なにも変わっていない石川遼

石川遼が6日、日本プロ選手権で見事な優勝を遂げた。優勝から遠のいてほぼ3年。「石川はもうダメかもしれない」との思いが多くの人の胸中にあっただけに、嬉しいニュースだった。

「復活」という言葉はまだ早いのかもしれないが、ほとんどのプロスポーツがそうであるように、ゴルフにも「まぐれ」で勝つということはない。力がなければ優勝はできない。それだけに、10代の頃のような卓抜したプレーをまた見せてほしいと思う。

私はゴルフ場に取材にいったことはないが、記者会見に出席したことはある。2011年6月、日本外国特派員協会の会見で石川はこんなことを口にしていた。

「プレッシャーがかかっていると思ったことは一度もない。皆さんに応援していただいて始めて仕事になるのです。それがプレッシャーになっていたのでは仕事にならない」

ryo7.8.19

(2011年6月 日本外国特派員協会で)

彼の言動は謙虚で、穏やかで、伝えられていたとおりの「遼くん」だった。もちろん、会見という短い時間なので本性をださずにいい人を演じることはできるが、石川遼は呆気にとられるほどの好青年だった。

そして昨日、優勝後にこう述べるのだ。

「僕よりもギャラリーの皆さんが信じてくれて、応援してくださっていたので皆さんの力で勝てました。ありがとうございます」

これは本心だろうと思う。8年前となんら変わっていない。また海外に出ていって、ぜひマスターズでグリーンのジャケットを着てほしいと思う。頑張れ遼!(敬称略)

Media appearance

明日の放送メディア出演予定:

 

・7月6日(土)8:00amから 日本テレビ/読売テレビ『ウェークアップ!ぷらす

 

今日(5日)の午後、汐留の日テレ本社で収録してきました。そこから編集されて、短い時間使われるだけです。トランプの独立記念日の軍事パレードとイラン問題について話をしました。

トランプ政権内のばらつき

6月30日に行われた板門店での米朝首脳会談が、実は事前に下準備が整えられていたことがわかってきたが、アメリカ側で会談実現に尽力したのは北朝鮮政策特別担当代表スティーブ・ビーガンだった。過去2回の会談でも影でトランプを支えた人物だ。

米ネットニュースによると、ビーガンはオフレコの話として「アメリカは北朝鮮の核・ミサイル開発の凍結を求めている」と語ったという。凍結というのはこれまでのアメリカ政府の立場とは違う。強硬派で知られるジョン・ボルトンなどはいまでも完全な非核化、つまり政権の北朝鮮政策は「廃棄させること」であり、意見の対立がみられる。

トランプも金正恩を前にしたときに「何が何でも完全非核化」を求めているとは思えず、政権内に政策面でのばらつきが見られる。実はトランプは2017年夏、北朝鮮への軍事オプションを口にし、国家を崩壊させるといった超強硬路線の思いを述べていたので変われば変わるものである。

現実的には、北朝鮮がすべての核弾頭と核開発を廃棄するとは思えず、多くの方もそう感じているはずだ。となると、パキスタンモデルを踏襲して「保有しているけれども使用・売却させない」という方向にいくようになるのではないか(北朝鮮問題の落とし所)。そこまでいくにもずいぶん時間がかかりそうだが・・・。(敬称略)

2020年米大統領選(13 ):民主党の混戦

前回の米大統領選のブログから1カ月半も空いてしまった。その間、現職トランプは公式に再選を目指すと表明し(6月18日)、民主党候補の中から20人が選ばれてフロリダ州マイアミで第1回目の討論会(6月26、27日)が行われた。

前回のブログで民主党からは計716人が出馬していると書いたが、7月1日現在758人まで増えている。その中から支持率や献金額などの条件が考慮されたうえで、トップ20人が選ばれて討論会が開かれたのだ。マイアミでは支持率でトップを走る前副大統領ジョー・バイデンが他候補から狙いうちにされたが、討論会後もトップを維持している。

7月3日現在、複数の世論調査でこれまで2位につけていたバーニー・サンダーズが4位に落ちた。代わって2位にきたのはカリフォルニア州上院議員のカマラ・ハリスだ。討論会でバイデンの人種問題の考え方を厳しく問い詰めてポイントを稼いだ。そして3位にきたのは、やはり女性上院議員のエリザベス・ウォーレン。

来年の予備選(スタートは2月3日のアイオワ州党員集会)に入ってからも、こうした順位の入れ替えは繰り返されるはずだ。

私が個人的に期待していたスターバックス創業者で元会長のハワード・シュルツは出馬を断念(6月12日)。独立候補として出馬する予定だったが、いくつかの理由で断念せざるを得なくなった。

1つには勝てる可能性の低さだ。これまで第3政党の候補や独立候補が大統領に当選したことはない。ロス・ペローやラルフ・ネーダーという候補も共和・民主両党の候補を負かすことはできなかった。シュルツが出馬しても来年の選挙で勝てる可能性はかなり低いと思われる。

さらに政策面でシュルツは不安を抱えていた。いくつもの州で集会を開いていたのをユーチューブで観たが「未熟だった」というのが正直な印象だ。大統領になる人物は経済問題から医療保険問題、さらに外交にいたるまであらゆる分野で自分の考えを用意できていないといけない。

たとえば数カ月前、シュルツは中国を「アメリカの同盟国」と発言してしまった。後日「間違えました」と述べたが、これは間違えてはいけない基本的な事柄で、この点だけでも有権者は彼に疑問符をつけたはずだ。

今年後半は民主党候補による政策論争が興味深い。(敬称略)