トランプ:なぜ未だに支持されるのか

米保守派のドナルド・トランプ前大統領(以下トランプ)への思いがどうしても理解できない。

トランプは現在、ニューヨーク州地裁から金融詐欺を働いたとして4億5400万ドル(約681億円 )の支払いを命じられているが、資金繰りが厳しく、すぐに支払うことができない。そのため大手保険会社にかけあったが了承を得られず、選挙戦の真っ最中にあって金銭問題で巨大な壁にぶつかっている。

それだけではない。トランプは今年に入ってから2件の民事訴訟で負けており、計5億4000万ドル(約810億円)を超える制裁金をもとめられてもいる。さらに4件の刑事訴追も抱えており、針のむしろの上にいながら火であぶられているような状況である。

その中で大統領選を戦っているのだが、いまだに共和党内では高い支持率を維持しており、予備選では断トツの強さを誇っている。党内で2番目に支持を集めていたニッキー・ヘイリー元国連大使が今月7日に選挙戦から撤退を表明したことで、共和党=トランプという図式ができあがった。

日本であれば、これだけ訴訟にまみれた政治家が国のトップになろうとすること自体に眉をひそめる人が大勢いるだろうかと思う。だが、党内ではそんなトランプへの支持は強く、ヘイリー氏が撤退したあとは支持率がむしろ上昇したほどだ。いくら訴訟慣れしている米国であっても、保守派のトランプへの不抜の精神と呼べる心持ちはなかなか理解できない。

バイデン対トランプの最新の世論調査をみると、 エコノミスト誌 はバイデン(44%)対トランプ(43%)、ロイターはバイデン(31%)対トランプ(32%)で両者ほぼ互角である。

米国はいったいどこへ行こうとしているのか。