オミクロン:最悪の事態はこれから

つい先日、米国では新型コロナの1日の感染者数が100万人に達したことで、「来るところまできた」との思いが広がった。なにしろ日本ではまだ累計で約175万人なので、改めて米国の感染者数の多さに驚かされた。

ただ米時間7日、米政府の首席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ博士が最悪の事態はまだこれからという主旨の発言をしたことで、さらなる驚きが広がった。それは1月下旬にかけて、新規感染者数が連日100万になると示唆したからだ。その時期にピークに達するという。

今後は1週間ごとに約500万人がコロナによる体調不良を訴える可能性があり、経済と市民生活に重大な支障がうまれるかもしれない。オミクロンはデルタ株に比較すると重症化する比率が低いが、感染が広がれば、多くの感染者が自宅待機を余儀なくされることになり市民生活に大きな影響がでる。

米ワシントン州シアトル市にあるワシントン大学医学部保健指標評価研究所も1月下旬に感染者のピークがくると予想しており、同時期に3800万人が感染する可能性もあるとの数字をだした。オミクロンが世界で最初に確認された南アフリカでは12月中旬から感染者が減っているが、国によって状況が違うことは歴然としている。

日本が今後、オミクロンを含めたコロナ感染をどこまで防止できるのか。肝要なのは一人一人が感染防止の意識を高めて、しっかり行動することである。

マスク生活で風邪が減少

新型コロナウイルスが蔓延しはじめてからすでに2年近くが経とうとしている。それは同時に、ほとんどの方が外出時にマスクをしているということであり、「風邪をひかなくなった」ということにもつながる。

先日、テレビ朝日の羽鳥氏が「鼻かぜすらひかなくなった」と番組の中で発言。私も過去1年以上、風邪をひいていないので、マスク着用と手洗い、消毒は風邪防止に絶大な効果があるのだろうと思う。

市場調査会社インテージヘルスケア社によると、例年の風邪の罹患率と比較すると今年はかなり低い数字であるという。2019年の風邪の罹患率を100%とした場合、今年は36%にとどまっている。まったく風邪にかからないわけではないが、大幅に減ったことはすでに数字に表れている。

風邪にかからないだけでなく、多くの方は外出時のマスク着用の利点を感じてもいる。特に女性は「ノーメイクでいられる」「ほうれい線を隠せる」「シミや毛穴の開きを隠せる」など、プラス要因を見い出している方もおおく、今後コロナ発症がほとんどゼロになったとしても、マスクを着用し続ける人はかなりの割合でいるだろうと思う。

どこまで踏ん張れるのか:新型コロナ(52)

日本の新型コロナウイルスの新規感染者数は依然として少ないままで、何よりかと思う。このままゼロの方へ向かっていってほしいものだが、諸外国の新規感染者数を眺めると、増え始めている国と日本のように抑え込めている国に分かれてきているかに見える。

急減の理由:新型コロナ(51)で述べたように、日本の感染者が急減した理由はまだ専門家でも明確につかめておらず、今後ふたたび増える可能性は十分にある。理由を定められない以上、不確かさは残るので急増することもあるだろう。

11月24日の数字を眺めただけでも、諸外国の新規感染者は増えているところが少なくない。米国は11万1272人。減るどころか、このところ増加が続いている。英国も過去2カ月ほど、大きな変化はなく24日は4万2435人の感染者をだしている。ドイツは過去1カ月、急増と言っていい増え方で、24日は7万9051人。フランスは落ち着いていたが、このところ3万を超えてきている。ロシアも3万2555人という数字だ。

ただ日本のように新規感染者数が増加していない国もある。たとえばアルゼンチンは今春、1日3万超の感染者数だったのが、11月24日は2234人だ。インドネシアも今年7月には1日5万人を超える日もあったが、24日は451人。フィリピンも840人と落ち着いている。カナダも今夏は1万人を超えた日もあったが、24日は2676人だ。

