資本主義はすでに死んだ?

ギリシャの元財務大臣であり経済学者のヤニス・バルファキス氏が『テクノ封建主義(Technofeudalism : What Killed Capitalism)』という新著をだして話題になっている(邦訳はまだ)。

この本の副題に示されているのは、冷戦が終結し、世界中がグローバリズムというものに席捲されている今、誰が資本主義を殺し、新しい時代には何が待ち受けているのかということである。

著者のバルファキス氏は資本主義は打倒されたのではなく、別のものになってしまったという。それを『テクノ封建主義』と名づけている。資本主義が終焉を迎えたのはマルクスが予言したような方法でなく、資本主義そのものに矛盾があったからで、資本と労働という対立が悪化して自滅していくという推論を展開している。

その中で興味深い指摘は「クラウド資本」というものが現在の市場を消滅させて、別のものへと移行していくということだ。つまり社会主義でも資本主義でもなく、新しい体制ができつつあるというのだ。まだ私も本書を手にとっていないので詳細はつかめていないが、是非手にとってみたい本である。