新型コロナ(15):日本の本当の感染者数

当ブログで過去なんども使っているアメリカの新型コロナウイルスの感染者を日ごとに示したグラフである。日本とではケタが2桁違う。ちなみに日本の24日の感染者は434(下図)。

courtesy: NipponTV24

アメリカの人口が日本のほぼ3倍である事を勘案しても、アメリカの数字は大きい。21日の当ブログ(新型コロナ(14):アメリカではようやく減少か)で、下降線を描き始めたかに見えると記したが、専門家は昨日「プラトー現象」に入ったようだと説明した。

プラトー(高原)、つまり感染者数が多い所で推移するということだ。アメリカでは4月23日までに460万人以上がPCR検査を受け、全米と州ごとの感染率がおおよそわかってきた。毎日ほぼ同じ数(約15万件)の検査が行われ、ほぼ同じ比率で感染者がでてきているのでプラトー現象が見られているわけだ。

多くの州で外出禁止令が出されていても、まだ大きな効果が見られていないことを意味する。専門家の中には1日200万件の検査をすべきと主張する人もいるが、アメリカだけではなく、どの国でもそれだけの数をこなす体制が整っている国はない。

それでは日本はどうか。23日までに総計で約13万件を行ったに過ぎない。安倍首相は1日2万件という数字を口にしたが、今のところ半数ほどにとどまっている。それが1日400人前後という感染者数となってあらわれており、もし1日10万件を実施できるようになったら、その数は驚くほどのものかもしれない。

韓国がいま数十万単位で検査キットを日本に輸出する案もでており、ぜひ実施してほしいものである。

新型コロナ(14):アメリカではようやく減少か

いつかは下降線を描く日がくるー。

当ブログではこれまでアメリカでの新型コロナウイルスの感染者数を、グラフで示してきた。日本とではケタが違うが、アメリカの感染者の推移が日本に何らかのヒントをあたてくれると考えたからだ。

前回(新型コロナ(13):ピークアウトするのか?)のブログではまだピークアウトしていなかったが、過去数日でアメリカの感染者数のカーブはようやく下降線を描きはじめたかに見える。

同時に、死亡者数も減少しはじめた。

「ようやく」と言っていいかと思う。外出禁止令がだされてからほぼ1カ月がたってからのことである。日本がアメリカとまったく同じ足跡を辿るわけではないだろうが、緊急事態宣言をだしてから2週間後に感染者が減りはじめるとの言説はあくまで理論上のことではないかと考える。

1カ月はみておくべきというのがアメリカのグラフが示唆する点である。コロナとの闘いはまだまだこれからと考えるべきだろう。

新型コロナ(13):ピークアウトするのか?

新型コロナウイルスの現状は、数字を眺めれば眺めるほど悲観的にならざるを得ない。特に感染者数と死亡者数で世界一を更新しつづけるアメリカは深刻で、ある意味で他国への警鐘になっている。

日本政府は感染者をこれ以上増やさないために今月7日、7都府県に緊急事態宣言をだし、16日には全国に拡大した。安倍首相は人との接触を8割減らせば2週間後にはピークアウトして感染者数が減少すると説明したが、日本政府には強制的な行動抑制を国民に課すことができないので、予定どおりにピークアウトしていくかどうかは疑わしい。

ニューヨーク州では3月7日にクオモ知事が非常事態宣言をだした。そして3月20日(21日開始)には事実上の外出禁止令をだして、徹底的に人との接触を減らす政策がとられた。2週間後(4月4日以降)、感染者数はどうなったのか。下のグラフをご覧いただきたい。

ニューヨーク市だけではなく、ニューヨーク州全体の数字である。4月7日からまた感染者が増えており、ピークアウトしたと言えないことがわかる。現地に住む友人によると、外出禁止令が出されたあと、町を歩いているのは「医師、銀行員、郵便局員、報道関係者、食料品関係者、あとはホームレス」との話だが、4月10日の感染者はまた1万人を超えた。そして14日には1万1000人を超えている。「外出禁止令」がだされていても、である。

上のグラフはアメリカ全土での1日ごとの感染者数で、トランプ大統領は16日、「ピークは過ぎた」として経済活動再開に向けての3段階からなるプランを発表。そして各州の知事に経済活動の再開は「自分たちの判断(call your own shots)」で決めてほしいと伝えた。

だがそれは、今後の感染者増の責任を州知事に押しつけたともいえ、トランプ氏は「コロナとの戦いから降りてしまった」と受け取られてもおかしくない。グラフをみる限り、ピークを過ぎたようには思えないのだが、、、。

安倍氏はこうしたアメリカの現状を見て何を思うのだろうか。

新型コロナ(12):ジグザグが続くアメリカの感染者数

アメリカの新型コロナウイルス感染者数の1日ごとのグラフである。前回(9日)の当ブログで、「ピークを越したようにも思えたが、再び増える可能性もあり予断を許さない」と書いたとおり、3月10日には3万5000人を超えて過去最高となった。11日にはまた少し減り、しばらくは3万人前後をジグザグで推移しそうだ。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は12日、感染者数が鈍化してきている傾向をうけて、「早ければ来月からアメリカ国内で(コロナウイルスによる制限の)緩和の動きが見られるかもしれない」と述べた。

ファウチ氏はホワイトハウスの会見でトランプ大統領と並んで登場した時に、平気で大統領と違う見解を表明できる人物で、以前から敬愛の念を抱いてきた。私が80年代半ばにワシントンでエイズ研究者である満屋裕明氏について調べ、書き始めた時にはすでに同研究所の所長だった人だ。

トランプ政権は2月からコロナウイルスの脅威について専門家から忠告をうけていたが、トランプ氏が軽視してきたとのいうのがファウチ氏の見方だ。トランプ氏は今から3時間ほど前のツイッターで、「ファウチを首にする時だ」とハッシュタグで発信。相変わらず、やりたい放題の大統領である。

新型コロナ(11):新たな感染者

当ブログで今月2日と5日にも出したグラフである。アメリカでの新たに新型コロナウイルス感染者は、4月4日の3万3000人超をピークに下降しはじめたかに見える。

ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターが集計した数字で、右端の4月7日を見ると、1日の感染者が3万人を割っているのがわかる。グラフには出ていない最新(日本時間9日午前11時)の数字をみると、再び3万人の大台に乗り、感染者総数は43万2000人になっている。ピークを越したようにも思えたが、再び増える可能性もあり予断を許さない。

アメリカではここまで45州で外出禁止(ロックダウン)の行政命令がだされている。最初はカリフォルニア州(3月19日)で、翌20日にはニューヨーク州で発令されているが、感染者数の増加が止まるまでに半月ほどかかっている。

安倍首相が7都府県に非常事態宣言をだしたのが4月7日夜。もちろんアメリカとでは人口も行動パターンも違うし、ロックダウンのような厳しい制限が付帯されているわけではないので、感染者数の減少が数字となって表れるのはアメリカよりも時間がかかるかもしれない。いまは各自が自己を律する行動をとりつづけるしかない。(敬称略)