バイデンが記者会見で伝えたかったこと

バイデン氏がホワイトハウス入りしてから初めての記者会見を米時間25日に開いた。日本時間では夜中だったので、ネットで会見を観た。

コロナ問題から移民問題、対中政策までテーマは多岐に渡ったが、78歳のバイデン氏に対する国民の期待がクリントン氏やオバマ氏に比べると過大ではないことから、低空からスタートしている印象がある。

たとえばコロナワクチンの接種回数は、当初は就任100日で1億回という目標をかかげたが、実際はほぼ半分の時間で実現させてしまった。昨日の会見では、100日までに2億回という数字をだして、順調にワクチン接種を進めているとした。最初から2億回という数字を出さなかったことで、達成感を強調しさえした。

1973年から上院議員を務め、オバマ政権での副大統領を含めると44年間もワシントンの政界にいただけに、法案を通過させるテクニック、政策の打ち出し方、共和党議員との折衝法、メディアとのかけひき、人が思って以上に剛強で策略家であるのがバイデン氏の本性だろう。

中国に対しては、厳しい態度をみせた。

「彼ら(中国)は世界でナンバーワンの国なるという野望を抱いているだろう。世界で最も富んだ国になり、最強国になるという最終的な目標を持っているはずだ。だが私の政権下でそれは起きない。というのも米国はいま以上に成長、拡張するからだ」

習近平主席はバイデン氏の当選後、祝福の電話をしてきたという。2時間ほど話をして、中国との競争は避けられないが、全面対立は両者が求めていないことを確認しあったという。バイデン氏に期待できるのは、こうしたバランス感覚である。少なくともトランプ氏よりは安心してみていられる大統領のはずである。