最近、コメンテーターとしてテレビ番組によく出演している成田悠輔氏(38)。本屋に彼の著書が平積みにされていたので手に取った。
「22世紀の民主主義:選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」(SB新書)。
読み進めていくと、テレビで見聞きする切り込んだコメントと同じように、斬新で鋭い視点が随所にみられる。彼のいいところは「迷いなく言い切る」ところで、反論がくるのを重々承知していながら、何も恐れるものはないと言わんばかりに持論を展開している。
「人類は世の初めから気づいていた。人の能力や運や資源がおぞましく不平等なこと。そして厄介なことに、技術や知識や事業の革新局面においてこそ不平等が大活躍すること」
「民主主義的な国であればあるほど民主主義への脅威が高まっている。この傾向はアメリカだけでなく民主国家全般に見られる。というか、アメリカは外れ値でもなんでもない平均的事例で、ドイツなど他の民主国家でこそより極端な民主主義の劣化傾向が見られる」
「米英の有権者を調べた研究によれば、有権者は高学歴になればなるほど党派的で独善的になり、議論と反省によって意見を修正していく能力を失っていく傾向がある」
読者を煽りすぎかなという印象を抱くほど明快に発言していて、読んでいて痛快ですらある。たぶん執筆時、編集者が「過激に言い切ってください」といったことを成田氏に告げていたとも思えるが、久しぶりに「面白い」と言える本だった。