あるタクシー運転手の気概

今日(7月3日)の朝日新聞朝刊の1面に、たいへん興味深い記事がでていた。1面から2面にわたって続く記事の主役はガーナ出身のハッサン・カリムさんという48歳の男性。

近年は大手新聞の1面に政治・経済のニュースではなく、個人的なストーリーが掲載されることがあり、今日のフロントページもまさにそうした記事だ。2006年に来日したカリムさんはさまざまな仕事についてきたが、東京でタクシーの運転手になりたいと思っていた。

タクシー運転手になるためには2種免許を取る必要がある。日本語の会話はほとんど問題なくできたが、カリムさんは読み書きが苦手で学科試験に落ち続けた。落ちた回数、なんと82回。83回目でパスして、いまは運転手をしている。

一般的に考えると、どうしても受かりたい試験であっても、10回も落ち続ければふつうは嫌気がさして諦めてしまわないだろうか。なんとしても受かるまでと思っても30回、40回と落ち続けたら、「これは俺には無理だ」と思うのが人の心理である。だが、カリムさんは自分を信じ続ける力を失わず、合格するという信念を持ち続けたことで、晴れて日本でタクシー運転手になれた。

同記事ではカリムさんの諦めない心意気と、タクシー運転手に外国人が増えているので、試験のハードルを下げるべきとの意見が述べられていた。「何事も諦めなければ成就できる」ということをあらためて教えられた気がした。

それにしても83回、、、、脱帽である。