反移民」の立場であるトランプ氏は同日、「移民が国内に病気をもたらし、米国の血(Blood)を汚している」とまで発言。その元凶をつくったのは民主党の政治家であり、大統領選のライバルであるカマラ・ハリス氏こそが「意図的に国境を解体し、門戸を開いた」と糾弾した。
今年の大統領選の争点の一つがまさにこの移民問題で、トランプ氏は共和党保守の立場を堅持しているので反移民だが、ハリス氏は米国という国家は移民によって成立しているという価値観で移民擁護派である。
ただトランプ氏の最近の発言はより先鋭化しており、国外から流入してきた移民によって「米社会の略奪、強姦、虐殺が行われている」とまで言ってのけた。さらにこうした動きを「我が国への侵略」と受け取り、民主・共和両党の対立をより深める結果になっている。
移民についてはすでに多くの研究論文がでており、移民と犯罪の増加に密接な関連性は見いだせないとの報告もある。また移民が法を犯す可能性は米国生まれの米国人よりも低いという研究結果もある。トランプ氏にとってはハリス氏との違いを際立たせ、共和党保守派の心を刺激する意味で、この移民問題は格好の題材であることは間違いない。