新型コロナ(14):アメリカではようやく減少か

いつかは下降線を描く日がくるー。

当ブログではこれまでアメリカでの新型コロナウイルスの感染者数を、グラフで示してきた。日本とではケタが違うが、アメリカの感染者の推移が日本に何らかのヒントをあたてくれると考えたからだ。

前回(新型コロナ(13):ピークアウトするのか?)のブログではまだピークアウトしていなかったが、過去数日でアメリカの感染者数のカーブはようやく下降線を描きはじめたかに見える。

同時に、死亡者数も減少しはじめた。

「ようやく」と言っていいかと思う。外出禁止令がだされてからほぼ1カ月がたってからのことである。日本がアメリカとまったく同じ足跡を辿るわけではないだろうが、緊急事態宣言をだしてから2週間後に感染者が減りはじめるとの言説はあくまで理論上のことではないかと考える。

1カ月はみておくべきというのがアメリカのグラフが示唆する点である。コロナとの闘いはまだまだこれからと考えるべきだろう。

新型コロナ(13):ピークアウトするのか?

新型コロナウイルスの現状は、数字を眺めれば眺めるほど悲観的にならざるを得ない。特に感染者数と死亡者数で世界一を更新しつづけるアメリカは深刻で、ある意味で他国への警鐘になっている。

日本政府は感染者をこれ以上増やさないために今月7日、7都府県に緊急事態宣言をだし、16日には全国に拡大した。安倍首相は人との接触を8割減らせば2週間後にはピークアウトして感染者数が減少すると説明したが、日本政府には強制的な行動抑制を国民に課すことができないので、予定どおりにピークアウトしていくかどうかは疑わしい。

ニューヨーク州では3月7日にクオモ知事が非常事態宣言をだした。そして3月20日(21日開始)には事実上の外出禁止令をだして、徹底的に人との接触を減らす政策がとられた。2週間後(4月4日以降)、感染者数はどうなったのか。下のグラフをご覧いただきたい。

ニューヨーク市だけではなく、ニューヨーク州全体の数字である。4月7日からまた感染者が増えており、ピークアウトしたと言えないことがわかる。現地に住む友人によると、外出禁止令が出されたあと、町を歩いているのは「医師、銀行員、郵便局員、報道関係者、食料品関係者、あとはホームレス」との話だが、4月10日の感染者はまた1万人を超えた。そして14日には1万1000人を超えている。「外出禁止令」がだされていても、である。

上のグラフはアメリカ全土での1日ごとの感染者数で、トランプ大統領は16日、「ピークは過ぎた」として経済活動再開に向けての3段階からなるプランを発表。そして各州の知事に経済活動の再開は「自分たちの判断(call your own shots)」で決めてほしいと伝えた。

だがそれは、今後の感染者増の責任を州知事に押しつけたともいえ、トランプ氏は「コロナとの戦いから降りてしまった」と受け取られてもおかしくない。グラフをみる限り、ピークを過ぎたようには思えないのだが、、、。

安倍氏はこうしたアメリカの現状を見て何を思うのだろうか。

失業者は既に1700万人超、米国襲うコロナ不況の怖さ

「すでに充分に不況と捉えられるし、こんな状況はいまだかつてなかった」

プリンストン大学のアラン・ブラインダー教授の言葉を待つまでもなく、新型コロナウイルスによる経済的打撃は日米だけでなく世界中で深刻さを増している。

特に感染者・死亡者の人数で世界最悪を更新している米国では、3月中旬からの3週間で約1700万人が新規の失業保険を申請しており、米国という巨船は沈みはじめたかに見える。

米JPモルガン・チェースは第2四半期の米失業率は20%に達すると推測しているし、エコノミストによっては2021年になっても9%前後で高止まりすると見る向きもある。(続きは・・・失業者は既に1700万人超、米国襲うコロナ不況の怖さ

新型コロナ(12):ジグザグが続くアメリカの感染者数

アメリカの新型コロナウイルス感染者数の1日ごとのグラフである。前回(9日)の当ブログで、「ピークを越したようにも思えたが、再び増える可能性もあり予断を許さない」と書いたとおり、3月10日には3万5000人を超えて過去最高となった。11日にはまた少し減り、しばらくは3万人前後をジグザグで推移しそうだ。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は12日、感染者数が鈍化してきている傾向をうけて、「早ければ来月からアメリカ国内で(コロナウイルスによる制限の)緩和の動きが見られるかもしれない」と述べた。

ファウチ氏はホワイトハウスの会見でトランプ大統領と並んで登場した時に、平気で大統領と違う見解を表明できる人物で、以前から敬愛の念を抱いてきた。私が80年代半ばにワシントンでエイズ研究者である満屋裕明氏について調べ、書き始めた時にはすでに同研究所の所長だった人だ。

トランプ政権は2月からコロナウイルスの脅威について専門家から忠告をうけていたが、トランプ氏が軽視してきたとのいうのがファウチ氏の見方だ。トランプ氏は今から3時間ほど前のツイッターで、「ファウチを首にする時だ」とハッシュタグで発信。相変わらず、やりたい放題の大統領である。

2020年米大統領選(32):サンダーズの決意と慟哭

民主党候補のバーニー・サンダーズが米時間8日午前、選挙戦から撤退すると発表した。選挙スタッフたちとの電話会議で撤退の意向を告げている。さぞや悔しかったことだろう。

前回の同ブログ(2020年米大統領選(31):追い込まれたバーニー)で記したとおり、3月20日の時点でバーニーが勝てないことはわかっていた。そこにコロナ騒ぎが加わり、多くの州で予備選が延期され、バーニーも政治集会を開けない状況になって戦意を失うことになったのではないか。バーニーは同じ電話会議でスタッフたちに、「勝利への道は実質上なくなった」と話した。

ただバーニーは予備選の最後まで投票用紙に名前を残すことにしている。それはジョー・バイデンが党の代表になっても、党大会で採択される綱領に環境問題や公立大学の無償化など、バーニーらしい革新的政策を盛り込むために影響力を発揮したいからであるとしている。

前回選挙(2016年)でヒラリー・クリントンに党代表の座を奪われてから4年。ポヨポヨした白髪を揺らせながら、真剣なまなざしで有権者に語りかける姿を実際の現場で何度となくみてきた。78歳という年齢を考えると4年後の出馬は考えにくいので、個人的には残念である。

今年は同じ革新派のエリザベス・ウォーレンがいなければバーニーが党代表になっていた可能性があるし、4年前はヒラリーにかなり善戦した。下の地図をご覧いただきたい。

茶色の州が、ヒラリーが予備選で勝ったところで、緑色はバーニーが勝利を収めた州である。東北地域を含めた北部をバーニーが、カリフォルニアを含めた南部諸州をヒラリーが獲るという結果になった。

2016年は6月までもつれ込んだが、今回は4月初旬にバーニーが白旗をあげたことで予備選は実質的に終わってしまった。次に大統領選の話題で盛り上がるのは夏の党大会ということになる。