世界一を目指さない日本

今月22日で東京スカイツリーが開業して10年になる。「世界一高いタワー(電波塔)としてギネス世界記録の認定を受けた(634m)」という触れ込みもあり、これまで展望台に行かれた方も多いだろう。

いまでも電波塔としては世界一の高さを誇っているが、世界には電波塔ではなく、ビルとしてスカイツリーよりも高い建物がある。アラブ首長国連邦のドバイにあるブルジュ・ハリファだ。スカイツリーよりも200mほど高い828mなので、建物としての「世界一」はドバイに持っていかれている。

以前、仕事で出会ったフランス人の建築家、マニュエル・タルディッツ氏は「ブルジュ・ハリファよりも高いビルを東京で建てることはできますよ。5000メートルとは言わないですが、構造上は2000メートルのビルでも十分に可能です」と話していた。もちろん、その高さのビルを建てると、周囲の住環境への影響や維持管理の問題がでてくるが、本当にやろうと思ったらできないことはない。

いまの問題は、日本人がそれだけのものを目指さなくなっていることなのではないか。「そこまでしなくとも」とか「無理しなくとも」といった社会風潮が日本全体を包み込んでいるように思えるのだ。

多少無謀でも構わないので、「世界一を目指します」といって突っ走るくらいの勢いが日本に戻ってきてほしいと思う今日この頃である。