感染者増を押さえ込んでいるのはたぶん複合要因によるもので、「この1点」といったピンポイントになるものではないだろう。いずれにしても個々人が感染に注意することが前提になる。

急減の理由:新型コロナ(51)

新型コロナウイルスの新規感染者数が気持ちいいくらいに減少し続けている。11月7日発表の全国の新規感染者数は162人。今年8月中旬には1日2万人を超える日もあったので、「この3カ月でいったい何が起きたのか」と多くの方は思っているに違いない。

そうした思いを抱えながら今朝の日本経済新聞を開くと、7面に「コロナ感染、なぜ急減」という特集が組まれていた。解析記事ではなく、4人の専門家が独自の視点から「理由」を述べている。4人というのは舘田一博・東邦大教授、黒木登志夫・東大名誉教授、松浦善治・阪大特任教授、仲田泰祐・東大准教授で、いずれも著名な先生ではあるが、この時期に学究的な証明ができるわけではないので、「自論」として受け止めておかなくてはいけない。

舘田氏は「ワクチンの効果と基本的な感染対策の徹底が非常に強くでたためと考えている」と述べた。これは多くの人が考える理由である。日本人は他国の人よりも行動に統一性があるため、皆がウイルスに注意したという主旨である。さらに「日本は基本的に感染対策が文化として定着している」とも記している。

一方、黒木氏はワクチン接種や人流の抑制などではここまでの減少はなかったのではないかと疑問をつけた。ワクチンは2回接種をしても約2割がブレークスルー感染をするので、「新規感染者は高止まりしたはずだ」と言う。同氏は「仮説だが」と前置きしたうえで、ある遺伝子領域に変異が追加されたことで、感染力が落ちた可能性があると指摘した。

また、松浦氏は学者らしい謙虚さを持ち合わせた方で、冒頭で「新規感染者が日本で急減した理由はわからない」とした上で、患者が減ったのはウイルス側に理由があるかもしれないとの仮説をもちだす。

「新型コロナのデルタ株はあまりに多くの変異を起こし過ぎ、人間に感染した時に増えるのに必要な物質を作らせる遺伝情報が壊れるなどして、自滅しつつあるかもしれない」と説明した。

最後の仲田氏は医学者ではなくマクロ経済学の先生で、「人流とワクチン接種の効果だけで8月後半からの急減は説明しにくい」とした上で、デルタ型の感染力が想定以上に小さかった可能性を指摘している。さらに市民のリスク回避傾向が強まったとすると同時に、120日周期のという波で統計的には今回の減少を説明できるとした。

4氏それぞれが自論を展開しているが、誰が「正解」を述べているかはもう少し時間がかかりそうである。

第6波は来るのか:新型コロナ(50)

過去数週間で、日本のコロナ新規感染者数は大幅に減り、東京では1日100人を切るようになった。数字だけを見る限り、何よりの傾向であり、このまま収束してほしいと願っている。

ただワクチンの接種率(2回)を眺めると、65歳以上の約9割が接種をおえている一方で、全体の比率を眺めると10月10日時点で64.7 %に過ぎない。この数字ではまだ集団免疫が獲得されたとはいえず、専門家の多くは第6波がくると予測している。

日本とほぼ同じ接種率なのが、フランス(66.9%)やドイツ(65.2%)だが、米国は56.8%、さらにインド(19.4%)やロシア(31.2%)といった国となると「まだまだ」と言わざるをえない。

米国はいま、日本と同じように第5波が収束しつつある段階だが、感染者・死亡者数の桁が違うので驚いてしまう。ここまで日本の感染者総数は約171万人、死亡者数は約1万8000人であるのに対し、米国の方はそれぞれ約4517万人、約71万人である。人口が日本の約3倍であることを考慮しても多すぎる。

米国ではここまで約7.3人に1人がコロナに感染した計算で、日本は約70人に1人である。この数字を眺めるかぎり、「アメリカよ、このていたらくは一体どうした」とつい口にでてしまう。

日本での感染者は減っているが、気を緩めてはいけないと真に思う。