新型コロナ(13):ピークアウトするのか?

新型コロナウイルスの現状は、数字を眺めれば眺めるほど悲観的にならざるを得ない。特に感染者数と死亡者数で世界一を更新しつづけるアメリカは深刻で、ある意味で他国への警鐘になっている。

日本政府は感染者をこれ以上増やさないために今月7日、7都府県に緊急事態宣言をだし、16日には全国に拡大した。安倍首相は人との接触を8割減らせば2週間後にはピークアウトして感染者数が減少すると説明したが、日本政府には強制的な行動抑制を国民に課すことができないので、予定どおりにピークアウトしていくかどうかは疑わしい。

ニューヨーク州では3月7日にクオモ知事が非常事態宣言をだした。そして3月20日(21日開始)には事実上の外出禁止令をだして、徹底的に人との接触を減らす政策がとられた。2週間後(4月4日以降)、感染者数はどうなったのか。下のグラフをご覧いただきたい。

ニューヨーク市だけではなく、ニューヨーク州全体の数字である。4月7日からまた感染者が増えており、ピークアウトしたと言えないことがわかる。現地に住む友人によると、外出禁止令が出されたあと、町を歩いているのは「医師、銀行員、郵便局員、報道関係者、食料品関係者、あとはホームレス」との話だが、4月10日の感染者はまた1万人を超えた。そして14日には1万1000人を超えている。「外出禁止令」がだされていても、である。

上のグラフはアメリカ全土での1日ごとの感染者数で、トランプ大統領は16日、「ピークは過ぎた」として経済活動再開に向けての3段階からなるプランを発表。そして各州の知事に経済活動の再開は「自分たちの判断(call your own shots)」で決めてほしいと伝えた。

だがそれは、今後の感染者増の責任を州知事に押しつけたともいえ、トランプ氏は「コロナとの戦いから降りてしまった」と受け取られてもおかしくない。グラフをみる限り、ピークを過ぎたようには思えないのだが、、、。

安倍氏はこうしたアメリカの現状を見て何を思うのだろうか。