仕事への熱意

すでに旧聞に属する話かと思うが、日本の会社員で熱意にあふれる社員は全体の6%であるという統計がある。あまりにも少ない数字なので愕然とさせられると同時に、本当なのかとの疑念も沸く。ギャラップ社が昨年行った世論調査でも、熱意あふれる社員は5%という数字だったので、勤勉でよく働くと思われている日本人は意外にも仕事熱心ではないということになる。

「やる気のない社員」というカテゴリーでは70%の会社員が仕事に対して熱意をもてずにいるという。嘆かわしいという思いと同時に、どうしてここまで低率なのかを考えざるをえない。

ちなみに米国では熱意あふれる社員は32%で、日本のほぼ5倍だ。ギャラップ社によると、世界139ヵ国中、日本は132番目で、最下層の一角を成している。

通勤電車で乗客の表情をみているだけでも、「これから楽しい仕事が待っている・・・ウキウキ」と思わせる顔つきをしている人はほとんどおらず、「アーア、また嫌な上司と顔を突き合わせなくてはいけないのか」との思いを胸の奥にしまい込んでいるような人が多い。

こうした否定的な思いが流布したのは、第一に「給与が上がらない」、第二に「忙しすぎる」という理由がくる。さらに「上司から真っ当な評価を受けていない」や「仕事そのものがつまらない」といった理由がつづく。一方、米国の大企業は社員の仕事への満足度をあげるためにEH(Employee Happiness=社員幸福度)という尺度が使われ、できるだけ楽しんで仕事をしてもらうための努力が払われているようになってきている。

日本の通期電車の乗客に笑顔が生まれる日はくるのだろうか。