ノーベル医学・生理学賞

今年もノーベル賞の時期になった。3日は、医学・生理学賞の発表があり、ドイツのスバンテ・ペーボ教授の受賞が決まった。

当ブログで何度も書いているが、私はエイズの治療薬を開発した国立国際医療研究センター研究所長の満屋裕明氏ついての本を出版した関係で(エイズ治療薬を発見した男 満屋裕明 (文春文庫))、いくつかのメディアから事前に「満屋先生がノーベル賞をとった時はコメントをください」と頼まれていた。近年は毎年、この時期になると同じような連絡が入る。

満屋氏がAZTという世界最初のエイズ治療薬を開発したのは80年代。すでに40年近くたっているが、ノーベル賞は研究成果が発表されてから何十年かたったあとでも賞が授与されるので、毎年のように満屋氏は対象者の一人に挙げられている。

私が満屋氏に米首都ワシントンで最初のインタビューをしたのが1987年。それから満屋氏とは個人的に飲食をする間柄になり、つい最近も一緒に晩御飯を共にしたばかりだ。彼はノーベル賞については多くを語らないが、受賞すれば世界的に注目され、さらに研究が加速されていくことになるだろう。

ノーベル賞は一人の研究者が達成した研究結果に対する褒美であるが、それ以上に満屋氏の場合は、エイズというそれまで「不治の病」といわれていた疾病に治療の道筋をつけ、多くの患者の命を救ったという点で何にもかえ難い。「来年こそは」と思っている。