「Go To Travel」はトホホな英語

「旅行に行く」という日常的に使われる言葉をそのまま英語にした「Go To Travel」という言い回しは、残念ながらトホホな英語である。英米人が耳にすると「?」ということになる。

「Go To Travel」は観光庁が力を入れているキャンペーンであることはよくわかるし、意味もわかる。

しかし、日常的な英語表現に直すと「go on a trip」というべきで、「go to travel」どころか「 go on a travel」とも言わない。これはあまりにも決まりきった言い回しなので、英米人であれば間違う人はいない。

少し説明させていただくと、travelという単語は漠然とした「旅」という意味で、特定の「2泊3日の熱海温泉旅行」という時にはtripか journeyを使う。だからtravelという単語を使いたければ、「you can travel」というべきである。逆に「you can trip」とは言わない。

これは生活の中に入った表現なので、英米人であれば感覚的にわかっている。日本では単語そのものが日本語になってしまっているので、英語に置き換えるとおかしなことになる。ただ意味はわかるので、いま英米メディアでは「Japan’s Go To Travel Campaign」とカッコつきで使われている。

ティファニー・ツイステッド

いきなり「ティファニー・ツイステッド(Tiffany twisted)」と書いても、何のことかおわかりにならないかと思う。

実は昨日、外国特派員協会で久しぶりに顔を合わせたアメリカ人がこの表現を口にしたのである。正確には「She is a Tiffany-twisted girl」という一文だった。じつに懐かしい言い回しで、しばらくこの言葉を反芻してしまった。

ご記憶の方もいると思うが、この表現は1970年代に活躍したロックバンド「イーグルス」の代表曲「ホテル・カリフォルニア」に出てくるセリフなのである。いま歌詞を調べると、2番の歌詞の冒頭にでてきていた。

Her mind is Tiffany-twisted   She got the Merced Benz

「ティファニーのような高価なモノを身につけてベンツにも乗って」という意味である。

彼は共通の知り合いの女性についてコメントしたのだが、確かにその人はいつも高価な服を着て、貴金属品も身につけている。昔の表現だが、どこかとても新しい響きがあり、新鮮に感じたのはどうしてだろう。

70年代に舞い戻ったような気がして、帰りの電車の中ではユーチューブで「ホテル・カリフォルニア」を聴いていた。

あたらしい英語(13)

“You look fashion forward!”

ユーチューブでアメリカのテレビ番組を観ていると、トークショーの司会者がゲストの女優アリッサ・ミラノにこう投げかけていた。

fashion forward=ファッション・フォワード。ファッション業界の人は日本でも使っているかもしれないが、私にとっては初めて耳にする表現だった。

意味は「オシャレな」「流行の」という意味である。オンライン辞書をみると「2012年に登録」とあるので、新しい言葉だ。

ただ、いまの日本語に置き換えたときに「オシャレな」は古すぎる。「しゃれオツ」か「イケテル」くらいの感覚がfashion forward のニュアンスだろうか。

高校生だと「しゃれかわ」。

言葉は流転である――。

いつ英語が話せるようになるのか?

先日、スウェーデン人の青年を囲った食事会があった。日本にきて間もないので、日本語はポツリポツリである。こちらとの会話は英語になる。

北欧の人たちの多くが「普通に」英語を話すことは知っていた。彼もそうだった。

うらやましいのは「イギリスにもアメリカにも住んだことはありません」と言いながら、ほとんど英米人と同じレベルの英語を話していたことだ。

「スウェーデンでは英語を小学校2年からやります。私は他の人たちより、少しマシかな?」

2年生から高校卒業までの英語教育で、ほとんどの人が英語を話せるようになるという。言語学的にスウェーデン語が英語と近いという理由もあるが、日本人からみれば「ズルイ」以外にない。

私はアメリカに25年もいたので話せて当たり前だが、言いたいことを英語でスッと言えるようになるまでにはずいぶん苦労した。日本の英語教育だけでペラペラになった人がいたら、ご紹介してほしいくらいだ。

今春、「英語ができる」高校3年生と話をした時、愕然とさせられた。

というのも、彼女は大学受験の模試で偏差値83を取ったことがある生徒だったが、英語をペラペラ話せるわけではなかった。

都内の進学校に通い、「英語ができる」生徒でも話せないのが日本である。これは英語でモノを考えていないからで、頭の中で日本語から英語に翻訳しているかぎり、本当にしゃべれることにはならない。

文科省が主導して、全国の英語の先生たちに訳す作業をやめさせて英語だけで授業を進め、生徒たちに英語でモノを考えさせれば少しずつ変わっていくはずだ。

それでも英語が嫌いで、勉強をしない、話そうとしない、英語で考えようとしない人は今後もずっと英語は話せないままである。

新しい英語(11)

ある日の晩、会食の席でおいしいうどんを食べた。同席した女性2人は、真剣に英語を勉強しているという。

いまでも英語の勉強を続けている私としても励みになる話で、何もしなくなった時点で英語力は後退していくので前進しかないと思っている。

ただアメリカからもどって7年が経ち、英語力はゆるやかなくだり坂を下りている。英語圏にもどって住まないかぎり、わたしの英語力の再浮上はないだろうと思う。

先日、旅行関係の英語サイトを読んでいたら出会いました、、新しい英語。

Abolutely terrific!(最高にすばらしい)

普通の表現に思われるが、最初の単語「abolutely」に注目していただきたい。absolutely(最高に)の中の「s」が抜け落ちている。

これはスペルを間違えたわけではなく、故意に「s」を抜いたスラングだ。「s」を抜いた方が発音しやすいということだと思う。

これを英語の進化と呼ぶかは議論がわかれるが、私は新しい英語と位置づけている。

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よく走っていたポトマック川のランニング・トレイル(米ワシントンDC)